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*Noir Papillon* まとめ 
※章ごとに分けたものを更新しました。
 見にくいという方はカテゴリから小説まとめをクリックしてください。


2019年4月13日(土)、全167話。遂に完結致しました!
途中から新しいウィンドウで開くようになっていますが、気にせずにお読みください


!!ご注意ください!!
このオリジナル小説には百合表現が含まれています。苦手な方は読むのをお控えください。
大丈夫だぜ、という方は今後ともNoir Papillonをよろしくお願いいたします。


**
~時系列~

第2章 全58話
 ↓
第1章 全39話
 ↓
第3章 全70話

**
――――『 これから小説を読もうと思っている方、読み返したい方に 』


最終更新日 2019.04.30
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~第1章 現代編~

プロローグ 我、コノ世界ヲ支配スル者。

第1話 四神北聖生学園

第2話 真ッ赤ナ吸血鬼

第3話 謎ノ編入生

第4話 悲劇ノ始マリ

第5話 二人ノ生活

第6話 集マリシ蝶々達

第7話 新タナ蝶々

第8話 平和ナ日常

第9話 記憶ノカケラ

第10話 黒キ姫

第11話 静カナ夜

第12話 期待ノ新人

第13話 禍ノ予兆

第14話 心ヘノ浸食

第15話 魔獣ヲ操ル者

第16話 動キ出ス歯車

第17話 闇ニ身ヲ寄セシ者達

第18話 夢ノ中ノ貴女

第19話 狂気ノ波動

第20話 二ツ目ノ宝玉

第21話 怪シイ影

第22話 進ム時間(トキ)

第23話 平凡ナ日常

第24話 少女暴走事件

第25話 夢ノ続キ

第26話 宝玉ノ在リ処

第27話 空間ヲ司ル者

第28話 文化祭

第29話 占イ師

第30話 一匹ノ蝶

第31話 夢の中で

第32話 夜間パーティー

第33話 覚醒

第34話 新タナ兆シ

第35話 裏切リ者

第36話 対決

第37話 姫ト神

第38話 姫ノ望ミ


~第2章 過去編~

*紀元前7980年代編(1万年前)

第39話 全テノ始マリ

第40話 蝶々

第41話 月ノナイ夜

第42話 蝶ノ帰還

第43話 呪ワレタ森

第44話 人形族

第45話 異変

第46話 女郎蜘蛛

第47話 精霊

第48話 白ウサギ

第49話 黒イ影

第50話 マギサノ目的

第51話 精霊ト蜘蛛

第52話 影賊

第53話 信頼

第54話 蝶ノ棲ム森

第55話 銀影ノ眼

第56話 復讐

第57話 輪廻ノ輪

第58話 一ツノ生命

*520年代編(1500年前)

第59話 悲劇ノ再来

第60話 現在ト過去

第61話 小サナ魔女

第62話 魔女ノ願イ

第63話 因縁

第64話 引カレタ引キ金

第65話 止メラレナイ現実

第66話 過チ

第67話 燐ト燐

第68話 事件ノ発端

第69話 憎悪

第70話 救済

第71話 最悪ノ存在

第72話 魔女ノ巣

第73話 一人ノ少女

第74話 恩返シ

第75話 契リ

第76話 怨恨

第77話 決意

第78話 真相

*2018年代編(2年前)

第79話 御嬢様

第80話 部活

第81話 青キ蝶

第82話 出逢イ

第83話 琴神音

第84話 兆候

第85話 変質

第86話 眠ル魂

第87話 別人

第88話 共有

第89話 十年前

第90話 二人ノ運命

第91話 気持チノ裏

第92話 闇ノ訪レ

第93話 心ノ闇

第94話 燐ノ願イ

第95話 藍色ノ葉

第96話 裏表

第97話 愛スル人ノ為ニ


~第3章 現代のその後編~

第98話 原因

第99話 紅イ蝶

第100話 癒シノ波長

第101話 陽刻楼

第102話 衝突

第103話 主トノ再会

第104話 汚レタ水

第105話 妖怪ノ謎

第106話 九尾ノ狐

第107話 不吉ナ影

第108話 誘拐

第109話 警告

第110話 胸騒ギ

第111話 縛ラレル意識

第112話 猫ノ記憶

第113話 モウ一人ノ私

第114話 夢ト現実

第115話 想イ人

第116話 企ミ

第117話 黒イ女

第118話 黒白ノ結晶石

第119話 懐古ト失クシタ名

第120話 黒巫女

第121話 黒百合

第122話 ラミア

第123話 囚ワレシ心

第124話 冷タイ瞳

第125話 緋ノ鳥

第126話 影ノ灯火

第127話 光ト闇

第128話 紅イ睛

第129話 真実

第130話 樹里

第131話 予言

第132話 神都四町

第133話 偽リ

第134話 隠レ行ク思ヒ

第135話 蛹

第136話 欺キ

第137話 前座

第138話 ツワモノタチ

第139話 命

第140話 足掻キ

第141話 血ノ呪イ

第142話 神和ギ

第143話 不老不死

第144話 神ヘノ頂

第145話 忘却ト追憶

第146話 『紫栞』

第147話 たった一人の存在(とも)

第148話 終戦


~後日編~

第149話 穏やかな日常

第150話 隠された過去

第151話 縁の糸

第152話 人と妖

第153話 蝶とオキツネサマ壱

第154話 蝶とオキツネサマ弐

第155話 蝶とオキツネサマ参

第156話 蝶とオキツネサマ肆

第157話 紫栞編 N

第158話 紫栞編 影から逃れる者と森の妖精

第159話 紫栞編 絡新婦

第160話 蝶とオキツネサマ伍

第161話 蝶とオキツネサマ陸

第162話 引き裂かれた心

第163話 子供たち

第164話 黒い翅

第165話 壊れていく森

第166話 九尾~ツヅラオ~

第167話 蝶とオキツネサマ終

おわり

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COMMENT LIST

*Noir Papillon* 第3章 
話数が多くなってきたので分けます。
完結しました!!!

!!ご注意ください!!
このオリジナル小説には百合表現が含まれています。そういったものが苦手な方は読むのをお控えください。
大丈夫だぜっ!という方は、今後ともNoir Papillonをよろしくお願い致しますm(_ _)m



-------------------------------------------------------------------------
~第3章 現代のその後編~

これは青い蝶と紅い蝶のお話。
                  “人ならざる者”と人間のお話―――。






第98話 原因

第99話 紅イ蝶

第100話 癒シノ波長

第101話 陽刻楼

第102話 衝突

第103話 主トノ再会

第104話 汚レタ水

第105話 妖怪ノ謎

第106話 九尾ノ狐

第107話 不吉ナ影

第108話 誘拐

第109話 警告

第110話 胸騒ギ

第111話 縛ラレル意識

第112話 猫ノ記憶

第113話 モウ一人ノ私

第114話 夢ト現実

第115話 想イ人

第116話 企ミ

第117話 黒イ女

第118話 黒白ノ結晶石

第119話 懐古ト失クシタ名

第120話 黒巫女

第121話 黒百合

第122話 ラミア

第123話 囚ワレシ心

第124話 冷タイ瞳

第125話 緋ノ鳥

第126話 影ノ灯火

第127話 光ト闇

第128話 紅イ睛

第129話 真実

第130話 樹里

第131話 予言

第132話 神都四町

第133話 偽リ

第134話 隠レ行ク思ヒ

第135話 蛹

第136話 欺キ

第137話 前座

第138話 ツワモノタチ

第139話 命

第140話 足掻キ

第141話 血ノ呪イ

第142話 神和ギ

第143話 不老不死

第144話 神ヘノ頂

第145話 忘却ト追憶

第146話 『紫栞』

第147話 たった一人の存在(とも)

第148話 終戦


↓↓ここから後日編&隠されざる過去編↓↓

第149話 穏やかな日常

第150話 隠された過去

第151話 縁の糸

第152話 人と妖

第153話 蝶とオキツネサマ壱

第154話 蝶とオキツネサマ弐

第155話 蝶とオキツネサマ参

第156話 蝶とオキツネサマ肆

第157話 紫栞編 N

第158話 紫栞編 影から逃れる者と森の妖精

第159話 紫栞編 絡新婦

第160話 蝶とオキツネサマ伍

第161話 蝶とオキツネサマ陸

第162話 引き裂かれた心

第163話 子供たち

第164話 黒い翅

第165話 壊れていく森

第166話 九尾~ツヅラオ~

第167話 蝶とオキツネサマ終

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COMMENT LIST

⋆Noir Papillon⋆ 裏話編2 
長くなってしまったので、2つに分けてお送りします。

⋆Noir Papillon⋆~黒き蝶~の完結記念!
設定や裏話のコーナー!
(*゚∀゚人゚∀゚*)♪イエェイ



目次2
単語解説

・ジェム
途中から生えてきてしまったジェム。
まあ、わかる人にはわかるでしょう。魔法少女まどか☆マギカが元ネタです。
しかし、まったく同じにはできないので自分なりに成り立ちとかを必死に考えました。
そりゃあもう必死にw

魔力を手元に。身近に使えるようにしたものがジェムです。
ですが、魔力の波動はその時の持ち主の感情によって変化するという、とても不安定なものなので。
過度なストレスや長時間続く苦しみにとても弱いという欠点があります。
その結果、ジェムはどんどん濁り。

濁り切ったジェムは最期には亀裂が広がり壊れてしまいます。
その時に、今まで溜めこんできた負の感情が身を支配し。
狂人や化け物へとなり果ててしまう。


そういう設定にしました。
読んだらわかると思いますが、どこにも救いようがありません。
ドウシテコウナッタ
メリットと言ったら、連絡を取り合えることやネットワークがスムーズになることくらいで。
あとはもう、デメリットしかないですわぁ


マドマギと同じような設定になってしもうた……


・能力
能力は、アニメ「ニードレス」を見ていて思いついてしまいました。
しかし被ってしまうのもあれなので…。
自分なりに最初は考えようとしたんですが。

何にも思いつかなかったのです!!w

結局、いろんな作品から設定を頂戴することになってしまいましたシクシク
シェスリナは一番最初に決まったんですよねー。「癒しの波長」持ってそうだからこうしちゃえ!とw
しかし他は中々決まらず…w

蝶姫の能力の「記憶」は、チートすぎてやっちまった感がすごかったですがw
それほど敵に回すと適わないという意味合いも込めてあえてチートすぎる能力を設定しました。
元ネタは思いっきりニードレスですよ((


まあ、後半は能力もどこへ行ったのやら。
全然出番がなくなってしまいましたが…


この世界では、一人につき一つの能力が原則だと思ってください。
複数持っている人と言うのは、それほど強力な魔力(妖怪なら妖力)を持っている人です。



・アパルリッター
最初は、マギの騎士か。なんか。まあ…騎士みたいな感じの言葉にしていたんですが。しっくりこなくて途中で無理やり変えました(
意味は「守護騎士」です。アパルはあ……どこから取ったんだっけナァ……(;´д`)
作者自信も忘れてしまってるほどなんで、皆も忘れてそう(
ちなみにリッターはドイツ語で騎士っていう意味です

魔獣を狩るために作られた組織だったりします。
アパルリッターを育てるための専門の学園があったりするくらいですからね。




・魔獣
みんなの敵です。
まあ、召喚されてた魔法生命体なので現実に存在する妖怪や神とはまた違います。
召喚者はサフィラと蝶姫でした。
蝶姫が一人だと寂しいからって生み出したものだったりします。




・魔女
現代では絶滅している種族……?種族というか、魔法を使える女の人か。
ちなみに、男の人だと「魔法使い」です
サフィラがもう魔女が増えても仕方ないと藜音と一緒に絶滅させました。おそろしや……

未来のためでもあったので致し方ないことでした。




・神都四町(みつしちょう)
こう書いて「みつしちょう」。読めないヨネー
はい、すみません。完全に当て字です!
四神がいるからもうこれでいいやってつけた名前です……
四つの神様が居る都 という意味合いを考えたのは実は今年に入ってからだったりします


・聖なる泉/黒い水
500年前に蝶姫が起こした宝玉略奪事件と少女暴走事件の時。
宝玉が一時的に地上から離れた影響で、災害が起きました。それは地震だったり、落雷だったり、水が急にあふれ出てきて洪水になったり、炎がどこからともなく出て火事になったり。

その時の災害により、聖なる泉は黒く穢れてしまいました。
聖なる泉は青龍が生み出したものです。穢れたジェムの負の感情…黒いモヤモヤを取り除く効果がありました。
所謂、リラクゼーションできる清らかな水浴び場でした。
しかし、災害のせいで水は汚くなってしまいました。水は黒く汚れ、ジェムを清めることができた水は。
ジェムを穢してしまう水へと変わり果ててしまいました。

この水で洗い流そうとした一人が、この水の影響で狂人化した事件があとで発生。
人目に触れる場所にあったため、当時の貴族たちや学園関係者らが危険すぎると判断し。
闇霧山の山奥へ。封印したのでした。


この黒い水は、ぬらりひょんの孫の羽衣狐が最後の城?寺?の地下にあった黒い湖らしきところから取りました。
姫に浸かってほしかったゲフゲフ

…なんでもありません((((((



・闇霧山(あんむざん)
まあ、これは…w
闇の霧が深い山って意味でつけた当て字で、ただの山です(おい!
闇が深くなってしまった理由としては、誰も入らなくなってしまったことが原因ですね。

すみません。この山の過去の出来事は正直考えてませんでした(((

あ、でも。プラシナが小さい頃に襲われた山の近くですね。
プラシナを一時的に保護して、留まっていた場所がこの闇霧山でした。
もちろん、昔はこんな不吉な名前ではありませんでしたよ?

そして、蝶姫はこの場所を気に入って立ち寄るようになりました。

ここに、綺麗な桜の木があったんですが。闇のせいで今は枯れ果ててしまってます。
人々が立ち入ることがないようにと、当時の人がこんな不吉だと一発でわかる名前を付け。広めたからかもしれません。


・陽刻楼(ようこくろう)
四神がかつて、一か所に集まっていたとされる場所です。
ここに、四神を統べる神「黄竜」がいました。ようするに、ここに封印されてたんですね。

なので、この場所は神に近づくために最も近い場所ということです。
姫が願いを叶えるために儀式をしたのもそういった理由があったからでした。






目次3
この物語について

~私の暴走から始まった~
当時、私の妄想が大爆発を起こしてしまい、『女の子と一緒に暮らしたい』という密かな願いを叶えるためにできたお話だったりします。
ただ、最初は本当に、それだけしか考えていなかったのでお話をどう進めていこうかなんて全く考えていませんでした。
いろいろ自分で疑問点を書き出して、それを解消するためにいろんな設定が次から次へと生まれて行き、気づけばこんな長編になってしまっていました。自分でもびっくりしています。

進めていくうちに、この話を書いて。自分が思ってることを知ってほしい。という思いで書くようになっていました。

なぜ、人は争うのか
なぜ、光と闇があるのか
なぜ、私たちは自分たちとかけ離れているものを忌み嫌うのか
妖怪や神様という存在はどんな者なのか

などなど。私が今まで生きてきた中で疑問に思っていたこと。私の考えを少しでも知ってほしいなーという思いで物語に私の言葉を織り交ぜたりしました。


あと、誤解しないんでほしいんですが。私は鬱なお話が好きなワケではありません。
なぜ、人間嫌いになったのか。それを描くために、過去編の子達の経緯をわざと酷いと思わせるように書いてます。
私自身、鬱すぎるお話は見ていられないほど涙が出るほうなので・・・w

本当は思わず、笑ってしまいそうな面白い話を書きたいんですが、私の頭は固いのか・・・
なかなかそれができずじまいでした。。どうしてもシリアスになってしまうという・・・
あれです。面白いことを咄嗟に言えないタイプですw

シリアスすぎるのも問題ですが、面白いお話を書くって結構難しいものです。
ギャグマンガとか書かれてる人、うらやましいです。その発想を私にも分けてほしいくらい!!w

私の好きな要素をふんだんに盛り込んだ作品でした
妖怪、百合要素、雰囲気はダークめで。そしてどことなく色気も含めつつ。
そして闇落ち要素もあり!

なんというか、光だらけで常にキラキラしてるのが好きじゃないんです。
希望よりも絶望、光よりも闇が好き。言葉の響きも好きな方は後者なので(ノ∀`)

……あ、わたし別に病んでたりしてないですよ?w



~四神を取り入れた経緯~

学校の授業で「四神」の話が出てきまして、これをもとに小説を創っていけばなんとかなるのではないのかという結論に。しかし、そのためには四神のことを調べないといけないわけで。
どうしてこの世界には四神が存在するのか、それも考えないと創れないと思いまして。
いつの間にか街全体を守ってくれてる神様たちということに頭の中でなっていましたw

~結局、『神』は何したかったん?~
マビノギからモリアン(復讐の女神)の名前を借りましたが。
神様は、蝶姫が起こそうとしていることを止めようとしていました。1500年前に神様は4人の眷属を創り出し、それを蝶姫のもとへと送り出しました。倒しはしましたが、根本的な解決はできませんでした。
だから、姫が復活した時代に再び降臨し、今度こそ止めようとしていました。まあ、失敗に終わってしまうわけですが。
眷属である4人は、それが阻止できなかったら命が終わる運命でした。

結局、神様は見ているだけな存在なのです。
モリアン様は、マビノギのお話の中でも結構汚いやり方をするお方なので・・・w


~紫栞という存在について~
紫栞という名前、そして存在。この人が全ての始まりでした。
この人は、1万年前。元々は一人の人間でした。ごく普通の家庭に生まれ、普通の生活をしていた女の子でした。

ですが、村が昔から決めていた神様へ捧げる供物として選ばれてしまいました。その時、村は雨が降りませんでした。ずっと雨が降らないので、作物が育たない。井戸の水が枯れ、飲み水もほとんどない。
そんな願いを神様にお願いするために、巫女として・・・生贄として神様に捧げられてしまいました。捧げられてしまった時の年齢は、まだ14歳でした。

亡くなる寸前、彼女は夢を見ていました。何度も何度も同じ夢を。
自分が蝶になって、空を飛ぶ夢。いろんな人、いろんな風景、いろんな知識をずーっと空を飛びながら知っていく夢。
その夢を見続けているうちに、これが夢なのか、それとも自分が本当に蝶になっているのか。分からなくなっていました。
夢を見続けながら、そのまま蝶の妖になったお方なのです。人々の願いのために捧げられたため、彼女は人々の願いを叶える蝶となって生まれ変わりました。

そんな中で、九尾の妖狐である衣絽羽に出会い、『紫栞』という名前をもらい願いを叶えるために生きていた蝶の長でした。
そしてある日彼女はひょんなことから魂が2つに別れてしまいます。これが、蝶姫と燐姫になるのでした。

ちなみに、この名前作者のお気に入りでゲームでのニックネームユーザーネームはだいたい「紫栞」でやってたりしますw





~妖怪についての補足~
私自身、妖怪が好きなので。どうしても物語に妖怪を加えたかったってのもあります。
この世界での妖怪というか。現実でもそうなんですけど。

妖怪や神様という存在は、元々は責任逃れのために誰かが創った存在だったりします。
居もしない誰かに、責任転嫁。その対象が神や妖怪という存在でした。

そして、それは噂や言い伝えとして広がり。
誰もが「神様も妖怪もこの世に存在する」「神様を信じる」ようになり。存在が生まれたのです。
信仰心や信じる力によって生まれた、架空の創造物であり者なのです。

しかし、存在した途端に。人は自分で考えて創り上げておきながら毛嫌いをします。
特に、妖怪に関しては。
子供に「悪いことをすると悪い妖怪に食べられちゃうぞ」などの躾としての冗談って、あると思うのですが。
それが空想ではなく、本当にこの世に実現してしまった時。

人は「なんてものを創ってしまったんだ」と後悔します。
しかし、それを勝手に創り上げたのは他でもない私たち人間です。
そんな人間が、存在した途端に迫害する。

だから、妖怪は人間を嫌う。私はそう解釈しています。
しかし、妖怪は全てが『悪』というわけではありません。人に危害を加えない、幸福をもたらす者も少なからず存在するということも忘れてはいけません。
神様だって、すべてが『良い存在』ではありませんよね?悪い神様…邪神だって存在するのですから。

それらは全て、人間が責任逃れのために創り上げた空想。縋りつくための偶像。
しかし、信じている人がいる限り存在し続けるのもまた事実。

だからこそ、私は妖怪が好きです。なんというか、魅力がいっぱいあるんですよね。
よくこんな恐ろしいものを創ったなぁ。と思うこともありますがね


衣絽羽が一度、紫栞を忘れかけていたシーンがあったと思います。
あれはわざと入れました。
なぜかというと、「存在している者を憶えている人、または知っている人がいないと消えてしまう」からです。
神様も、妖怪も。忘れ去られてしまうと本当に消えてしまいます。

だからこそ羽月はこの世からいなくなってしまったのです。
そしてそれは、紫栞も同じでした。
しかし、名前を与えた衣絽羽は途中で思い出しました。
直接彼女へ、「名前」という大きな大きな命と等しいくらいに大切なものを与えたからなのです。彼女の人生に干渉したから彼女は思い出すことができました。

なので、衣絽羽も。もし…

都へ潜入しなくて、恐ろしい妖怪として世に知れ渡っていなかったら―――
彼女も消える運命だったのです。

彼女が今でも存在し続けているのは、都へ潜入し。人々に畏れられ存在が現代にまで伝わっているからでもあるのです。
そうやって、妖怪や神様は今でも存在し続けることができると。

私は考えています。というか、信じています。


・妖怪の子供について補足

妖怪ってどうやって生まれるのか。考えたことがあります。
人間が親とも言える妖怪ですが、生まれたりする過程ってきっと人間には到底理解できないことがあると思うんです。

例えば、アラーニャと紫栞からアビスが
羽月と人間の女性からいろはが生まれています。

前者は妖怪同士。後者は、妖怪と人間。
種族が違えど、存在が生まれている。

想いが強ければ形を成す。
お互いの想いの強さで生まれてきた子供たちです。

まあ、アラーニャの場合はアラーニャから紫栞に対しての想いが強すぎてアビスをつくりあげています。

妖怪という存在は神様と同じで、信じる心の強さで存在しています。
それは生まれてくる子供にも関係していると私は考えています。

…うーん。ごめんなさい。説明するのが難しいです(´;ω;`)


現代にも妖怪と人間の間に生まれた子、深雪ちゃんがいますが。
この子は文字通りのハーフです。完全な妖怪ではありません。察しろ




~元ネタの数々のご紹介(ほとんどアニメからです)~
NEEDLESS  →  能力や、キャラ3人参考にしました
XXXHOLiC  →  妖怪や古い言い伝えなど。あとは一部の台詞もここからです
ツバサクロニクル(漫画)  →  美輝樹里さんのキャラデザはここから参考にしました
魔法少女まどか☆マギカ  →  ジェムの設定はここから
ぬらりひょんの孫  →  九尾の妖狐、羽衣狐様と黒い水の元ネタ
ルミナスアーク3 アイズ   →  ニンテンドーDS用ソフト。アパルリッターの元ネタとジェムに名前があるのはここが元ネタです
東方Project   →   能力や、人物の名前など。ここから参考にしてます。

他にもあったかもしれないわね…
まあ、こんだけ元ネタがあったってことなんです。NEEDLESSはあんまり好きでもないんですけど
他は私の好きな作品です。

とは言っても、どれも素敵な作品ばかりなので。興味がある方はぜひ、見たり読んだりしてみてください。
作者オススメは、XXXHOLiCとツバサクロニクル。魔法少女まどか☆マギカ、東方Projectです!!





~最後に~
あの頃はほんと妄想爆発してましたねぇw
なんでこんなお話を考えたんだ私は。と考えたこともあります。
最初のころにはなかった設定がどんどんどんどん出来て。
気付けばこんなに壮大なお話になってしまいました。ドウシテコウナッタ

一度でいいから学園モノを書きたいなと思ってました。
たしか当時、学園モノが流行ってたような気がするんですよね。まあ、ぶっちゃけその当時にあったものなんてほとんど学園ラブものばっかですよ。
面白味もなんにもないんで私は好きではなかったです。
少女漫画の一種の乙女ゲー感のヒロインに一斉に恋する展開ってのも好きじゃない。というか嫌いです。
あんまり私自身が恋愛ものが苦手というか嫌いなので……
皆が書きまくってて探せばあるものばっかりな現実。
みんなと同じようなものは描きたくないという私の我儘でできた作品です。

私ひねくれてるので。よくあるハッピーエンドとかもあんまり好きじゃなくて。
最後、ハッピーエンドかと聞かれたら「うーん」と唸ってしまう感じになってしまいましたが。

当人たちが幸せならそれで「ハッピーエンド」だと思ってますので。
これでよかったと思います。




途中で、書く気力がなくなってしまったこともありましたが。
最後まで書きたいという気持ちもあったのは事実です。


勢いとノリでサフィラとテレリの関わりを創ってしまったり。
途中から能力なんていうものが生えてきたり。
蝶姫と燐姫の正体は紫栞から別れた魂だった!っていうの考えたのが過去編書いてる途中だったり
九尾の妖狐好きだから物語に出したいという願いから生まれたのが衣絽羽さんだったり

実は、書きながら「あ、そうだ。こうしよう」「あ、これもいいなぁ」と。
書きながら、考えながら頭の中に出来上がってしまった設定やらキャラやらが山ほどあったりしますw
原稿や展開は常に私の頭の中にしかありませんでした。下書きなんてなかったんですよ?w

百合描写が多くなってしまったりしたのは…。
うん、申し訳なかったです。。(´・ω・`)

ごめんね!?わたし自身がね、女の子同士の愛が好きなもんでね…ブツブツ



気付けばこんな長く、小説を書いてました。自分でもびっくりしてます
よくここまで続けたなぁとw

私が考える物語(妄想物語)は大抵、好き放題やりすぎてお話を続けるのが難しくなってしまったり、終わらせることができなくなったり、途中で違うお話になってしまって以前考えたやつが没になったりが
非常に多い中で。

よく続けたなぁと自分でも思います。気づけば、完結するまで8年もかかってしまいました。

最後まで付き合ってくれた方・・・・いるのかな?
まあ、いてもいなくても。

本当に本当に最後までお付き合い、ありがとうございました!!



最近、また新しい物語を思いついてしまったのでもしかしたら書くかもしれません。
一応、Noir Papillonの続編的な感じにしようとは思っていますが。

期待せずに待っててくださいww


急に更新が速くなってすみませんでした!
2月から就職したので、4月30日になるまでに終わらせたかったんです。もう書けないかもと思ったもんですから><

本当に、終わらせることができてよかったです。
ここまで読んでくださって本当にありがとうございましたっ!

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COMMENT LIST

⋆Noir Papillon⋆ 裏話編その1 
祝!遂に完結!!
4月30日を迎える前に完結できて、ホッとしていますw

と、いうわけでー


キャラクター設定や、誕生秘話、裏話などなど!!
物語完結記念として、実はこうだったんだとかのお話ができればと思います。
あとは、どうしても語れなかったサイドストーリーなども。


突然ですが

わたしの黒髪パッツンロングが好きになった逸話を少し。

最初はセーラームーンの・・・どのシリーズだったか忘れましたが、ホタルちゃん=セーラーサターンが初めて物語に出てきたときのシリーズで、ホタルちゃんが終盤らへんで黒髪ロングの女性に変貌してしまったシーンがありましたよね?
あれで、ワタシ、目覚めてしまいました(
なんと妖しくも美しいのだろうかと。(当時見たときまだ小学3年~6年くらいだったかと思います)

XXXHOLiCの壱原侑子さんとかね。もう大好き。妖艶なのに、なぜかそんなに色気を感じないんですよね。
不思議な方です。ほんとに

ぬらりひょんの孫の羽衣狐様。これは最近知りましたが。
黒い髪に黒い瞳、白い肌…そして九尾の妖狐。なんてお美しい…と。男女問わずに魅了する魔性を持っていると言われていますが、本当に魅了されてしまいました

もう私の好みどっ直球!
こんな人に抱かれたいゲフゲフ





※注意※
ネタバレ要素を含みます!まだ小説を全て読み終えていない方は読み終えてからご覧ください。
「ネタバレ大丈夫!!」という方は本当によろしければご覧ください。






目次
1.キャラクター紹介・設定
2.物語に出てきた単語解説
3.この物語について


まずはキャラクター紹介からいきましょう!
本当は、絵も載せたいんですが色塗りしてないし白黒だしアナログ絵だしということで想像しながら見て下さいすみません!!
いつかは載せたいと思っておりますです…w
めっちゃ長いので覚悟してください







































・『蝶姫』
~名前の由来~
私が蝶が好きっていうこともありそういう関係のお話を書きたいなーと。そのために無理やりにでも名前に蝶を入れたかったのですが、「蝶(ちよ)」だけじゃ物足りなく感じ。なので私のマビキャラから「リリ」という単語を付け加えようかとも考えました。
しかし、そうしてしまうと妖狐×僕の『凜々蝶』みたいな名前、というかそのまんまにさえなってしまい兼ねない。これはまずい。
しかしどうすれば・・・・・アアアアアアアアアアアアアアアア!!

・・・と、いうわけで。結局「姫」という単語をくっつけて『蝶姫』になりました。


~おおまかなキャラ設定など~
勢いで書いてしまったせいもあって、なんで人間嫌いになったのかの理由とか経緯とか実は途中まで考え付いてませんでしたw(大問題だねっ!?重要なところなのにさ)
彼女の性格的に、妹の燐姫を溺愛していて自分よりも妹を優先してしまいます。みんなの前ではカリスマ溢れるお方なのですが、妹の前ではまるで子供のように顔がいっぺんします。ただ強がっているだけで、ほんとは甘えん坊で寂しがりやなのです。
それでも妹のためを思い過ぎて自分の身体が限界に達していても気にしないところがあります。困ったちゃんなのです

紫栞から別れた魂の片割れで、紫栞の意識などはほとんどこの『蝶姫』に行っていました。すなわち核に当たる部分のようなものです。この人がもし本当に死んだり消えたりしたら。
紫栞も蝶姫もこの世からいなくなっていました。


蝶の妖という設定で考えました。しかし、いざ蝶の妖怪とグーグル先生に聞いても【蝶化身】しかいない。民話や伝承ものくらいしか情報がない。【蝶化身】という妖怪も、ページに行けば【蝶】という単語のほうに行ってしまう。
いや、私が見逃しているだけで蝶の妖怪探せばいるのかもしれないですが、私の頭ではこれが限界でした(
もう、創造ものでもいいからとにかく蝶の妖怪を創りたかったのです!!だって蝶の妖ってなんだか神秘的で素敵じゃない!?
というわたしの勝手な偏見です

~容姿について~
そりゃあもちろん。私の大好きな黒髪パッツンロングにしました。もう黒髪でパッツンでロングってだけで可愛くて綺麗でそしてどことなく魅了されてしまうほどの色気みたいなものがあるでしょ?っていう私の偏見で決まりました(爆
そしてどことなく色気があるように頑張って書いてました。色気を少しでも感じていただけていたなら幸いです

目の色は、最初は紫のつもりだったのです。ですが紫色は青と赤をまぜたらできる。ということを思い出し、急遽『燐姫』という妹を創り、『蝶姫』のイメージカラーは青になりました。





・『燐姫』
ここだけの話。最初に考えた時は「燐姫」という存在はいませんでした。しかし、プラシナと一緒に暮らしている&お互いに好きなのはなぜなのかという疑問を解消するために付け加えられた存在だったりします。
そして肝心の名前は・・・・プラシナはなんとなく炎のイメージ→東方の火焔猫燐ちゃんも炎っぽいイメージだよなぁ→あ、ちょうど漢字に『火』入ってるし、『燐姫』でいいかな

と、なったわけです。

紫栞から別れた魂の片割れで、この子は蝶姫のバックアップ役として存在していました。
なので、現代で一緒に過ごしていくうちに自分が元々姉と一つの存在だったことを思い出していきました。
しかし、燐の願いは「姉といつまでも一緒にいること」。
そのため、『紫栞』の存在をほのめかせ元ある形へ戻そうとする衣絽羽のことを極度までに嫌い迫害していました。

…結局、自分で一緒にいることを変に解釈して最後は『紫栞』へと。自分から戻ることを選びました。

~容姿について~
蝶姫と瓜二つなのですが、特徴として目の色が赤色であることと姉より髪の長さは短めというところです。
性格は姉よりは子供っぽいです。それでも燐も姉のことが好きなのでお互い両想いという関係。
姉を傷つけるものは容赦なく殺しにかかります。そりゃあもう恐ろしいデス


この二人は双子でありながら元の存在は『紫栞』そのものなので。彼女たちの運命はどちらも同じような目に会います。
それはそれは残酷なことです。







・琴神音リリボン
 この子は単純に私のメインキャラから名前を取りました。あだ名もギルチャで使われてるものばかりなのですが・・・。最初、考えた時は「お嬢様だけど少し内気でおとなしい可愛い女の子」というイメージでした。
お嬢様設定にしたのはいいのですが、親はいるのかいないのか。そこもまた考えるべきところでして、結果的に「内気でおとなしいのは親がいないから」という設定を後で付け加え。
話を考えるうちにどんどん設定が付け加えられ、結果的に魔力が高くて注目されているセレクシオン(エリート)の一人だということになりました。
ちなみに、この性格設定。中の人の性格と同じだったりします。内気で人見知りです・・・シクシク

~容姿について~
容姿は『蝶姫』、『燐姫』とほとんど同じような感じです。ただ、本物のリリボンちゃんはいつも寂しそうな表情をしている感じですかね?『蝶姫』が表に出てきてからは、まったくの別人のように振る舞っています。
制服の色も黒イメージ。瞳の色は紫。

~設定など~
両親はリリボンがまだ幼い頃に、琴神音家をよく思わない過激派に属していた一人の男性が勝手に敷地に上がり込んできてナイフで刺され殺されてしまいました。
その時に、『蝶姫』が表に出てきました。理由としては「殺されるわけにはいかなかったから」。
実はリリボンは『蝶姫』にとって、とても好都合な体質の持ち主でした。
生まれつき身体が弱く、それでも魔力は生まれつき高め。そして何より、【負の感情をため込みやすい】子だったのです。
なので、『蝶姫』はその体質もあっていち早く表に出てくることができたと言えます。

『蝶姫』が四神の力で神と同等の力を得た時。彼女の魂にも影響がありました。
『蝶姫』に影響されて、彼女の魂は生きる屍同様であり。彼女もまた、すべてを憎むようになりました。

その負担のせいで、浄化された時に。今までの全ての記憶を失いました。
…彼女にとっては、とても幸せなことなのです。





・玖蘭プラシナ
 当時、この話を考えた時いろいろ妄想爆発してまして「女の子と一緒に2人きりで暮らしてる話」を書きたくなって名前を使わせていただきました。。女の子好きだから一度くらい妄想小説書いてもいいじゃない!?w
で、そこで疑問が生じたのです。「なんで一緒に暮らしてるのか」ということ。これを考えるのに1か月くらいかかりました。
この謎を取り消すために、「リリボンは悪役になってしまったのを知っているがプラシナはそれに黙って従っている&分かってて一緒にいる」という設定を加えて。じゃあこの物語の前半はどんな思いでリリボンと一緒にいるのかというのを描こうじゃないかということになりました。
ちなみに彼女は左利きです。

~容姿ついて~
リリボンと違ってプラシナは『燐姫』の姿そっくりとかではなく。髪色は茶色、瞳は緑という感じで進めてました。

~設定~
ハンターの家に生まれた娘という設定でした(めっちゃザックリ)
魔獣に襲われ、一度は『蝶姫』に保護されましたが。
そのあとで女性に預けたシーンがあったと思います。実はその方が、学園長の上白沢菖蒲でした。
菖蒲が保護したあと、彼女の親戚の方の元へと預けられそのまま育ちました。





・美輝シェスリナ
 シェスリナはそのまんまですwギルドマスターなので生徒会長かなという設定に至り、この人といると本当に癒されるというかフレンドリーになれるということで「癒しの波長」っぽい能力持ってることにしました。能力の元ネタはソウル・イーターから。
性格は、ご本人そのまんまです(
母親が有名な予言者だという設定、シェスリナの過去を決めていた時にふと思いついてそのまま採用したのです。
なので最初からこの設定ではありませんでしたw

~設定~
父親は早くから亡くしており、母親は有名な予言者でした。
父親は病を患っておりました。シェスリナが生まれて、まだ間もない頃にこの世を去りました。
なので彼女は父親の顔を知りません。
自分を頑張って育ててくれた母親を一番尊敬し、大好きな母に恩返しをしたいと思いアパルリッター育成学園へ入学したほどです。
ですが、自分を庇って亡くなってしまい彼女はずっと守れなかったことを後悔していました。
寂しい気持ちと、より一層家族への想いが高まり。
学園でできた友達数名を誘って自分の名前を取り『sheth部』を作りました。
ただただみんなで遊ぶ部活ですが。彼女は誰よりもみんなのことを家族同然に大切にしていますよ-w-





・氷魔ルインティア
もう5年以上くらい?それくらい顔を出していないギルドメンバーの一人です。
氷大好きなほど、アイススピア使いにアイスマスター取った人なのでこの物語でも同じように氷大好きな設定にしました。
彼は、マビ内で氷だけだと敵によって不利な状況に陥る!とか言って、炎魔法も少し修練していました。
それをこの物語にも反映させました。雷魔法は嫌いなのか、頑なに使おうとしません。

イメージカラーは青です。というか、マビ内でも全身青かったんで青しか思いつきませんでした!w




・紅 テレリ
吸血鬼てれりん。本名は「テレリ・ラミア」
じつはギルチャでも自分のこと度々「吸血鬼」だと言っていてそのイメージが強すぎたのでこの物語でも同じように設定しました。
てれりんも猫が好きということで、猫が超好きなシェスリナとは度々話が合い猫についての会話が多かったりします。
マビの中では弓師なので、小説でも弓師という設定にしました。近接してるイメージが全然浮かばないw
真祖の吸血鬼ということなので、何か姫側の誰かと接点というか関わりを描いてもいいんじゃないかな。と思い、サフィラさんとの関わりを付け加えました。
覚醒すると、瞳、指先、足先が紅く染まり背中からはコウモリの羽根が生えます

sheth部の初期からのメンバーの一人でもあります。
シェスリナと出会って、人間の温かさを実感しました。そしてそれからは、極力血を吸わないように心がけるようになったのです。
時折、本能に逆らえないこともありますがいつも自分に嘘をついて血を欲しがる本能を必死に抑えつけています。





・狂瀬 クルセィ
今はもうマビにはいないかつてのギルドメンバーの一人です。
でもこの小説を作ったときはまだいたので、今でも小説の中では(私の中では)生きています。
マビでは錬金術が実装されたとき、この人は真っ先に上げて気づけば王政錬金術師になっていました。
なので小説の中でもシェスリナと同じく王政錬金術師として認められた人物という設定を付けました。
口癖「ナンダッテ」はギルチャでよく言っていたからです。あのころが懐かしいです・・・

私の中にあるクルさんのイメージは、とても冷静に物事を判断する人ですね。
なので、最後の戦闘シーンも。ハガレンリスペクトのような描写を入れましたが、とてもかっこよくできたと思います。





・木蓮 バラージュ
はぐみん。変態ロリコンというキャラ(ギルド内でのおふざけであって、本当にそういうわけではありませんので誤解しないでくださいね><)が強すぎて結局小説でもそんな設定に。
でも、強いんですよ?wちょっとたくましいなと思ったり。
メインキャラは人間で魔法メインなんですが、うちのギルドに入ってるのは近接で世紀末にいそうな風貌のジャイアントなので。
物語の中でもそんな感じに仕上げました。
はぐみんのキャラ的に、小説の文化祭へ向けて舞台発表の練習とか見てもらったら分かるのですが今でもあの流れはうちのギルドでは恒例ですw

この人も、初期sheth部メンバーの一人です。ジャイアントなので、皮膚の堅さは人間の数倍です。





・藍葉 ルーミア
マビ内ではシェスリナの旦那様。なのでみんなからは「パパ」と呼ばれているお方です。
たしかこの小説を最初に書いていた当時、まだいなかった気がします。
途中からの登場のために、あえて敵側についてしまった裏切者という設定に。
実は一部の台詞、中の人ご本人に台詞を考えてもらったことがあります。私が少し手を加えて物語に組み込んだの覚えてます。
私じゃ考え付かないものをいただいて、ほんとに助かりました。

sheth部に入ったきっかけは、シェスリナに「あんた、うちの部に入りなさい!」と強制ではありますが勧誘されたからです。
なぜルーミアを誘ったのかは、「いつも一人でいようとするから」という。シェスリナならではの優しさからなのです





・姫宮 深雪(ひめみや みゆき)
雪女と人間のハーフという設定で作りました。人間と妖怪の血が混ざってるので、深雪ちゃんはとても温厚な性格です。
もしも完全な妖怪だったら。ほんとうに氷のように冷徹だったことでしょう。

あんまり出番なくてごめんなさい!!

最初はいろいろと考えてたつもりだったんだけどなぁ…w
幼い頃からリリボンとよく遊んでいたっていう設定が実はありました。

なので、リリボンお姉ちゃんと呼び慕い心配していたのはそのためです。





・百碑璃虎(ひゃくび りこ)
【西】を守護する家系に生まれた、オッドアイの女の子。
彼女がなぜ、リリボンに加担したかというと。
幼い頃に、自分と同じ歳くらいの内気な女の子が若くして四大貴族を纏める頭として就任した。
それは、雨の日でリリボンの両親の葬式の日だった。
独りぼっちになってしまったと同時に、頭という重荷を背負わされた彼女のことを気にかけ心配していたからなのです。
そのうえ、困っている人を見ると放っておけないタイプなので。
まんまと騙されてしまいました。


ちなみに、深雪と璃虎を襲って操り人形にしたのはロアです。





・清幽隴渡(せいゆう りょうと)
【東】を守護する家系に生まれた男の子です。
青龍の争いを好まない性格なのと同じで、隴渡も争いを好みません。
彼が持っているジェムはとても珍しい。武器をもたないジェム。
つまり、水があるところでなら。その水が脅威になるということです。
朱巫家の雛とは幼馴染であり婚約者です。

あんまり出番なくてごめんなさいいいいい





・朱巫 雛(しゅふ ひな)
緋漓の妹です。【南】を守護する家系に生まれました。
唯一の巫女の家系でもあります。
危険予知の能力を持っています。これは生まれつきです。
隴渡とは幼馴染で婚約者です。

名前すごい試行錯誤したっけなぁ…w
最初はたしか、雛漓か雛巳だったか。何かしら3文字にしたかったと思うんですけど。
なーんか、しっくりこなくて。結局「雛」で落ち着いたのを憶えています。。

姉が失踪してから、彼女の性格は生意気になり口調も荒くたくなりました。
この姉妹の物語は、まあ…

最初から決まってました。結局対決するハメになる未来でしたね。





・朱巫 緋漓(しゅふ あかり)
朱巫家の長女として生まれました。巫女の家系なので、彼女が13歳になったら自動的に母から巫女としての仕事を継ぐ予定でした。しかし、彼女は「なんで私なの」と。
しきたりに厳しい家系だったことと、自分が女として生まれてきたこと。
何より、巫女になることを拒んでいました。重荷を背負うことになることが嫌だったのです。

その弱みにつけこまれ、姫に利用されてしまった人です。
右目に姫の魔力を注ぎ込まれ、「サイコキネシス」の能力を手に入れていました。

雛がそれを打ち消したため、いまでは「サイコキネシス」の力は残っていません。
本来の能力は「快復」。治癒の能力なんです。
全く真逆の力を手に入れてしまっていたせいで、使い方が分からないようです。少しずつ慣れてきてはいるようですよ。




・天海 刹那(あまみ せつな)
ニードレス元ネタその1。
名前から青いのがなんとなくわかるかと思います。
両親は離婚していて、母親と一緒に暮らしていますが劣等感を抱えていました。
母親は離婚してからおかしくなってしまい、自分の娘を溺愛…離さないくらいにベタベタくっつきたがるようになりました。
きっと、娘の存在が心の拠り所だったのでしょう。
しかし刹那はそれを本当は嫌がっていました。嫌がっていたけれど、母のために何も言わず。されるがままにしていたのです。

彼女は蜜柑と仲良しでした。母よりも蜜柑のことを心配していたのもまた事実です。
だから、「願いはあるか」と聞かれた時に。迷わずに「蜜柑を助けたい」と口にしました。

能力は「神速」。めちゃくちゃ速く動ける能力です。この能力も、ニードレスが元ネタです(




・橘樹 蜜柑(たちばな みかん)
ニードレス元ネタその2。
オレンジっぽい感じで、蜜柑と名付けました。

家庭が複雑で。両親が亡くなり、身寄りがいないので親戚の叔母のところで世話になっていたのですが。
この叔母、とにかく私利私欲のためには手段を選ばない卑劣な方です。
両親を事故に見せかけて殺し、遺産を全て奪い取り。その娘であった蜜柑の自由も奪っていました。

この叔母のモデルは地獄少女の犬が好きな女の子のお話に出てきた意地悪な叔母です。
本当に、酷い方だったので…。

猫の命も奪い。蜜柑の精神ダメージも、身体のダメージも限界でした。
そんなときに、姫が現れ。誘導されるがまま。彼女は叔母を殺して自由になりたいという願いを叶えました。

能力は「怪力」。とても小さい身体なのに、力持ちという子です。
武器の斧も、背丈よりも大きくとても重いんですよね。恐ろしい





・姫乃 梔子(ひめの くちなし)
ニードレス元ネタその3。
お嬢様という設定です。とても清楚な感じにしました。
名前の梔子は後に喋れなくなるからと、ニードレスの子そのままの名前です((((

緋漓とは大の仲良しで親友です。
実はこの子、無類の百合好き。緋漓のことが好きなんです。
一番最初に話しかけてくれた友達であり、気にかけてくれる人だったことが理由です。

緋漓のことを守ろうとして、怪我を負ってしまいました。当たり所が悪かったのか。
まさかの首を怪我しました。命に別状はありませんでしたが、代わりに声帯が切れてしまい声が出なくなってしまいました。
なので、普段はスケッチブックと黒ペンを持ち歩きそれに書くことでみんなと意思疎通しています。

巫女を継ぎたくないと弱音を吐き、泣いていた緋漓のことを心配していました。
姫に願ったことも「緋漓を守りたい」と言った内容でした。

武器は指輪で、そこからさまざまな香りを調合し放出します。
遠くにいる人や風景を覗き見ることができる「遠視」も持っています。



この4人は、よくある?お嬢様学校みたいな生徒みたいな感じにしたかったんです…
まあ、過去話や緋漓が実は雛の姉だったとか。

実は最初考えてなかったんですヨネー。
なんで姫の味方してるねん!と。自分で作ったキャラたちに対して自分で突っ込んでました。

ごめんなさい、私ツッコミのほうが得意でしてねトホホホ…(´;ω;`)

この子らもあんまり出番与えられなくてすみませんでした…





・上白沢 菖蒲(かみしらさわ あやめ)
名前の元ネタは、「上白沢」は東方の慧音から。下の「菖蒲」は、喰霊の室長からだったかな…?
はっきりとは覚えてないんですけれども。
足が悪く、車いすに乗っている点としての元ネタは舞姫の真白と喰霊の室長からです。
最初の頃は――始めて蝶姫の魂とお話したときは、足も悪くなく。普通に歩けてました。
ですが、途中で足を怪我してしまい。車いす生活を余儀なくされたのです。
車いすに座っているので、戦闘は皆無かと思われがちですが。実はまだ彼女現役です←ここ重要

車いすに、いろいろ加工というか。改造施してますw
戦おうと思えば戦える人です。ですが、描写が難しいため戦わせてないだけなんですよね(

家系が陰陽師の出。というのは実は途中から付け加えました。
最初はどことなく、不思議なオーラというか。只者ではない感を出したかったんですがね。。
それこそ、実は敵だったとか。人間じゃナカッター!とか
そんな風にしたかったんだけれども。

結局、人間で陰陽師の子孫という設定へ行きつきました。
完全に人間サイドです。

陰陽師ですが、アヤカシのことを『悪』とは決めつけない。心優しい人です。
実際、アヤカシすべてが『悪』ではないですからね。

彼女の言うことは正しいのです。





・綰堂神楽(わんどう かぐら)
学園長の秘書です。
最初は「桐」という名前にしたかったけれども、それだと喰霊と被るっつーことで没になりました。
結局、神楽で収まりました。

作者自身、この子の名前…。実はあんまり覚えられておりません(大問題)
なんでなんだろうなぁ。。
「秘書」で通してきたからかもしれません。
この子の武器はペンデュラムの糸です。なんでも切り裂く糸を放つことができます。

…本当に、それくらいしか設定がない。。
だめだこりゃ\(^o^)/

まあ、単に。学園長の秘書という存在が欲しかったんですハイ
でも、この子は菖蒲のことを一番に尊敬していて誰よりも菖蒲のことを気にかけている方です。
まるで、アビスが蝶姫を守るので一生懸命なようにね





・サフィラ・ヴィナツィオーネ
『ヴィナツィオーネ』というのはイタリア語で占い師のことを意味します。
本来は『ディヴィナツィオーネ』という単語で占いという意味なんですが。意味は似ているのでそのまま『占い師』という意味として名前をつけました。

当初、義母のことも考えていなかったのでこの名前にしてしまったところはあるんですが。本来の名前は『サフィラ・マギサ』です。
魔女であり占い師でもあるサフィラさん。
魔女という存在は、現代ではもう全滅してしまっています。原因はサフィラと黎音が魔女の巣に忍び込んで当時そこに集まっていた魔女を片っ端から殺したからです。


~容姿~
魔女兼占い師。ということで、頭からつま先までつきそうなほど長い布を被ってます。
そして右目に魔眼があります。これは生まれつきではなく、亡くなった義母のレヴィから受け継がれたものです。
この魔眼のおかげで、サフィラは過去、現在、未来を見通す魔女になりました。いいことも、悪いこともね





・サクヤ
サクヤさんはわかる人にはわかる。元ネタは東方キャラの十六夜咲夜さんです!
メイドで名前がサクヤなんだから言いたいことは分かるでしょ!?
というか、メイドの名前考えたときに「サクヤ」しか思いつかなかったから。っていうのもあるんですがね。。

一応、漢字表記の名前も考えてはありました。『朔鵺』
この子の設定は、結局最後まで決まりませんでしたわ。。
お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、過去編で姫の後を追ったあの『ヤヨイ』さんの生まれ変わりです。
ただ、生前の記憶がありません。自分がかつて姫の側にいたなんて、思ってもいないでしょう。
でも、少し感じるところはあったみたいです。はじめてなのにはじめてな気がしない。所謂、デジャヴってやつ感じてたっぽいですよ




・綾猫黎音(りんびょう れいね)
最初考えたときは、めっちゃ狂ってる子。っていうイメージで創ったはずなのに・・・w
いつの間にかそんな面影どこにもねぇ!!なんでや!!
魔女なので見た目は彼女が魔女になった時の姿そのまんまです。
幼い頃に、悪い魔女に両親を殺された可哀想な子だったりします。魔女に復讐したい。でも人間の私には何もできない。
どうすれば魔女に復讐できるか。考えた結果、大っ嫌いな魔女になることを決意。
魔女が嫌いな魔女。だから、サフィラと一緒に魔女の巣を壊滅させたときはとても楽しかったようです。

一応、ジェムを持っていてそれを使って一時的にではありますが、大人の姿に変わることが可能です。この状態だと普段使えない魔法も余裕で使えるようになります。パワーアップするってやつです。でも仮初のジェムなので使い続けると体に負担がかかります。
最後、ちょっと申し訳なかったです。最初は生存させるつもりだったんですが。
展開を考えているうちに、最後はあんなことに…w





・アビス
絡新婦の化身。蜘蛛の妖怪です。
この子、何気に作者お気に入りだったりします
話に組み込みやすく、タメ口キャラなのでw
誰よりも蝶姫のことを心配し、誰よりも忠誠心が高いです。

やはり、母親がかつて蝶に恋をしたからなのでしょうかね…?




・エコー
エルフの村の生まれ。動物の声を聴くことができる家系に生まれました。この能力はエコーの家系に代々伝わっているものです。
誰よりも動物が好きな子です。動物を傷つけるものは許しません。
・・・とは言っても、この子も長い時間を生き続け過ぎて、命の重みを感じなくなってしまっています。
過去のトラウマから、男の人が大の苦手です。




・ロア
エコーとはまた違うエルフの村の子でした。外で、憧れていた魔女をずっと待っていたところを知らない人たちに無理やり連れていかれ、不老不死の薬を作り出すためのモルモットとして酷い目にあってしまった可哀想な子です。
そのせいで、この子は狂気に飲み込まれてしまいました。人間は壊すモノだと思っています。なぜなら、人間が嫌いだからです。
・・・いえ、もしかすると『人の形をした者全般』嫌いなのかもしれません。
その中でも、仲間たちは例外。仲間意識はちゃんとあるいい子なのです。




・セト
生まれつき、目が見えず声がでないという障害を抱えていました。そして、口数が少ない。
それが相まって、上司や先輩から酷い仕打ちを受けていたようです。
それをただ黙って従っていましたが、死刑になることを知り慌てて村の外へ逃げ出しました。

燐姫のことを慕っており、自分と似ていると思っていました。



・美輝 樹里(みき じゅり)
シェスリナのお母さまです。
生まれつきから、未来を当てる予知能力を備えていました。
最初の頃は、ほんとうに小さな出来事くらいしか視えなかったのですが。成長していくにつれてだんだんと魔力も成長していき。
その魔力はどんどん膨れ上がるばかりで制御が効かないほどでした。

自身もかつて、アパルリッターの学校へ入学していた時期があります。そのためジェムを所持しているのです。
「これを持っていれば、私の魔力も収まるかも」と期待していたのですが、それとは裏腹に収まるどころかジェムに収まりきらないほどの魔力を秘めることになってしまいました。

彼女は、小さい頃に悪魔に出会います。その悪魔は樹里の心の中へ憑りつき悪さをしようとしました。
ですが、彼女は優しかったので。「こんにちは」と話しかけたところ、「変なやつだな」と。

そこから会話が始まり。いつしか悪魔は、悪さをすることなど忘れて樹里のことを見守る心優しき悪魔へと変わっていきました。
そう、それがシェスリナの精神世界にでてきた“影”の正体。悪魔そのものです。

年々高まり続ける魔力と、それに呼応するかのように視える未来の情報量も増えていきます。
そして、何年後かもわからない未来まで視えてしまうのでした。

危険視した蝶によって、彼女はどんなに抗っても逆らっても殺される運命にありました。
もし、生き残ったとしても膨れ上がる魔力で、身が持たなくなり命を落とすことになっていたでしょう。
結局、どちらを選んでも彼女の死は避けられなかったのです。
だからこそ、悪魔をシェスリナの中に住まわせずっと守れるようにと手を加えていました。
衣絽羽に目をつけたのも、紫栞との縁の糸がはっきりと見えたからなのです。


とても不思議な人というイメージで創りました。全てを知っていた人。という感じですね。





ここからは、過去編に関わっている方々のご紹介




・衣絽羽(いろは)
名前は衣を纏う羽根という意味を込めてつけました。簡単にいうと、衣でその姿を隠し他人を欺くっていう意味です。
あとは大昔の人物と言う事で「いろはにほへと」から。

九尾の妖狐。実はこの人が隠れた裏の主人公でした。
紫栞が2つの存在に別れる前から、紫栞のことを知っていた現代で生きる妖で唯一の存在と言えるほど。
幼い頃から紫栞と知り合っていました。
蝶姫が闇に堕ち、姫が輪廻転生を繰り返している間。この人は1万年以上も紫栞を探し続けるため生き続けていました。
衣絽羽にとって、紫栞は唯一の友達でした。突然の別れから後悔の連続。

最初はあの「玉藻前」が衣絽羽というのは考えてなかったんですけど。
同じ九尾の妖狐ということで、過去編はああなりました。ハイ


捜し続けていたとはいえ、途中で忘れていたのです。
それは、『紫栞』という存在ではなく。『蝶姫』という存在のほうが強くなってしまったこともあります。
つまり、『紫栞』という存在を知る者が少なくなってしまったことが原因です。

しかし、彼女に名前を与えたのはほかでもない衣絽羽です。直接関わりのある唯一の存在だから。
そのことが、思い出すきっかけにもなっています。

私自身、狐の妖怪が好きだったのでぜひ九尾の妖狐を物語に出したいと思って創ったキャラです。
実は最初、蝶姫の味方として登場させようか、学園本部の味方として登場させようかすごく迷ったのです。
実際、最初に思いついたお話では蝶姫のお手伝いをしに現れた。的な感じでした。
しかし、それだと本部側が不利になってしまいお話が終わらなくなってしまうことに気づきまして。
だからと言って、本部側につかせるのも難しい。
結果として、どちらの側にもつかない【中立】な立場なお方になりました。
そして、このお方の目的も徐々に出来上がり、良い感じにできそうだということでこうなりました。
・・・紫栞という名前、蝶姫との関係を物語終盤の終盤まで書くことができなかったのが一番の苦痛でした

ちなみに、彼女は着物を着ていますが重ね着しています。
重ね着している上の羽織は、母親の形見です。



・鏡汐(きょうせき)
鏡の付喪神です。妖怪でいうと「雲外鏡」に値します。
相手の心や、その人の想う人。つまり、「相手の心情や、これから起こること。過去現在を写し取る鏡」です。
本体は鏡なので、もしも鏡が壊れてしまうと鏡汐という存在はなくなります。

この子はもともと。銀霍という陰陽師が代々受け継いできた鏡でした。
ほんとに最初はなんの変哲もない鏡でした。
ですが、昔の日本にはまだ「鏡」というものがありません。つまり、とても貴重だったのです。

昔の人は、水面に映った自分の顔を見てそこでやっと「これが自分の顔なんだ」と認識できるくらいの時代ですからね。
今では当たり前のものですが、当時ではとても貴重なモノで。それこそ、身分の高い貴族などしか持てませんでした。
そんな鏡は必然的に、とても大事に大事に使われてゆきました。

その過程で、鏡に魂が宿り。彼女が誕生しました。
この魂が物に宿るという考え方は、どうも日本にしかないようです。得体のしれない者を信じていた名残かもしれませんね。

銀霍から受け継いだのは衣絽羽です。
持ち主が変わると、容姿が変わるという設定を付け加えました。

銀霍が持ち主の頃は、黒髪におかっぱ。赤い瞳で、着物も黒を基調としたところに少し赤い紐などが着飾られている感じ。
衣絽羽が持ち主になると、白髪に青い瞳。白い着物で青い紐がたくさん着飾られているような感じ。

こういうイメージで創りました。


・銀霍(ぎんかく)
清明が師匠の、陰陽師の一人です。性別は男性です。
京都弁で話します。すこしキツネ目っぽいイメージです。

この方が、衣絽羽の人生を後押ししたと言っても過言ではありません。
他の陰陽師がアヤカシを『悪』と決めつける中、この人だけはそうだとは思っていませんでした。

心優しい陰陽師だったのです。
ですが、彼は後に。衣絽羽を逃がしたとして、打ち首にされてしまいます。
それでも彼は、満足だったようです。



・巫(かんなぎ)
もう終盤なのに、勢いで出来上がってしまったお方です。
もう終わりかけで、登場させるかどうか非常に悩みましたが、私がなんとかしました!(めっちゃ曖昧)
本名は神の子と書いて『神子(みこ)』。
家が神社で、巫女になるため修行をしていました。
ある日、父親が「人魚に出会った」と言いその人魚の肉と血をもらい受けました。
ですが気味悪がった母親はそれを食べずに捨てようとしました。捨てようと台所のまな板に置いてあったところ、何もしらない彼女はその肉をパクパクと食べてしまいました。

分かる人は、わかるでしょう。あの八百年生きたと言われる伝説の尼さん「八百比丘尼」そのものです。
とは言っても、この方は八百年どころか九千年の時を生きてしまっています。
そのため、その体は人を超越してしまっています。
病にも侵されず、怪我もほとんどしない。ダメージを受けても平然とした顔で立っている。
誰がどうみても、強者に見えるよう設定しました。
髪の色が白いのは、長年生き続けてきたために色素が抜けてしまったからです。生まれつきアルビノとかそういうのではありませんよ

好きなことは「この世を見守ること」と「より強い者との闘い」。
服装は時代に合わせてころころ変えます。

大昔の方なので、髪の毛だけは切りたくないそうです。戦闘するときにどうしても邪魔になったので、一つに纏めたり、お下げにしたりと。
長い髪はそのままで過ごしていました。
切ればいいじゃんと言われそうですが、「女にとって髪は霊力が宿ったりするものなので簡単に無下にはできません」という理由と。髪を切ってしまえば解決するという発想がそもそもありません。


元ネタは、PSO2の地球編に出てきたファレグさん。まあ、雰囲気的にも似てしまっているので知っている人はわかっちゃうかもしれません…。
でも、設定は自分で考えたので!許してください!!!




・羽月(はづき)
過去編で、ちょこっとしか登場しませんでしたが。
この方は、紫栞にとっても衣絽羽にとってもかけがえのないお方でした。

彼女のサイドストーリーも用意していましたが。彼女のお話は本編とは関係がほとんどないため書きませんでした。
なのでここで補足として書きます。

元々は人間でしたが、生きながら妖怪へと変わり果ててしまった方でした。
彼女は人には見えないモノが見えるほうでした。
その中で、狐火が彼女に宿ってしまい彼女はキツネの妖怪となり果ててしまいました。

人を傷つけてしまう力を持った彼女は、人里離れた山や森の中へと自ら入っていき。
人間との交流を避けていました。
その中で、一人の少女と出会い。その少女は自分が妖怪だということを知っていながらも、ずっと寄り添い心配してくれた人でした。
『羽月』という名前は、この少女が名付けたものです。
最初は、この少女と羽月はお互いを気遣い合う友同士でした。次第に紫栞と衣絽羽と同じような両想いになっていきましたが
少女は人間の男性と恋に落ち、そのまま結婚。

やがて、少女は歳をとり。自分の娘が子供を授かりました。

その子供が贄巫女として捧げられ、蝶の妖になってしまう『紫栞』そのものでした。
つまり、その少女にとっての孫が『紫栞』だったわけです。

贄巫女として捧げられてしまい。その少女も歳を取り、亡くなってしまいます。
ですが、その少女から「孫をよろしく頼む」と頼まれごとを受けていました。
どうやら、孫はやがてそちら側へ行くことになることを。少なからず分かっていたようでした。

なので、衣絽羽が『紫栞』を連れて帰ってきた時。
驚いていたのはそういう経緯があったからです。

ちなみに、衣絽羽は正真正銘。羽月から生まれた妖怪です。
少女と羽月の子供…。と思ってください。




・N・マグヌス
最初は「N」という名前はコードネームのようなものにする予定だったのですが。
本名を考えて、「N」は名前そのものという設定へ変更しました。
しかし、魔女兼錬金術師という設定は最初から変わっていません。
右腕全体と右顔に錬成陣が刻まれています。それを隠すために、顔の右半分を仮面で隠し、右腕全体に包帯が巻かれています。
だいぶ怪しい恰好ですが、彼女はとても心優しい人なのです。

錬金術が専門ですが、魔法を学んだのも全て「人々のため」にと。研究していたからでした。
「再生の魔女」の異名を持っていました。壊れたものを治す力があったからなのですが、正しくは錬金術によるものでした。

ロアに「魔女は皆仲良し」と教えたのはほかでもない。Nでした。
ロアにとっての憧れの魔女はNだったのです。




・澪 楼藍(れい ろうらん)
影賊の長の娘として考えました。
影賊の生業は「暗殺業」です。しかし、彼女は人を殺すことを拒んでいました。
さらに、人を殺して報酬をもらうという仕事にいい印象を持っていませんでした。
最初は、「この仕事をやめたい」と父親に話すのですが拒否られてしまいます。
しびれを切らした彼女は、誰にも言わずに村を抜け出しました。その中で、追っ手に追われてしまいます。
その途中で、紫栞に出会うことになります。
紫栞のいる場所は、力のない者は見ることも見つけることもできません。
なので、追っ手はいつの間にか捜すのを諦めています。

彼女の最期の気持ちの描写。入れたかったのですが、…難しくて断念してしまいました(´・ω・`)
キャラクターデザインも、最初はヤヨイやサクヤに似たような雰囲気のキャラとして設定していたんですが。
とても穏やかな、優しそうな雰囲気のある女性へ途中で変更しました。
彼女が巻いていたスカーフは、ヤヨイへと受け継がれました。




・ロティー
エコーのお祖母ちゃんにあたります。
ロティーにも動物や植物の声を聴くことができる能力を持っていました。
一人称は「ぼく」なのに、口調は女言葉。ちょっと不思議な人です。

エルフの村の出です。
エルフは妖精なので、紫栞のことを始めて見た時。
彼女の身に降りかかるであろう、「何か」が見えていました。
しかし、それが「何か」までは分かりませんでした。ただ、不吉なことだということは分かっていたようです。
自分から側にいることを選んだ人でした。




・アラーニャ
アビスの実の母親です。
最初から、丁寧な言葉遣いで黒いドレスを着ているのは変わっていないのですが。
最初は、あんなに紫栞のこと大好き♪

…という感じではなかったんです。
話を考えている途中で、ふと思いついてしまった性格でした(爆
女の子が好きということではなく。彼女は、自分のことを一切畏れないことと。「食べてもいい」と言われたことに対して。
自分にちゃんと向き合って接してくれる紫栞のことが好きになったのです。
今までそんな人も妖怪もいなかったためでした。
最初から設定としてあった「心配性」は、残してありました

アビスは、紫栞とアラーニャの子供のようなものです。




・レヴィ・マギサ
サフィラの義理の母です。
最初はそれはそれはとてもやんちゃな女の子でした。常に反抗期といってもいいほどに。
彼女はもともと人間として生まれてきました。しかし、生まれつき左目に魔眼がありました。
その魔眼のせいで、彼女は人々から迫害を受け「鬼子」と忌み嫌われていました。
故郷である村を一夜にして、生まれ持った魔力で焼き払った張本人です。
その時に、たまたまNが通りかかってそのまま紫栞の元へ連れてこられたのでした。

Nはレヴィにとっての師匠と言っても過言ではありません。
しかし、最初は魔女になることを嫌い。Nから学んだ知識で危険なことばかりに手を出していました。

Nから最後に「紫栞を頼む」という言葉を聞き。
彼女はその後に、Nと同じ魔女になりました。しかし、蝶姫の元を訪れる前は。
人々を傷つける魔法ばかりに手を出していました。

Nの言葉と、過去何があったか。魔眼の力で「過去」を視て。
言われた通りに、「紫栞を救う」ため。彼女は接触を試みたのです。

それからは、過去編であった通りです。
彼女の魔眼は左目にありますが、娘のサフィラの魔眼は逆の右目にあります。


・弥生(ヤヨイ)
サクヤの生前の姿です。
両親を亡くし、一人で生きていかなければならない子でした。
次第に森へと迷いこみ、姫達の世話になったのが始まり。
彼女がもっている時間停止は、楼藍から授かったものです。
過去編初登場でいろいろ「ムニェカ族はなんたら」と言っていたとおもいますが。
あれは虚言です(ぇ

別に虚言癖というわけでもないのですが……
よくある現実逃避みたいなものです。


嘘ですゴメンナサイ!!!
「ムニェカ族は光に弱い」っていう設定だったんだよぉおおお

辻褄合わせのために虚言としておいてくださいお願いします((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル

槍はブリューナクで間違いないけれどもね。
ムニェカっていうのはスペイン語で人形って意味なんです。
生き残ったあの胸くそ悪い退魔師おじさんが、そうやって吹聴して回ったのも原因の一つです。

「あいつはまるで人形のようだ」とね。
それが噂になって「ムニェカ族」という言葉が出来上がってしまいました。

…よくこんなにも非道な男を創り上げてしまったなと自分でも思います。
私、こういう自分だけが楽して他人を苦しめるようなやり方してる人。特にこの男は大っ嫌いなタイプです。
キュウべぇとかもう、殴りまくりたいくらいやわ(話が変わってる変わってる




紫栞に仕えていた4人と、蝶姫、燐姫に仕えた4人にはこんなにも接点があったのです。
結局、娘や孫たちは同じ道を辿る。
でも、経緯はみんな違う。
縁の糸はそんな簡単には切れないということを表現したかったというのも理由の一つです。


紫栞のキャラ設定は目次3のほうでお話します。

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第167話 蝶とオキツネサマ終 
狐は愛する者を想う。
一人の優しき陰陽師との出会い。鏡との出会い。

蝶の願いは成就する。






都に陰陽師がやってきた。
上皇がおわします城に、強力な妖怪がいるという噂を聞きつけてのことだった。

衣絽羽は、今までばれないように過ごしてきたつもりだった。
なぜバレたのか分からなかったのだ。


陰陽師は二人やってきた。
安倍清明という者と、銀霍と名乗る陰陽師。


「なんだお前らは!」
「…ここに、妖怪がいるのではないかと思い訪ねてきました。…後ろにいますね?」

清明はどこにいるのかも御見通しだった。
そして、姿を見つけると

「……これは参った。とてもお美しい妖怪だったようだ」
「……」

「彼女にだけは手を出すな!」
「上皇様。貴方の身に降りかかっている病の正体はそこにいる女性なのです。それでも、この女性をかばうのですか?」
「私が心から愛し、私が自ら選んだ女だ。正体が妖怪だろうと関係なかろう!」

そんな言葉に、衣絽羽は心揺れてしまった。
もうこの陰陽師に滅されることを覚悟して、逃げようとはしなかった。
だが、逃げろと言って背中を押したのは上皇だった。

「そなたには、生きててほしい」

その言葉と構図に、あの時男どもに追われ仲間たちがやられた光景が思い起こされた。
だが不思議と憎しみは沸かなかった。

『生きて』

その言葉に、おキツネサマは自然と体が動いた。
物凄い速さで城から抜け出し、キツネの姿になり都から出て行った


「…狐の妖怪か。厄介だな」
「――清明はん。ここはうちに任してくれんかいな?」
「構わないが…。何か、策はあるのか?あの妖怪は手強いぞ」
「いや、なーに。少し気になるんや」






衣絽羽は、どこまでもどこまでも走り抜けた。
やがて、一つの洞窟を見つけると結界を張り籠った。


数日間ずっと、衣絽羽は身を丸め目を閉じていた。
瞼の裏に浮かぶのは「紫栞」の姿。

紫栞を想えば想うほど、涙が溢れ止まらない。
だが、もう疲れ果ててしまっていた

――このまま、消えてしまえば…


そんなことを思い起こしていた。



もうすぐ、洞窟に籠って5日が経とうとしたとき。
陰陽師が一人、この場所にやってきた。

それは銀霍と名乗った、京都弁の陰陽師だった
易々と衣絽羽が張った結界を通り抜け、洞窟の中へ入ってきた。

身を丸めながら、眠っている狐に話しかける

「……オキツネはん。あんさん、ここで一人消えるつもりかいな?」

話しかけられ、目を開ける。
もう生気などなかった。とても疲れ果ててどうなってもいいといった目が見える

「内側から妖気を発して、人間を死に至らしめるほどの妖気を持ったあんさんが。なんでそんなに悲しそうな顔をしとるんや?」
「…悲しい…顔…?」
「ここにはいない誰かを見つめているようや。けど、その人はもういやへんから諦めてるのとちゃう?」
「……そう、じゃな…。どれだけ願っても、もう妾の願いは叶わぬ――」
「せやからって、諦めるんかいな」

衣絽羽はもう何も言わなかった。
銀霍は、懐から鏡を取り出した。

始めてみる物に、衣絽羽は興味津々だった

「…なんじゃ、それは…?」
「……これはな、相手の心や想いを写し取る鏡や。この鏡があんさんを心配しとるで?」
「鏡が…妾を…?」

そういうと、その鏡は光を帯びやがて人の形を成した。
黒髪に、紅い瞳。
綺麗な着物姿の、子供だった

その子供は大きな鏡を抱えていた。
そしてそれを衣絽羽へ向ける

そこに映し出されたのは、紫栞の姿。
映像が流れ始め、衣絽羽は次第に鏡へ手を伸ばし。自然と紫栞の頬へ行きつく。
映像が消えると衣絽羽はうなだれてしまった。

「……あなたの想う人はまだ、生きている」

子供が言った言葉に信じられず顔を上げる。
子供は次に、衣絽羽の頭に着飾られている蝶の簪を指さす。

「その簪。まだ妖力が生きてる。だからまだ諦めるには早い」

そう言われ、簪に少し触れてみる。
確かに、衣絽羽を守るような包み込んでくれるような温かい波動を感じ取った。

「ああそうか。せやったんか。あんさんから、あんさんのとは違う妖気を感じると思っとったが。正体はその簪かいな」
「妖力が籠ってるから。衰えてもいない。だからまだその簪を造った人はまだ生きてるよ」

そう言われ、衣絽羽はその簪を頭から取り改めて見つめる。
綺麗な金色の簪。
まだ紫栞の妖力は子供が言う通りに『生きている』

とても愛おしそうに、簪を持ちながら抱きしめた
そして同時に、衣絽羽にまた生きる気力が戻ってきていた。

「…生きているのならば、まだここで消えるわけには行かぬな…」

子供は微笑んでいた。
そんな光景を見た銀霍は

「うちは、あんさんを滅しようなんてちっとも思っとらんよ。むしろ、助けたい思とる」
「…陰陽師は、皆。妖を嫌っているのではないのか?」
「それは、何も知ろうとせず『悪』と決めつける阿呆や。あんさんは『悪』やない。…まだやり直せるはずや」


銀霍は衣絽羽に、大切にしていた鏡を渡した。

「鏡汐のこと頼むわ。この子はうちのような奴のところにおるわけにはいかんのや」
「…銀霍」
「いつかバレて、滅されるのが落ちや。そんなことにはならんといてほしいっちゅう、うちの我儘や」

そういうと、銀霍は去って行った。


鏡汐と名乗る雲外鏡は、衣絽羽が持ち主になった。
持ち主が変わり、鏡汐の姿も変わった。

白い髪に、青い瞳へと。変化したのだった


「…付喪神も、大変じゃの」
「うん。だから、大切に使ってね衣絽羽」





衣絽羽はそれから、移り行く景色。時代を見ながら人々の中へ紛れていった。
次第に、服装も変わり。時計ができて時間と言う概念が出来上がる。

町並みもどんどん様変わりしていく。
言葉遣いも変わっていく。


そんな変化を見ながら、少しだけ。
寂しいと思う衣絽羽だった。







紫栞を探して、1万年。
長すぎる時を生きた九尾の妖狐。


たくさんの人々を見てきた。
たくさんの物を見てきた。



樹里との出会いも忘れてはいない。


「オキツネサマ。一緒にお茶でもいかがです?」


樹里が「紫栞との縁の糸は切れていない」と言った時。
とても安堵し、少しだけ嬉しくなったのを憶えている。









紫栞が、衣絽羽の顔を覗き込んでいる。
衣絽羽の頬を優しく包み込むように手を当てる。

そして、そっと。唇と唇が重なりあう。
その気配で、衣絽羽は目を覚ました。

しばらくそのまま。口づけを交わし合う。
顔を見つめ合う。

「――紫栞…」
「…おはよう、衣絽羽」

優しい笑顔。それだけで、衣絽羽は安心していた。

「唸ってたから、ちょっと心配で…。何か夢でもみてた?」
「……そうな…。昔の…、大昔の夢じゃった」

衣絽羽は起き上がると、紫栞へもたれ掛かりそのまま押し倒した。

(…紫栞の匂い…。久しぶりじゃ…)

「もう、衣絽羽ったら。猫みたいよ」
「妾は狐じゃ」

衣絽羽は紫栞へ頬ずりをしていた。とても嬉しそうに。

紫栞は、ふわふわの九本の尻尾を見て。
気付けばモフモフと。触っていた。
尻尾を触ると、衣絽羽はさらに顔を赤くしてとても気持ちよさそうな顔をしている

「……尻尾も立派になって。幼い頃の衣絽羽がとても懐かしいわ」
「紫栞も。綺麗になったのう…、妖をも魅了する蝶じゃな」

そう言われ、紫栞は顔を赤くする

「…もう、衣絽羽ったら」
「事実であろう?…現に、妾はお主に惚れておる」

衣絽羽の正直な告白に、紫栞はさらに顔を赤くし目を潤わせる。
その様子はとても可愛らしい。

「……口づけ。してくれたの、嬉しかった…。ずっと、――ずっと待ってたから」
「…気づいておったのか?」

衣絽羽は驚いていた。
あの日、口づけをしようとして直前でやめたことを知られていたことに。

「――私も、衣絽羽が好きだから…」

紫栞からの告白に衣絽羽は顔を赤らめる。
紫栞の綺麗な身体に、姿に、顔に。目がいってしまう。

本当に、魅了されてしまうほどに。

紫栞は顔を赤くしながら、仰向けに寝ている。
目を閉じながら、衣絽羽を待っているかのように見える

「――もう、我慢できぬ…ッ」

衣絽羽は紫栞の首に顔を埋める。
そしてペロっと。首筋を舐めた。
甘い声と吐息が聴こえてくる。

身体に口づけをするように、愛おしい者へ甘えるように。
衣絽羽は紫栞と身体を重ね合った。

「…なぜ嫌がらぬ。これでは、妾…止まらなくなってしまう…っ」
「いいの。…これが、私の…。――私の、願いだから」

その言葉に応えるように、唇同士が重なり合う。
紫栞の腕が、衣絽羽を包み込む。

(……やっと願いが叶った。衣絽羽と2人きりで、ずっとこのままでいたいっていう。私の、願いが――)

「もう、二度と離さぬ。ずっと、…ずっと一緒じゃ」
「うん…」







巫が、キツネと蝶が住まう家を木々の枝の上で座りながら見守っていた。

「蝶と狐。とても不思議な組み合わせな、不思議なお二方。ふふ、見ていてとても微笑ましいです」

――人に裏切られ、絶望した蝶。
かつて人間だったからこそ。人々の願いを叶えるために捧げられてしまった可哀想な贄巫女。
だからこそ彼女は蝶となった。

願いを受けて生を終えた故に。


「……ワタクシもまだまだ、生きなければならないようです。この世を、見守り続けるためにも」


おわり

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第166話 九尾~ツヅラオ~ 
森へ広がっていった呪いは、キツネの身をも黒へ染め行く。

これは、衣絽羽が歩んだ人生の。
一つの御伽噺。






紫栞が2つに分かたれた後。
衣絽羽は1匹だけ同じ仲間の狐を預けた。

だが、それからはあまりあの者たちに会いに行ってさえしていない。
会うのが辛かった。見るのが辛かった。

自分が初めて恋をした相手が、―――もういないなんて。
信じたくなかったからなのかもしれない。

仲間たちはそんな元気がない衣絽羽を心配してくれる。
だが、おキツネサマの頭の中には常に「紫栞」の文字。
彼女の、優しい笑顔が思い浮かぶのみ。


「…会いに行かなくて、良いのですか?」
「――…会いに行ったところで…。妾の心は、辛くなっていくばかりじゃて…」



外を見ながら、黄昏ている。
その時、衣絽羽は不吉な予感を感じ取った。

預けた狐の気配がしなくなったからだ。
その狐はいつも2つに別れた紫栞を――蝶姫と燐姫を見守っていた。

だが、何度信号を送っても何も返ってこない。
まさか と。思ったその時


家の周りに、人の気配が数人した。
そしてその人々は家の中へあがりこんできたかと思うと、片っ端から仲間たちを殺されていく。

あまりの急な出来事に、衣絽羽は目を疑った。
その場で固まってしまっている

「衣絽羽様!はやくこちらへ!!」

いつも心配してくれていた仲間の一人が衣絽羽を逃がそうとしてくれていた。
その声で、衣絽羽は我に返り言われるがまま家を出て走り抜けた。


だが、追っ手はやってくる。
そいつらは全員男で、「アヤカシめ!逃がさんぞ!」と。
妖怪だと見破っていた


一旦、仲間の変化の術で追っ手を撒くことには成功した。
木陰の下でしばらく休む

「……何がどうなっておるんじゃ。なぜいきなり…」
「分かりませぬ…。しかし、奴らは我々を妖と見抜いております。ただの人間ではないかと」

その会話をしていた時。
周りを囲まれていた。

もう、逃げる術も逃げ道もなかった

「…ここは私がなんとかします。衣絽羽様はお逃げください」
「よい!妾のためにそんなことまでせんで良いのじゃ!!」
「衣絽羽様は、生きてください。いえ、生きなければなりません。愛する者のためにも――」


そう言って、最後に生き残った仲間の一人は男たちにキツネの姿になりながら突進していった
だが、精一杯の抵抗も空しく。

その仲間も、男たちの手によって滅されてしまった。

それで、衣絽羽はわかったのだ。
この男たちは「退魔師」と呼ばれている者たちなのだと。

目の前で仲間を一人残さず殺され、また一人になってしまった衣絽羽。

「……よくも…、妾の大切な…キツネたちを、滅してくれたな…」


衣絽羽の頭の中には「殺す」の文字。
もう、紫栞のことは考えていなかった。

ただただ目の前にいる男どもが憎くて憎くて堪らなかった。

衣絽羽は憎しみで我を忘れた。
そして、その憎しみによって尻尾は9本へ分かれた。

九尾の妖狐の誕生の瞬間だった



尻尾を自在に操り、衣絽羽はその場にいた男全員串刺しにした。
そして、血を浴びたオキツネサマの目には怒りと憎しみが渦巻いているのみ。



―――「…人間。許さぬ…!」



戦場と化し、炎で焼かれていく森。
そんな森の中を、凄まじい妖気を放ちながら一人歩くオキツネサマだった。



その間に、月日はどんどん経っていく。
だが、そんなものは彼女にとってはどうでもいいことだった。




それから、どれだけ歩いたのだろうか。
『人間に復讐してやる』その思いのみを抱えて。

やがて、京の都へ辿り着いた。


――…内側から、じわじわとなぶり殺しにしてくれる…!

彼女の目には「憎しみ」しかない。
仲間を殺された憎しみ、独りぼっちになってしまった哀しみ。

ずっとずっと。心は泣いていたあの日。
あんな出来事があってから、彼女は可笑しくなってしまった

目に映るは都。
一刻も早く潜入しようと都へ向かって歩き出す。

「こんにちは、おキツネサマ」

女性の声。後ろから声がした。
さきほどまでは、誰もいなかったところから声がした。

衣絽羽は目をギラギラさせながら振り向き、その人物を見た。

巫女のような出で立ちをした、長い黒髪を綺麗に整えている女性が目に映った。
優しい笑みを浮かべている

「…妾に、何の用じゃ。人間」
「これから、都に行くおつもりですね?人間への復讐のために」
「そうじゃな。復讐するつもりじゃ、妾の同族達を弄んでくれた人間へ、の。……お主、妾を止めるつもりかえ?」
「貴女様を止めに来たのではありません。少しだけ…、助言をしに」

「助言?」
「復讐するのも貴女様の自由ですから。私は止めはしません。ですが」


「―――忘れてはなりませんよ。貴女様にとっての、大切な方の存在は」



巫女はそれだけ言うと、立ち去って行った。
何のことか分からなかった衣絽羽はそのまま――都へ潜入した。




美しい女性の人間へ化け、名を「葛の葉」と偽り上皇を惑わし
そのまま上皇の住まう城へ住み着いた。

やがて「玉藻前」と名前を与えられ、彼女は被虐の限りを尽くした。
だが、上皇はそんな彼女を愛していた。
彼女の言う事ならばと、なんでも叶えてくれるほどに。

都に住む者たちへの苦難は増すばかり。
金を貪りとり、歯向かった者には有無を言わさず罰を与えた。
独占国と化した京の都。

「玉藻前」と名付けられた彼女は、妖気を都へ充満させていった。
彼女の強力な妖気は毒となり、病として広がっていった。
それは、側にいた上皇にも及んだ。

そうやって、人間への復讐を果たそうとしているオキツネサマ。


だが、ある日に。
彼女は外を眺めていた。美しい、桜の咲く。中庭が好きだった。
桜の花びらは舞い散って行く。

花びらを見つめている時。1匹の蝶が目に入った
その蝶はとてもきれいな紫色をしていた。

「―――…蝶…。紫の翅…」

手を伸ばすと、その蝶は彼女の手へ止まった。
あまりの綺麗な翅に、おキツネサマは見惚れていた。

その時、思い出したのだ。
小さい頃に出会った、少女のことを。

―――紫栞のことを。


「……し、おり…。なぜ…、妾は…。妾は……!!」

思い出した時。その蝶は飛び立ち、姿が見えなくなってしまった

「紫栞!!」

思わず、叫ぶ。手を伸ばし掴もうとするが、掴んだのは桜の花びらのみ。
涙が溢れる。

使いの者たちが「何かありましたか」と、様子を見に来た。
大声がしたので、駆け付けたそうだった

「――…いえ。なんでも、ありませぬ」





それから、おキツネサマは忘れていた存在を思い出してからは。
毎日毎日空を見上げていたという。

そして、人々を苦しめるようなことを強請るのも、命を下すのもやめた。
上皇からも心配される。

やがていい雰囲気になり、何度か身体を重ねるようなことになることもあった。
だがいつも。

おキツネサマはそのような雰囲気になると「すみませぬ」と。
いつも断りを入れていた。

それは、いつかもう一度紫栞に会えた時に戻れないところまで行かないように。
身体を穢さないようにしてのことだった



人々の苦難は去った。
だが、人々の不満はもう限界だった。
突然の号令に、人々は信じられなかった。

そして、そんな中で。
この都に「陰陽師」という者が現れた


「―――この城に、妖怪がいるそうだ」
「ほんまですかいな。ほんなら、一仕事といきましょか」

つづく......

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第165話 壊れていく森 
森の中で過ごした時間。
消えていく命。
絶望していく蝶。

呪いの森と言われる所以は、ここにある。





帰りを待っているアラーニャとロティー。そして燐姫、弥生
中々帰ってこないので、アラーニャは様子を見てくると言い立ち上がった時。

周りに、殺意を感じた。

「…人間?なぜここに?」
「ここにも妖怪がいたぞ!人々のためだ、ここで滅せよ!」


その言葉に、アラーニャは聞き覚えがあった。
あの、不思議な術を使う『退魔師』の男の仲間だということはすぐにわかった。

「――弥生。燐様を連れて、遠くまでお逃げなさい」
「アラーニャ様?」
「早く!!この下郎どもは、ワタクシたちを殺めるつもりでしてよ!」


弥生は言われるがまま、燐姫の手を掴み逃げていった。
ロティもそのあとに続く

「ロティ、燐様のことお願いしますわ」
「…分かった。アーニャも気を付けて」


「逃げたぞ!追え!――ッ!?」

燐姫たちの後を追おうとしている男に、アラーニャは足止めのために拠点全体に巨大な蜘蛛の巣を張り巡らせた

「――行かせませんわよ。ワタクシの紫栞様に触れることは、指一本許しませんわ」

(ここだけは、守り通さなければ。紫栞様が愛した、この森を――)





追ってくる人影はアラーニャの妨害で少なかったが、それでも呪術を使役する者から逃げることは容易ではなかった。

「……弥生。姫様を連れて遠くへ。絶対に手を離しちゃダメだよ」
「ロティー様!?まさか、囮になる気じゃ―――」

弥生が言い切る前に。
ロティは振り返る。とても優しい笑みを浮かべていた

「……動物さん達を逃がしたら後から追いかけるから。さあ、行って!!」


弥生は、言われるがまま燐の手をしっかり掴みさきへ進む

「ロティ!ロティ!!」

燐の呼びかけに、ロティは小さく手を振った。



―――紫栞様の身に降りかかった不幸。
予想していたよりも、えげつないことになってしまった…

そうならないように側にいることを決めたのに。
結局、何もできずに終わりそうね…。

せめて。姫を―――紫栞様の魂をお守りしよう。


ごめんね、エコー。
もう会えないかもしれない。

こんなお祖母ちゃんを許して―――









レヴィは、森の中の動物たちがやけに騒がしくどこかへ逃げていくのを見て。
胸騒ぎを便りに、Nの姿を捜していた。

すると、Nが楼藍を肩で抱えながらよろよろと前から歩いてくるのが見えた
腹や腕から、血が滴り落ちているのが見えた。

「――N!!」

名前を呼んだ時、Nは崩れ落ちた。
横に転がった楼藍は、かなりの重症だった。

それはNも同じで――

「…悪いな、レヴィ…。お前の、言う通りに。行かなきゃ…よかったな…」
「酷い傷…。手当てを――」

手当てをしようとしたレヴィの手を掴む。
その掴む手にはもう力がほとんど残っていなかった。
右腕の包帯もほどけ、仮面にもヒビが入っていた

「もう…、遅い…。レヴィ、頼む。姫を――紫栞、様を…守って、くれ…」
「何言ってるんだよ…N…。守らなきゃいけないのはNだろ!?」
「――ははは…。できることなら……、もう一度だけでいいから。紫栞様に…会い、た…かっ…た…な」

そういうと、Nはレヴィに魔法陣を展開させた。

「N!?」
「……これが、俺の。人生最期の……魔法だ」

魔法陣が光り出すと、レヴィは森の外へ弾き飛ばされる
遠ざかっていく師匠の姿に、レヴィは何度も叫んだ。


ごめんな。重荷を押し付けちまって…。
よろしく、頼む――

ロア……会いに行けなくてごめんな……

2人とも
立派な、魔女になれよ








黒く染まった蝶は、男を追いかける道中で剣を持っている村人たちを襲撃し。
その剣を奪い取ると、片っ端から人々を殺していった。

殺人鬼と化した黒き蝶。
彼女は泣いていた。ずっとずっと信じていた者からの裏切り。

憎しみ、哀しみ。涙は溢れ続け止まらない。
紅い血をその身に受けながら、彼女は大切にしていたモノを自らの手で壊していく。



妹も、討たれた。
上から妹が姉へ覆いかぶさって庇うようにして。

お互い血まみれのまま。槍に貫かれて死んだ。




「どうして。こんなことに…」

弥生は泣いていた。
血まみれの姫達。

お互い、重なり合うように眠る双子。
その双子の血は、次第に蝶の文様を刻む。


ロティは、燐を逃がす途中で。
一人、足止め役を買って出た。

そして、いつまで経っても戻ってはこなかった。


弥生も、殺されそうになっている。
必死に逃げる。
涙を流しながら、逃げる。逃げる。逃げる。

その逃げていく道中に。
何かに躓いた。

躓いた何かを見る。

振り返ると、それは師匠である楼藍だった

「師匠!」

身体を揺さぶる。
だが―――

「…そんな。師匠…師匠…!!」

もう、息などなかった。
隣に倒れているNも、同じように息をしていない。


涙が溢れる。
絶望するしかない、この状況に。

森が急に、炎に包まれる。
誰かが、火を放った。

「本当に…、人間は抹消するつもりなんだ。私たちのことも、姫様のことも――」

弥生は、楼藍がいつも身に着けていたスカーフを手に取った。
そしてそれを体に巻き付ける。

弔ってやることもできない。

炎の魔の手がやってくる前に。弥生はその場から離れていった。





炎が、森を包み込む。
拠点を囲むように蜘蛛の巣も燃えて行ってしまう。

全てが燃えてしまう前に、アラーニャは最期の力を振り絞り。
何重にも蜘蛛の巣を張り巡らせる。


「……我が子の、顔も…見れないなんて。母親としては、残念ですわね」

アラーニャはここに残ることを決意した。
そして、何重にも糸を重ね繭を作り始める。

「……短い生でしたけれど、今までで一番。愉しいと思えた仲間たちだった―――」


「アラーニャ様!」

その時、同じ一族の。かつて共に狩りをした部下の姿が目に入った。
蜘蛛の巣の向こう側にいた。

――ごめんなさい。
貴女のことも、一族のことも裏切った。こんな私をまだ慕ってくれているというのに。

蝶はワタクシを畏れなかった。それが、一番嬉しかった。

蝶に恋をした蜘蛛の最期なんて。
こういう終わり方で、いい。


けれど、我が子を残すような真似になってしまいましたわね…。
アビス…。ごめんなさい。



ありったけの蜘蛛の糸を作り上げ、やがてアラーニャの顔は白い幕で覆われ見えなくなる。

部下は一人。
アラーニャの気持ちを理解できぬまま。
生き続ける限り、蝶の存在を恨み続ける。


全ては拗れていく。


そして、魔の手は衣絽羽の身にも及んでいく。
まるで、呪いが森全体へ伝播していくように―――

つづく......

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第164話 黒い翅 
なぜか消えてました(´・ω・`)
なのでもう一度更新します…w



自分と違うモノを拒む
似て非なるモノを拒む

アヤカシを拒む。

それは、裏切り。我らを創り上げし者からの―――裏切り






「そんじゃあ、行ってくる」

楼藍とN。それから蝶姫。
村の人々へ食糧を届けに行く日。

いつものように3人が拠点を出て行った。


村へ行く道中。
楼藍は何か違和感を感じていた。

いつもなら、あの衣絽羽が預けていったキツネが見守っている視線があるのに。
今日は、どこにもキツネの気配がしなかった。

気のせいかと思いながら、3人は村へ辿り着く。
食料を分け与えようと、いつものように村を訪ねた。

いつもなら、村の人々は笑顔で迎え入れてくれるはずだったがこの日は違った。

「コイツらは妖怪の仲間だ!最期には村を丸ごと喰らってしまうぞ!!」

あの男が声を荒げる。
突然この村にやってきたかと思うと、いつも優しく接してくれるNや楼藍を妖怪だと吹聴したのだった。

「…なんだお前?ここの村のやつじゃねぇな」
「どうして、私たちをそんな目で見るの?」

村人たちの視線は、とても人を見るような目ではなかった。
まるで、化け物を見るような目。
だが、村人は半信半疑だった。

「けど…、うちの子とよく遊んでくれるし……」
「貧困な私たちに野菜を届けてくれる。とても感謝しなければならないことだ」
「おじちゃんのほうが嘘つきだー!お姉ちゃん達がそんなことするわけないだろ!」

村人数人の訴えは次第に人数を増やし、同調する者が多くなっていく。
そんな喧騒の中で、何か発砲音らしきものが一瞬聞こえたかと思うと、Nの左腕に着弾していた。
あまりの痛さに一瞬だが、よろめいた。

蝶姫はその弾がどこから飛んできたのか、はっきりと目にしてしまっていた。
それは、村人たちがいる方向からだった。信じられない蝶姫。

「おい、誰だ発砲したやつは!?」
「お、俺じゃねえぞ!?ほら、何も持ってないだろ?」
「この村に銃器なんかないはずだろッ!?」

どんどん騒がしくなる村人。
「誰がやったんだ」といつの間にか犯人探しが始まってしまった。

そんな喧騒の中、また発砲音がした。
今度は楼藍の足が狙われた。
Nも何度か狙われている。

2人は真剣に犯人を探すが村人たちで探そうにもそれどころではなかった。


「やめてよ……みんなやめて!」

蝶姫が叫んだ瞬間。


蝶姫の胸に、銃弾が当たった
それを目撃したNと楼蘭は、目を見開き慌てた

「姫!」
「姫様!!」

村人たちも、まだ年端もいかない少女が目の前で撃たれたのを見て一層騒がしくなる。
ますます犯人探しが加速してしまう。


「…どう、して…。なんで、…なんでよ」

撃たれたにも関わらず、死ななかった蝶姫の姿を見た村人は信じられなかった

「な、なんで生きてるんだ…!?」
「本当に化け物…!?」

驚き、後退する村人たちを見て。
男が追い打ちをかけるように、声を張った

「見ろ!この女はやはり妖怪なのだ!お前たちを取って喰うつもりだ!」
「…てめぇ、さっきから聴いていれば…!」


村人の一人が斧を持ってこちらに振りかざす。
それを見た蝶姫は、ひどく怯え。その村人がした行動を理解できなかった。

いや、理解したくなかった。

その村人は男の狂言を信じ、蝶姫達を殺そうとしているが。
顔はとても、「そうしたくはない」と言った…今にも泣きだしてしまいそうな表情だった。


だが、蝶姫にはその男の顔がとても獣のように殺意をむき出しにしている「鬼」のように見えていた。

「来るな…」

男が一歩前へ出る。

「来るなっ!!!」

蝶姫の髪が大きく揺れ動く。
風が巻き起こったかと思うと無数の青い蝶が舞い上がる。

男はその無数の蝶を全身に浴び、次の瞬間血が噴き出る

その光景を目にしてしまった村人は、悲鳴を上げその場から逃げようともがく

だが、村人を逃がすまいと追ってくる蝶の群れ。
触れられただけで数人が血を噴き出し倒れていく

「本性を現したようだな、妖怪。お前をここで滅してくれる!!」

男がそう声を荒げると、隠れていた仲間だろうか。
男数人が姫たちを囲み始める。


「…くそっ!」

Nは咄嗟に、転移魔法を行使した。
一瞬で詠唱完了すると、姫たち3人の姿はその場から消えた。

「…あいつ魔女か!」
「転移魔法だろう。恐らく遠くには行っておらん!捜せ!」







Nは転移魔法で、いつも魔法や錬金術を試している鍛錬場として使っている小屋にワープした。
姫に話しかける。
だが、もう目には正気がなかった。黒く淀んでいる

「…くそ、なんでこんなことに――」


『行かない、ほうがいい…』

レヴィが言っていた「行かないほうがいい」。
その言葉の意味を、この時はじめてNは理解したのだ。

―――どうしてこんなことに。

「もう、ダメ…。とてもじゃないけど、収束するような事態じゃなくなった」
「…姫様。お逃げください、ここから遠く離れて」
「――楼蘭?N?何をするつもり?」

「逃げろ」と言われた姫は、楼蘭とNがここに残ると言っているように見えた。

お願い。ここにいて。でないと―――

「…大丈夫です。必ず生きて、帰ってきますから」
「私たちで何とかしてみます」


もう、手遅れだ。
人を傷つけ広まった騒動は手をつけられないところまで来てしまった。
今更何をしても。私や仲間たちは殺される。

化け物と罵られながら…



楼蘭とNはまたあの村へ行ってしまった。
姫は2人が遠くに行ってしまいそうに感じた。手の届かない、暗い場所へ行ってしまいそうなくらいに。

手を伸ばしても、それは弧を描くだけ。


自分はとんでもないことをしたと自覚していた。
それと同時に、人間をみるのが――人間が怖くなってしまった。

今まで夢見ていたものは、なんだったのだろうか。
叶わない願いだったとでも言うのか?

―――自分が生まれてきたのは、何のため?

あれから、どれだけ経ったことだろう?
ずっとその場でうなだれ、佇んでいる


不意に、雑草を踏む足音が数人分聞こえてくる
その音に顔を上げる。

「楼蘭?N?」

名前を呼ぶ。だが、そこにいたのは――

「いたぞ。こっちだ!」


妖怪妖怪とうるさいあの男だった。
他に男数人もこちらにやってくる。

よく見ると、ところどころ服がボロボロになっている。

「楼蘭は!?Nは!?二人をどうしたの!?」
「――妖怪の仲間か。この私に『出ていけ』と言い放ったな。『出ていけ』と言いたいのはこちらのほうだ、妖怪。人々を惑わせる悪しき鬼よ。退魔師として、すべきことをしただけだ」

男は冷静に語る。
その言葉の意味を、蝶姫は理解してしまった。

『あの二人なら、もういない』

殺された。仲間を。大切な、温かい仲間を。家族を殺された。
こんな、人間に。


「……ユルサナイ…ッ」

蝶姫は絶望していた。
今まで築き上げてきたものが、全てこの男の介入によって音を立てて崩れた。
人間との交流。
どうして、そんなものを叶えようと必死になっていたのだろう。
誰かが願っていたことだから?自分が願っていたことだから?

――そうであってもなくても。
仲間が討たれ、村人に妖怪だとバラされ、その村人にも裏切られた。

蝶姫の頭の中には「裏切られた」

そのことだけが脳を支配していく。やがてそれは、憎しみへと変わっていく。
彼女の身体からは凄まじい妖気が放たれていた。

その異変を感じ取ったのか、男はすぐに呪符で盾を作った。
次の瞬間に、妖気はその場を黒く染めた。

姫の身体も黒くなっていく。
目が赤くなっていく。憎しみと悲哀に満ちた蝶の――悲しき誕生だった

妖気の波動で、盾を用意していた男以外の数名は中てられたのか一瞬で絶命した。

「許サヌ。絶対ニ…」


「絶対ニ……!!!」

そういう彼女の目には、涙が溢れ頬を伝っていた。


男は、あまりにも黒く染まったその姿に怯え一人逃げていった

「逃ガサナイ…、絶対ニ逃ガサナイ!!」

つづく.......

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第163話 子供たち 
歯車は大きく動き出す。

小さい頃の思い出。
幸せなひと時はいつまでも続くことはない






紫栞の仲間である、カーティルの娘に連れてこられ。
そこで目にしたものは、信じたくない光景だった

そこは、幼い頃に紫栞とよく遊んだお気に入りの湖だった。



「…どういうことじゃ。紫栞は…紫栞は、どこに!?」

どこにも紫栞の姿が見えない。
嫌な予感は的中してしまった。

紫栞の仲間たちに、居場所を尋ねると

「…目の前に、います」

その言葉の意味を理解したくなかった。
目の前にいるのは、青い瞳を持った少女と赤い瞳を持った少女。
まるで双子かと言わんばかりに、瓜二つだった。
そして、なにより。紫栞にあまりに似すぎていた――

「…まさか、この双子が?」
「……我々が来た時には…既に…」

信じられなかったが、衣絽羽は双子に――
紫栞に話しかけた。
だが、

「…お姉さん、だあれ?」

自分のことも、仲間のことも。
何一つ、覚えていなかった……




衣絽羽は、絶望しそうだった。だが、ここで絶望したら紫栞に申し訳ない。
だから、衣絽羽は仲間たちに。仲間のキツネを1匹、預けた。

なにかあった時、すぐ駆けつけられるように。



アラーニャも紫栞がいなくなったのをしばらく受け入れることができなかった。
だが、考え方を変えて


「この子達はきっと、紫栞様の娘達なんだわ。だったら、より一層大事に大事にお守りしなければ……」


そういうアラーニャは少し泣いていた。分かっている、何を言ったって紫栞は消えた。

けれど、この場にいる者達の目には愛らしい紫栞の幼少期に見えていた。
双子は最初から自分たちのことを『蝶』と『燐』と言った。
紫栞の娘たち。そういう思いを込めて「姫」と名付けた。

それから、彼女達を大切に見守りながら今まで通りにNもアラーニャも、ロティーも、楼藍も接した。



月日は経っていく。
もう言葉もよくなり、自分の頭で考えることができるまでに成長を遂げた。


そんなある日に、一人の少女がこの場所に迷い混む。


両親は亡くなってしまい、一人で生きていかなければならない。そんな少女が居場所を求めて、いつしかこの森に迷いこんだ。
今にして思えば、これも「願いを叶える存在」が導いたからなのかもしれない。


少女は、青い瞳と赤い瞳を持つ双子のようにそっくりな「姫」に出会った。
次第に、少女はこの場所が好きになった。



弥生は楼藍の出で立ちや、武器の扱い方を見てあこがれを抱いていた。
だからなのだろうか。自然と少女は楼藍とよく会話をしていた。

「弥生かあ。いい名前ね」

弥生は楼藍と一緒に過ごすことが多くなった。
やがて、楼藍を「師匠」と呼び慕い教えを乞うようになった。

「私が持ってても仕方ないものだから、弥生にあげる」
「え、でも……そんなことしたらもし戦いが起こったとき師匠は……!」

「こんな能力(ちから)持ってても誰かを傷つけるだけだわ。それに、私には合わないみたい」


弥生は楼藍から能力を受け継いだ。
それは時間停止の力。

楼藍の元で猛特訓の日々が始まった。



さらに月日は経っていく。
弥生も大人になり、姫達もすっかり綺麗な女性へと成長を遂げた。
その姿は、紫栞とそっくりだった。

アラーニャは、大きくなり大人になった姫達を見て一人紫栞のことを思い出していた。

何度か手を出しかけたこともある。
その度に、Nに怒鳴られていたが。

何もない。平和なひと時。
徐々に徐々に人々とも交流を広めていった。

時には村の子供たちと遊んだり。
食糧を分け与えたり。

次第に、紫栞が夢見ていた優しい世界へと近づいていく。




Nはレヴィの世話をしていたが、ある日に。
誰も訪れないような場所にエルフが座っているのを発見した。
そのエルフはまだ子供で綺麗な薄いピンクの髪を持っていた。

「どうした?こんなところで」
「……誰?魔女さん?」
「よく知ってるな。魔女が好きなのか?」
「…………憧れ」
「いつもここに一人でいるのか?」

少女はコクリと頷いた。

「俺でよければ、相手になってやる。お嬢ちゃん、名前は?」
「…………ろあ」
「よろしくな、ロア」

頭を撫でてあげると、少女はとても喜んだ

「魔女ってみんな仲良しなの?」
「……もちろん。同じ力を持つ仲間同士だからな」
「魔女ってどんなところに集まってるの?拠点みたいなとこ?」
「魔女の巣なんて呼ぶやつもいるが、まあ、あるっちゃあるな」

「魔女ってすごいんだね。大きくなったら私も魔女になりたいな」
「意欲旺盛なのは良いことだ。もう俺には必要ないから、ロアにやるよ」
「え、…………でもこれ、魔女さんの大切な」
「いいんだもう。将来なりたいと言ってる子に活用してもらえればそれで十分だろ?」

ロアは本を受け取った。
とても使い古された、1冊の本。

それから毎日。時間になるとNはロアに会いに行き、様々な話をした。
魔女の話を。いっぱい聞かせた







「明日からしばらく孫に会ってきますね」
「あら、お孫さんいたのねロティ」
「まだまだ小さいですがね」

ロティはこれまでも何度か、拠点を留守にすると言っていたことがあった。
『孫のエコーがおばあちゃんに会いたい』と。
何度かに渡って、自分の村へ戻っている時がある。

子供の話になったからなのか、

「ワタクシも、我が子が生まれ出でるのが楽しみですわぁ」

頬を赤らめて楽しそうに言うアラーニャ。思わず「えっ!?」と。合唱のように綺麗な驚きの声が響き渡った。

「何ですその反応は??」
「……相手の姿なんて見たことないから……ねぇ?」
「俺も全く知らんぞ。ていうか、いつの間に…?」
「僕も初耳……。おめでとう、アラーニャ」
「うっふふ♪紫栞様と育んだ愛の結晶ですわ♪」

Nはすぐさま拳骨を食らわす
頭に食らった拳骨に、痛かったのかしばらく手でさすっている。

「おま、いつの間にそんなこと!?」
「……?何か勘違いなさってません?もしかして、妖怪がどうやって生まれるかご存知ないんですの?」
「え、あ……??」
「妖怪は人間と違うから、想いが強ければ形を成すよ。相手なんてほとんど関係ないよ」

Nはそう言われて、今まで見たことがないほど顔を真っ赤にした。

「…え、そうなの?私もてっきり、誰か相手がいるのかと」

楼藍もNと同じことを思っていたようだ。

「生まれてきたら『アビス』と名付けるつもりですわ」

「アラーニャ嬉しそう。何かいいことでもあったの?」

蝶と燐がやってきて、アラーニャに寄り添いに行く
そんな愛くるしい姿にアラーニャは目線を合わせるため、少し膝を曲げる

「ええ、ありましてよ。もうすぐ、我が子が生まれてくるんです」
「子供?おめでとうアラーニャ」
「ねえねえ名前はー?何て言うの?」

愛おしそうに、姫を見つめながら

「アビスと呼んで上げてくださいな」

優しい声で応えた。



そんなやりとりを遠くでレヴィが見ていた。
それに気づいてNが近づく。

「どうした?中に入りたいなら入ってきていいんだぞ」
「あれが、Nがいつも話してる『紫栞様』?」
「……ああ。今は訳あって2つに別れちまったがな。優しいところは変わらずだ」
「……寂しいのか?いなくて」
「…………はじめて。尽くしたいと思えたお方だからな。寂しくないって言ったら嘘になる」

レヴィは一度だけ。
紫色の翅をもった女性を見ている。
今はいないと言われたとき。なぜだか、レヴィは妙な胸騒ぎを感じ取っていた


レヴィは、姫達がいるもっと奥の方に。
キツネがいるのを見つけた。
それは、優しく見守っているように見える。

なぜだか、レヴィはそのキツネがとても気になってしまった。
そして、しばらく見つめていると左目に

そのキツネが誰かに討たれる。

そんな光景が映った。





「…左目に?」
「ああ。…あのキツネって」
「…あのキツネは、紫栞様と旧知の衣絽羽様が何かあったときのためにと。ここに預けていった式だ」

その話を聞いて。
この前に、姫2人の姿を見て妙な胸騒ぎがしたときのことを思い出した。
その胸騒ぎはますます、強くなっていく。


「明日も、村に行くのか?」
「食糧を届けにな。留守番頼んだぞ」


そう、Nがレヴィの顔を見たとき。
レヴィの右目には真っ赤な光景が拡がっていた。
それは、ここの仲間全員が血まみれな姿だった


「…………行かない、ほうがいい……」
「……?レヴィ?」
「村に行くのは止めておけ。でないと!」
「心配してくれてるのか?それとも何か不吉なものが見えたか」

先ほどの『左目』の話を聞いて、Nは少しだけレヴィの右目を気にかけていた。
頭にぽんっと手を乗せる

「だーいじょうぶだ。こう見えても俺、魔女だったんだぞ?」

優しく語り掛けるように頭を撫でるN。
だが、レヴィの表情は一人。晴れなかった



平穏に時は進んでいった。
いつまでもこんな輝きが森中に広がって。
幸せな、平和な世界が続いてほしい



だが、現実は非情だった。


あの時、紫栞を滅しようとした男が蝶のアヤカシ達を嗅ぎ回り手を下した。

衣絽羽が預けていた狐を殺したのだった。
この出来事が、もう戻れないところまで最悪な形で拗れてしまうことになるなんて


誰も思わなかった。




つづく……

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第162話 引き裂かれた心 
元々一つだった。

一人の男によって狂った蝶の人生。


蝶姫と燐姫の誕生の物語。





おきに入りの場所で出会ったのは、人間だった。
こんな、妖怪しかいないような森に人間の男が1人いる。


―――なぜ?



「人の形をしたマヤカシめ、私の目は誤魔化せんぞ!」

男はそういうと、呪符を使役し紫栞を拘束しようとする。
あまりの急展開に紫栞はついていけない。

頭のなかは衣絽羽のことでいっぱいなのだから。


その時、拘束していた呪符に僅かに腕が当たった。
次の瞬間。


黒いオーラが紫栞を包み込むように燃え上がる。
一人悲鳴を上げる紫栞。

(何?何が起きてるの?どうしてこんなに苦しいの?)

紫栞は最初何が起こったのか分からなかった。
だが、自身の身体を包み込む黒い炎を見て、次第に理解していく。

背負いこみすぎていたということに。

(―――ああ、そうか。これは、きっと)


私への罰なんだ。








白い、キツネ。
キツネがこちらを見ている。

その中で、私は

『贄巫女よ、どうか我らの願いを聞き届け給え』

手を合わせ拝む人々。
「お願い、やめて!」と泣き叫ぶ女の人。



白いキツネが見ている。
そのキツネは、とても。衣絽羽の母親にそっくりで――





蝶になって世界を見る夢。
蝶の夢を見てるの?それとも、蝶になっている夢を見てるの?



そうか。私はとっくに―――



『紫栞』

衣絽羽……
もう一度会いたかったなぁ



死にたくない、消えたくない






呪いを纏った蝶は、獣のように男に襲いかかり傷を負わせた。

傷を負った男は、怒り狂いながら持っていた金剛杵を蝶に向かって降り下ろす。


心配して小さい蜘蛛に監視をさせていたアラーニャ。

「ワタクシの大切な紫栞様に手を出すな下郎!」

怒りながら、蜘蛛の糸で拘束しようとするが、あと一歩のところで逃げられてしまった。

アラーニャは特大の舌打ちをした。

そして、傷を負いボロボロ姿の紫栞を抱き抱える

「紫栞様、しっかりしてくださいまし!」

その時、紫栞は無数の蝶となった。
その蝶はやがて、2つの人の形を取る。

「……紫栞……様……?」


これが後の、『蝶』と『燐』である。


つづく.....

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第161話 蝶とオキツネサマ陸 
キツネに恋をした蝶。

想いを引き裂くは、一人の男。






衣絽羽が帰っていった後。
紫栞は急に寂しくなってしまった。

衣絽羽が言いかけようとした言葉も気になっていたが

「―――口付け……してほしかったなぁ……」

心のなかで言ったつもりなのだろうが、小さく呟いている。

紫栞は、夕べの出来事をしっかりと覚えている。

唇に指をそっと添え、なぞっていると。

「どうされたのです?紫栞様?」

ふざけながら、横から割り込んでくるように問いかけたのはアラーニャだった。

呼び掛けられてびっくりしたのか、ビクッと肩が震えた。

「アーニャ……」
「まるで恋する乙女のようですわぁ……そんな紫栞様も素敵♪」

「……恋だなんて……」
「あのキツネのことが、お好きなのでしょう?」

言い当てられ紫栞の顔は次第に真っ赤になっていく。

「え……!?な、なななんでそのこと……」
「んふふ♪ずーっと見つめていらっしゃいましたもの♪見つめていらした時間もとても長かったですしね。寝室に誘ったのも少し……期待したからなのでしょう?」

そう言われ、ますます衣絽羽のことばかりが頭に浮かんでいく。
期待していなかったと言えば、嘘になる。
密かに。あの時口づけしてくれるのを、待っていたのは事実だった。

だが、なにもなく終わってしまって少し寂しいのだった。

「……見てたの?」
「ワタクシは常に見守っておりますわぁ♪眠っているお顔も可愛らしい……♪」

頬に手を当てながら顔を赤らめ嬉しそうに言うので、紫栞はますます恥ずかしくなる

「もう、アーニャ……!」

顔を赤くさせながら、恥ずかしがるだけの紫栞。

「んっふふ♪叱ってくださってもいいのに、許してくださる。あなた様は本当にお優しいですわね」

アラーニャは、咎められることも覚悟の上で紫栞のことを見守るために行動をしている。
彼女の言う通り、紫栞は誰かに怒ったりはしない。
とても優しい。慈悲深い蝶の妖なのだ。
そんな紫栞のことを、仲間の中で一番心配し愛しているのは絡新婦のアラーニャなのだ。

「ワタクシは、紫栞様のことを愛していますわ、誰よりも。紫栞様の不満も取り除いて差し上げられる……けど」

言葉は少しの間途切れた。
少し、悲しそうな表情をしたアラーニャに目が行く。

「貴女様の心は、あのキツネへと傾いている。どれだけ愛そうと、あなた様はワタクシには見向きもしない。ワタクシでは到底、あのキツネに勝てないことは分かっていますから」
「……あなたは、それで幸せ?」

紫栞は、申し訳なく思っていた。
アラーニャが言っていることは全て正しい。
自分が想いを寄せているのは、目の前にいる蜘蛛ではない。

幼い頃から一緒に、家族のように過ごした。記憶がない自分に名前を与えてくれた衣絽羽が好きだということは事実だからだ。
だから、アラーニャに問いかけた。『どれだけ願っても叶わない恋なのに、幸せなのか』と

「幸せですわ。あなた様を守る蜘蛛としてお側にいられるんですもの。ワタクシは、あなた様の『心意気』に惚れて。…一族を裏切ってでも側にいたいと思えたお方ですから♪」

「それに、ワタクシを唯一畏れずに接して下さった方ですよ。あなた様は」

言い切るその姿はとても頼もしく見える。
本当に幸せそうな顔をしながら、紫栞の質問に答えていた。
アラーニャも紫栞と同じように、とても優しい蜘蛛なのだ。

「……ありがとう、アーニャ」
「紫栞様のお気持ちは分かっているつもりですわ。急に手を出したりなどは致しませんから安心してくださいな。ワタクシの気持ちよりも、紫栞様のお気持ちを大切にしたいと思っておりますから」

衣絽羽が帰ってしまって寂しいと思う自分の気持ちの正体を理解した日でもあり、
アラーニャの。紫栞に対する忠誠心の高さを再認識できた日でもあった。







来る日も来る日も。
紫栞は溜め息ばかりついていた。
頭のなかには衣絽羽のことばかり浮かんでいる。偶然とはいえ、久々に顔を見てしまったこともあって余計に意識してしまっていた。

―――もう一度、会いたい。

思いは募っていくばかり。
衣絽羽が口付けをしようとしたことも覚えていた。邪な想いであることは重々承知の上だが、それでも期待していた自分がいる。

「――………はぁ…」





「……紫栞様ずっと溜め息ばかりついて、何かあったのかな?」

楼藍はここのところ、上の空状態の主を見て心配していた。

「大丈夫ですわ、今はそっとしておいてあげてくださいまし」

他の皆も同様に「なにかあったのか」と心配していたが、何度聞いても「大丈夫」としか言わない紫栞であった。

それから数日間。ずっと紫栞はどこにいても、なにをしても溜め息ばかりついていた。


「あの日からずっと溜息ばかりついて…、皆心配していますわよ?」
「――ごめんなさい」
「…あのキツネのことを考えているのですか?」
「どうしてかしら。衣絽羽のことばかり考えてしまうの。…いつから、こんなにも衣絽羽のことを想うようになったんだろう」

そう言いながら、とても苦しそうな顔をしていた。
苦しそうに胸を押さえる紫栞に、アラーニャは座っている紫栞の後ろから。
抱き寄せた

「……ワタクシでは、物足りないでしょう。ワタクシも妖の一人ですけれど、キツネにはなれませんからね」
「別に…。求めてるわけじゃないの。ただ――」
「いいえ、求めておりますわ。あのキツネからの愛情を欲していらっしゃる。なのに、我慢してしまうんですもの。紫栞様は」

紫栞は、自分の気持ちを察せられ的確に言い当てられたからか。
何も言わなかった。

「――我慢なんて、しなくていいのです。キツネの代わりにはなれません。けれど、貴方様をあやすことくらいはしてもいいでしょう?」

蜘蛛は蝶の頭を優しく撫でる。
とても、愛おしそうに大切にしながら。

不思議な光景だった。
天敵同士である蜘蛛と蝶が、こんな風にお互いを気遣い合う構図が。

アラーニャの優しさに、ついに我慢しきれなくなったのだろう。
涙が溢れ始める。
そして、振り返りアラーニャの胸へ顔を埋める

「……本当は、会いたい。衣絽羽に――こう、してほしい…」

本音を言いながら子供のように泣く紫栞。
そんな紫栞を優しく、抱きしめていた。


その日は、泣き疲れてそのまま眠ってしまった。
気付いたときには、自分は寝室で眠っていた。

アラーニャの優しさを知った1日だった。




それからは夜、眠る時間になる度に幼い頃一緒に寝ていたことを思い出す。
そして次に思い出すのは衣絽羽が自分に口付けをしようとしてやめたことだった。

「……衣絽羽」

小さく名前を呼ぶ。
いつもいつも彼女のことを想いながら眠りに就いていた。







「ちょっと出掛けてくるわ」

ずっと溜め息ばかりついている紫栞がある日突然言うので、みんなは心配した。

「ここのところ、ずっと体調が思わしくないのでは……そんな状態で外出なんて」

Nもレヴィの相手をしていた間に仲間から近況を知らされていたのでとても心配になっていた。

「近頃、妖怪ばかりが何者かに襲われると言った事件もありますしやめたほうが……」

もちろん、他のみんなも「やめたほうが」と口を揃えて言ったが。

「大丈夫よ。ほら、こんなに元気元気っ」

そう言って、両手を上げて元気に振る舞う

「そんなに遠くまでは行かないから」


そう言って紫栞はみんなの心配を振り切って外出した。
アラーニャは、紫栞が心配で密かに見張りの蜘蛛を数匹紫栞を追うように命令を出した。



*
*
*

彼女が向かった先は、小さい頃よく来ていたあのお気に入りの湖だった。

足を水に浸らせ、座る。
そして、あのとき同様に歌を歌い始める。
すると動物たちが歌声につられて集まってきた。

『歌を歌っていれば、衣絽羽がここに来るかもしれない』

そんなことを思いながら歌っていた。

草木がガサガサと音を立てる。
『ほんとうに来てくれた!?』
そう思い、振り返る。

だが、そこにいたのは衣絽羽ではなかった。


「……そなた、アヤカシだな?」


つづく.......

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第160話 蝶とオキツネサマ伍 
ほんのひと時は終わりを告げる。

二人の想い。
キツネは蝶に恋をした。
蝶もまた、キツネに恋をする。






この話には続きがある。


ある日にNは一人の少女を連れ帰ってきたという。
その少女は、とてもやんちゃで―――

「……こいつ、村を1つ消しやがった。結構な悪ガキだ」
「なんだとぉ!?勝手に連れてきておいて第一声がそれかよ!?アタシもう行くから」

一人の少女は、一夜にして故郷を燃やし尽くした。
一人佇んでいたその少女を見つけたのはNだった。
心配して紫栞たちがいる場所まで、連れてきたのだった


無理矢理連れてこられた少女は、Nの腕を振り払おうとするが力の差ではNのほうが上だった。

「はなせっ」

必死に振り払おうとするが、次第に疲れてきたのか息切れを起こしている

紫栞は『悪ガキ』と呼ばれた少女をじっと見つめている。
よく見るとその少女の左目は禍々しいほどに魔方陣らしきものが映り込み、血のように真っ赤だった。
右目は綺麗な透き通った水色である。

「その子……人の子よね?」
「……人間だが、魔力は凄まじいものがある」
「お前らもアタシを鬼子呼ばわりするのか!」

紫栞は『鬼子』と聞こえた瞬間、少女がどれほど辛い思いをしてきたか。その時悟ったのだ。

「口が悪いぞ。もっと女の子らしくしたらどうだ?」
「うるさいっ」
「俺が来なかったらもっと大変なことになってたんだぞ?」
「あんたなんかいなくても一人でやっていける!」
「本当に?」

問いかけに対しては口ごもった。
勢いだけで喋っているのは明白だ。

「紫栞様、この子。俺が面倒みてもよろしいですか?」
「……Nがそうしたいなら、私は止めたりしないわ」

返事を聞いたNはさっそく行動を開始した。

「がきんちょ。付いてこい」
「アタシにはレヴィって名前があんだっ!」
「良い名前じゃねえか。将来は凄腕の魔女だな」

冗談を言いながら、楽しげに笑うN

「勝手に決めんなよ!おい、ちゃんと聞いてんのか!?」


紫栞は2人のやりとりを見て、優しく微笑んでいた。


レヴィと名乗った少女は、今もNのもとで指導を受けているそうだが。
とにかくやんちゃで、反抗期なのか。
Nの言うことをまともに聞かないらしい。

Nから学んで知識で、勝手に毒薬を作っていたり。
辺りを散らかしたり。
危険な魔法ばかりに手を出してしまって、Nはいつも頭を抱えている。

「大変じゃな…。その女子(おなご)は魔女になることを拒んでおるのか?」
「あの子はきっと、大人を嫌ってる。もう少し、時間がかかるわね…」

衣絽羽はたくさんの話を聞いた。
それはとても濃いひと時だった。
紫栞が体験してきたことを、ずっと聞いていた。
様々な出来事があったこと、襲われたこと。全て、自分の身に起きたことのように聞き入っていた。

2人きりの時間は長かった。
しかし、時が過ぎるのはとても速い。

もう、日は暮れ夜になっていた。

「あ、いけない。こんな時間まで…」
「よい、久々に会えて嬉しかったぞ」

紫栞は衣絽羽が帰ってしまうのが寂しかった。
寂しいのが嫌で、ずっとここにいてほしいと。自分の気持ちは高鳴るばかりだった。

「―――もし、嫌じゃなかったら…。一晩くらい、泊まっていかない?もう夜も遅いし…危険だから」

そう言われ、驚いた。
紫栞が自分から、何かをお願いすることはほとんどなかったからである。
紫栞の顔はなんだか、紅かった。
だが、なぜ紅いのかまではその時の衣絽羽には分からなかった。

「…紫栞が良いというのなら…、妾は構わんが」

衣絽羽は断れなかった。
自分も、紫栞に久しぶりに会えてとても嬉しかったからだ。
別れるのは惜しかったのだろう。

その後、紫栞の仲間達と一緒に食事をした。
とても愉快な仲間達だったが、衣絽羽は不思議と彼らの中にすぐに馴染んでいた。

食事が終わり、紫栞に促されるまま後をついていこうとしたとき。

「貴女も、紫栞様のことがお好きなのでしょう?」

アラーニャが、そう言った。
衣絽羽はその言葉が聴こえた途端、顔が熱くなってしまう。

「……ワタクシも紫栞様のことを愛していますけれど…。きっと、貴女には適わないでしょうね」

それだけ言うと、衣絽羽の側から離れていった。
後をついてこない衣絽羽を紫栞が呼ぶ。

その呼びかけで、衣絽羽は紫栞のもとへ駆け寄っていった。

やがて、部屋に案内される。
そこは紫栞が普段使っている素敵な寝室だった。

「…おい、紫栞?まさか、妾もここに寝るということは――」
「あら、嫌?」

自分の予感は図星だったことが分かると、酷く顔を赤らめた。

『一緒に寝る』ということに顔が赤くなり恥ずかしくなる。

「もう、なに赤くなってんのぉ?」
「いや…妾は、別に…」
「幼い頃、こうやって一緒に寝てたのに」

そう言われ、ますます顔が赤くなる衣絽羽。
そんな衣絽羽を見て、クスクスと笑う紫栞

「ひ、久しぶりじゃから…」

恥ずかしくなりながらも、既に横になっている紫栞の隣に潜り込む。
紫栞は、衣絽羽のほうへ向きながら眠ってしまった。
毎日疲れているようで眠るのは衣絽羽よりも早かった。

ふと、横を見る。
紫栞の寝顔を見て、あの時のことを思い出していた。
まだ、小さい頃。神木の下で昼寝をしていた紫栞を起こそうとしたときのことを――。

その綺麗な寝顔に、衣絽羽は鼓動が高鳴っていった。
そして、次第によく分からない気持ちに駆られる。

眠っている紫栞に、口づけをしようと顔を近づける。
だが、すんでのところで思いとどまる。

(…妾は、何をしようとしているんじゃ…。こんな、夜這いじみたこと…)

改めて、寝顔を見つめる。
自分がしようとした行いに、嫌気がさしていた

(こんな…、邪な行為…。妾たちは女子同士じゃぞ…!?――許されるはずがない

衣絽羽は、奥へしまい込んだ。
口づけをしたい気持ちを抑えこみ、自分も紫栞のほうへ向きながら眠りについた。

その時、紫栞が衣絽羽を見つめていたことなど知らずに――。






翌日。
衣絽羽は、元の場所へ戻るために紫栞が過ごしている空間から立ち去ることにした。

「妾はそろそろ戻る。世話になった」
「うん。気を付けてね、衣絽羽」
「無茶はせんようにな。すぐに一人で悩むから・・・」
「分かってます。心配してくれてありがとう、お狐様」
「ではな。また機会があればここに来る」
「じゃあね」

衣絽羽は、戻ろうと歩き始める。
だが、心残りがあった。夕べのことをまだ気にしていたからかもしれない。
思い切って、告白してみようと思った

「…紫栞」
「ん?なあに??」

だが、いざ言おうとしても。
口は固く閉じてしまう。…勇気が、出なかった。

――嫌われたらどうしよう。
そんなことを考えてしまった

「…………なんでもない」

結局、言えなかった。
今度会った時、必ず伝えようと決心した。









だが、そんな日は来なかった――



紫栞の仲間が、突然衣絽羽の元へ訪ねてきた。

「衣絽羽様、どうかお力をお借りしたい!」

何事かと思った。
だが、その慌てように衣絽羽は嫌な胸騒ぎがしたのだ。

それは、現地に行って確信に変わってしまう。



「――どういうこじゃ。これは…」


つづく......

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第159話 紫栞編 絡新婦 
アビスが気にかけていた「アラーニャ」という人物。

紫栞と出会って変わった物好きな蜘蛛の妖のお話





同じ蝶々も着々と仲間になっていき、拠点も賑やかになってきた頃。
周辺では、蜘蛛の一族が他の妖や、蝶々を喰らってまわっているという噂があった。

蝶々が集まっているこの場所。紫栞という妖がいる場所。
狙われてしまうのは明白だった。
よく晴れた日に。それは起こった。

ガサガサと草木が不自然に揺れる音が聞こえてくる
音のする方向に目を向けると黒いドレスを着て、片手には黒のレースであしらった扇子を持っている女性が立っていた。
髪や服は真っ黒だが目だけは異様に金色に光っている

「私に、何か御用?」

見知らぬ人物なのにも関わらず、紫栞は率先して前に出る。
真っ黒な女性は静かに口を開ける

「貴女が蝶の長で?」
「そうよ」

尋ねると一拍置いて

「単刀直入に申し上げますと」

黒い扇子を広げ、自分の口元に持っていき睨み付ける

「貴女を喰らいに参りましたわ」

睨み付けられても顔色ひとつ変えず、

「それは物騒ね」

そう言ってまた笑う
問答無用で黒い蜘蛛は紫栞を蜘蛛の糸で捕まえようとする。

それを軽々とかわして行く。
なるべく拠点が荒れることがないように、仲間たちに怪我をさせないように。
気遣いながら蜘蛛と向かい合っていた。


蜘蛛の攻撃を交わしていたが、一瞬立ち止まった
その隙を逃さず、蜘蛛の女性は辺り一面に巨大な蜘蛛の巣を作り上げ紫栞を捕らえた。

Nや楼藍が心配するが、ロティーに止められる。

「なんで止める!」
「…大丈夫。紫栞様なら、大丈夫」

ロティーはゆっくりと、断言した。
その言葉通り、紫栞は慌てもせず怖気もせず。余裕な表情で前を見据えていた。
蜘蛛の巣の上を歩き、こちらに近づいてくる。

「これでもう、貴女は逃げられませんわ。大人しくワタクシに喰われてしまいなさいな」
「…私の心の蔵が欲しいのかしら?」
「そうよ。貴女の心の蔵を喰らえば、強大な力が手に入るから」

そう言いながら、どんどん女性は近づいてくる。
目をギラギラと輝かせ、今にも喰らいつこうとした時。

「私は逃げない。食べたいのならどうぞ、召し上がれ」

そんな一言が返ってきた。
真っ黒な女性は戸惑っていた
馬鹿にされているようにも思え、何を言っているのか理解できないとも思えていた

「……?」

「私、人と妖怪が共存しながら生きていく未来をつくりたいと思ってるの。そのためにはまず、蜘蛛と仲良くするのが必要だと思って」

蜘蛛は理解ができずその場で固まってしまった。
その隙を楼藍は見逃さなかった。
クナイを投げつけ、巨大な蜘蛛の巣の糸を的確に切り落とした。

蜘蛛はそのまま、鬱蒼とした森の中へと消えていった。


そのあとは変わったこともなく。
紫栞にも怪我はなかったため、いつも通りに過ごせた。

Nと楼藍は心配なのか、ずっと紫栞の行くところ行くところ後をついてきていた。
そして、その日の夜も。翌日の朝も。
部屋の前で異常がないか、監視をしていた。

「もう、皆心配しすぎよ?私なら大丈夫だから」
「いいえ!そういう訳にはいきません。狙いは紫栞様なんですから」


そして、その日も。Nと楼藍は、監視をすると言って寝室の外で待機していた。


その日の夜中。
紫栞はいつものように寝室へ行き、寝る支度をしていた。

ちょうどベッドに横になろうとしたその時。

「……みーつけた」

妖艶な女性の声が聞こえた。
そしてそのまま、誰かにベッドへ押し倒される。

部屋のなかは暗く、その人物の顔はよく見えない。
次第に月明かりが窓へ入ってくる。
侵入してきた者の顔がその時はっきりとわかった。

「……蜘蛛さん。私に何か御用?」

はじめて会ったときと同じ言葉を投げ掛けた。
それを聞いて、黒い女性は上品に笑った。

「ええ、貴女に用があるの」

そういうと、蜘蛛は紫栞の体を手でへそから胸へとなぞっていく。
まるで、愛おしそうに。
やがて、顔を首筋に近づけ囁く。

「……ワタクシ、貴女のこと。気に入ってしまいましたの……。だから、喰らってあげる」

囁きながら、紫栞の胸の輪郭を優しく何度もなぞる。
その度に喘ぐ。



その時、部屋の扉をドンッとノックもなしにNが開けた。

「どうされましたか紫栞……さ、ま……?」

蜘蛛が紫栞の上に乗っかるように体を重ねている光景を目にし、一瞬で顔が赤くなる

「な、なな、なんですかこれはーー?!?」

「……何かあったの?って、……ぇ」

Nの後ろから楼藍やロティーが顔を覗かせる。
2人も同様、目の前の光景に固まってしまった。

みんなが見ているのもお構いなしに続けようとする蜘蛛の妖。
そのたびに「あんっ」と甘い声が響き渡る

とうとう耐えきれなくなったのかNは

「部外者は出てけーーー!!!!」





アラーニャは白い布で拘束されていた。
それはNの右腕に巻かれていた包帯を媒介に作った物だった。
咄嗟に作り出したらしい。

「まだ続けたかったのにぃ」
「どっから入ってきやがった!!」
「窓が空いていたのでそこから」
「(そうだったコイツ蜘蛛だった……)」

しばらく頭を抱えるN。
紫栞を守るために改めて蜘蛛に問いかける。

「んで?今度は何しに来た」
「ワタクシも仲間に入れてほしいんですの」
「はあ!?」

その言葉に、紫栞と蜘蛛以外全員驚いた。

「紫栞様のこと、気に入っちゃったもんですから♪」

まだ喰らおうと狙っているのかと思った3人は身構えた。

「そんな身構えなくても、ワタクシは何もしませんわ」
「仲間になりたいと言ってるんだし、そんな追い返すようなことしないであげて」
「紫栞様!」

優しすぎる紫栞にさらに頭を抱えるNであった。

「まあ♪なんて慈悲深い……。もうワタクシ一生御供いたしますわあ」

そう言いながら近づき、抱きしめ顔を赤めらせている蜘蛛

「ワタクシ、アラーニャと申します。これから一生涯までよろしくお願いしますわあ♪」


こうして、
元魔女で錬金術師 N
影賊の娘 楼藍
妖精 ロティー
女郎蜘蛛 アラーニャ

みんなバラバラで人間、魔女、妖怪、妖精という数奇な組み合わせの仲間ができた。
個性豊かで何をしても飽きることなどなかった。

***

「ふふふ…あははは。凄まじいのう、個性豊かな者たちが集まったものじゃ」
「あはは…。私もそう思う。でも、みんなすごくいい子たちばかりよ。私の自慢なの」

「魔女にカーティルにエルフに、蜘蛛か…。すごい面子じゃな」

そう言って、お互い腹を抱えて笑い続けた。
でも、自分から犠牲になりにいこうとすることもあって衣絽羽は心配だった。
そのうち、本当にそうなってしまいそうで…。

「あ…それは…えっと。…ごめんなさい、皆いい子達ばかりだから傷つけたくなくて…」
「本当に…。相変わらず、お主は優しすぎじゃ。危ういくらいに」
「むぅ…。だって、私にできることと言ったら、みんなに居場所を与えるくらいしか…」
「じゃから、皆心配しているんじゃ。愛されていること、忘れてはならんぞ」
「うん、ありがとう。忘れたりしないわ。もちろん、衣絽羽のことも」

急に自分の名前を言われ、顔が赤くなる。

「な、なぜ妾も…!?」
「…だめなの?」
「え、いや…その…」
「『何があっても忘れないように』ってつけてくれた名前でしょう?」

自分がつけた名前を本当に、大切にしてくれている。
それを再認識できた日でもあった。
紫栞の笑顔に、心救われた衣絽羽だった


つづく.....

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第158話 紫栞編 影から逃れる者と森の妖精 
さらに仲間を増やしていく紫栞たち。

この出会いも、必然なり――





紫栞とN。

紫栞の提案で、Nは右腕全体に白い包帯を巻き。顔右半分は白い仮面を着用することになった。
見た目で十分怪しくなったが、紫栞は一人「かっこいい」と目を輝かせている。

2人で拠点を作り、これから活動を開始しようという時。
着々と行動範囲を増やしている中、突如物陰から黒い影が飛んでくる。

それは、Nを見るとすぐさま攻撃を繰り出してきた。

魔法結界で凌いだN。
その影は攻撃を止められたことを知ると、すぐに後ろへ下がった

Nは錬金術を発動させようとしたが、

「まって!攻撃したのは謝るから!」

可愛らしい声が聞こえてきた。
どうやら、襲ってきたのは女性だったようだ。
その言葉を聞いて「……あぁ……?」と、拍子抜けた声が漏れる。

「ごめんなさい。私を連れ戻そうと先回してる追っ手だと思っちゃって」

顔の下半分をスカーフで深く隠していた顔を2人に見せ、「敵意はない」と示す。
だいぶ焦っている表情と、「先回り」という状況からNはデジャヴを感じていた。「まるで、俺みたいじゃないか」と。

「…すごい怪しい恰好してるから、勘違いしちゃったわ。ごめんなさい」
「紫栞様、やっぱりこの仮面…外してもいいですか?」
「えぇ…、とてもカッコいいわよ?強者のオーラ放ってて」

もう諦めるしかないか。と、一人落胆しているN。
そんな中、襲ってきた女性が一人。誰にも聞かれていないのに理由を話し始めた。

「父上がなかなか頑固で……。もう辞めたいと言っても反対されるから、勝手に抜け出してやったらまあ、案の定……追われるハメに……」

「辞める??なにを?」

「…………それは……っ」

そこまで言って黙りこくってしまった。
言いづらいのが目に見て取れる。
しばらく沈黙が続いたが、

「暗殺の仕事……」

自分が今までしてきたことを打ち明けた。
その内容に一番驚いたのは、Nだった。

「私の性分には合わないわ。誰かを殺めて報酬を貰う、なんてこと。ただでえさえ、人の命を奪うのだって嫌なのになーんでこんな家に生まれてきちゃったかなぁ……」

そう暗くなる少女に、紫栞は近づきそっと抱き寄せる

「あなたはとても優しいのね。その心はずっと大切にしてほしい。今まで辛かったでしょう……。誰もあなたを抱きしめないのなら、私が代わりにしてあげます」

抱き寄せられ最初は頬を赤らめたが、紫栞の言葉に心打たれたのか、されるがままになっていた。






楼藍(ろうらん)も仲間になり、3人での活動が活発化していった。
彼女たちの噂は徐々に広まっていった。
そんな、彼女たちの噂を聞きつけやってきたエルフが1人。


「とても綺麗で澄んだ場所。貴女が噂に聞く紫色の蝶々さん?」

金髪の髪と優しい瞳が特徴的な女性が現れる。
紫栞は前に出て挨拶をする。

噂の蝶々を目の前で見た彼女は、驚きと不思議なものを見るような眼差しが見え隠れしている。

「……数奇な運命ね、蝶々さん。決めた!ぼくこれからここに出入りすることにするわ」

そんなことを急に言うので戸惑うNと楼藍の2人。

「そんな急に言われても……」
「歓迎するわ」

間髪入れずに紫栞が返事をするので、2人は慌てて止めにはいる。

「待って待って!」
「そうだぞ、何か意図があるかもしれないじゃないか」


「……ぼくはただ、この蝶々さんが心配なだけなんだけど」
「……え?」
「何だか大きな変化が近々起こりそうで……。それが良いこととは限らないから側にいて見守りたいだけなんだけど……ダメだったかしら……?」

エルフの女性にしか見えないものがあるらしく、それはとても良くないものだという。
いまはまだ規模が小さいからか、身体や心には支障がないらしい。

当の本人はそれがなんなのか分かっていなかった。
結局、エルフの女性も仲間として迎え入れることになった。

「ぼくはロティー。エルフの村に住んでるの。動物や植物が大好きよ。もちろん、蝶々さんのことも」
「これからよろしくね、ロティ」



ロティーは、度々拠点に来ては村で取れた木の実や野菜を持ってくる。
料理やお菓子を作るのも得意で、食事には困っていない。

ロティーには動物や植物とお話ができる特別な力があった。
それも相まって、ロティーは紫栞が考えていることをいち早く察知できていた。

「紫栞様、『いろは』って方ともう何年も会えてないこと、気にしていらっしゃいますね?」
「…え、なんでわかったの?」
「そういう顔してましたから。…特別な方なんです?」
「そう…、そうね。私の、大切な人…かな」
「会いに行ってもいいんですよ。ここは私たちがなんとかしますし」
「ううん。まだダメよ。私はもっと、私にしかできないことをするべきだと思うから。それを果たすまではまだ、会えないわ」


そう。まだ会えない。
会いたいけれど、私の願いが成就するまでは。まだ会えない。
顔を見たら、私はきっと油断してしまう。しばらく、この状態を保ちたい。

けれど最近、この辺りをうろついている蜘蛛も気になるし…。
きっと狙いは私なんだろう。
……蜘蛛さんとお友達になれたらいいのに……。


「…ふふ、本当に。紫栞様はお優しい」

そう、小さく呟いたロティーに対し。
紫栞は顔を少し赤らめた。


つづく....

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第157話 紫栞編 N 
紫栞視点というか。
紫栞が経験したことの、一番最初に仲間になった方のお話。





衣絽羽と共に過ごした家を出て。
最初は行く宛てもなく、様々な場所に行っていったらしい。

ある雨が降っていた日。
一人の女性と出会ったという。
その女性は、何かから逃げてきたようでひどく慌てていたらしい

その女性の身なりは魔女の姿をしていたらしく、紫栞が心配して姿を隠してあげたという。


これは、紫栞視点のお話。







俺は、魔女の一人だった。

四天王と呼ばれる、魔女を統率しているうちの一人でもあった。
だが、そこに至るまでは遠い遠い道のりだった。

実は、俺は魔法よりも錬金術のほうが得意だ。
最初は錬金術のみを極めようとしたが。

様々な文献を読み漁っていくと、《魔法》の概念が一際目を引いた。
それまでは《魔法》になんて、一切興味なかったのに。
そして、《魔法》にも手を出し始めた。






「ちっくしょう!」

フード付きの黒コートを顔が見えないほど深々と被り、雨が降っている森のなかを1人走っている人物がいた。
かなり焦っており、何かから追われているようだ。

「(どこか隠れられる場所……!!)」


隠れられる場所を求めて、なるべく追っ手から追われないよう入り組んだ道を選んでいく。
そんな道中、人影を見掛け慌てて隠れる

「(先回りされた……!?)」

警戒しながら、しばらくその人影を観察する。
だが、その人影は何かが違っていた。
人の形をしているのは間違いない。
その背中に蝶の翅があるようにみえた。

「(……妖怪か?)」

その不思議な人物は、ゆっくり近づいてくる。そして、黒いコート姿の女性がいることに気づくと、

「どうしたの?」

そう、声を掛けられ追っ手ではないことが分かり安堵したと同時に仰天した。





《魔法》を学んでいくうちに、俺は気づいた。
《魔法》と《錬金術》はとても似ている。
《魔法》は自然の力を借りる。
《錬金術》は等価交換することにより分解したり再構築できたりする。

原理は違うが、どちらも使うには《対価》が必要だ。
この二つの術を合わせることが出来ればもっともっと誰も知らないようなことも出来得るかもしれない……!!





蝶の翅を持つ女性に声を掛けられ、身を隠してもらうことができた。

「結界を張ったからしばらくは誰にも見えないわ」
「…………助けてくれたことには感謝するが、あんた妖怪か?」
「うーん……。半分妖怪って感じかな?」
「……なんで、助けた」
「え……、なんだか慌ててるようだったから……」


紫色の蝶の翅を持つ女性。
全く関係ない自分を助けた優しすぎる妖怪。

「追われてる様子だったけど……」
「……あぁ、研究成果だけでも、って。最後の悪あがきに持ち出したからな」
「研究?」
「《魔法》と《錬金術》の融合の研究だ。俺は、魔女の巣から永久追放されたんだ」
「……永久ってことは、行くところがないのね」

蝶の妖怪は、黒いコートの女性を見ながら悲しそうな顔をした。まるで、自分のことのように苦しんだ表情で。

「行くところないなら、一緒に来ない?私も1人だったから」

その差し伸べられた手は、まるで天使が助け船を出してくれたかのように感じた。










「《魔法》と《錬金術》かぁ。確かに似てるかも」
「紫栞様もそう思います?」
「使っている物というか……陣の展開や構造原理が違うだけだもの。性質的にはどちらも一緒よ」

魔女の身なりの人物は名をN・マグヌスと言った。
呼びにくいから「N」でいいと言われて、紫栞もそう呼んでいる。
森の広場らしきところを見つけ、今は2人。そこで休憩をしていた。

「その錬成陣すごいね」

紫栞は、Nの右腕と右顔に錬成陣にも魔法陣にも似た構築の陣が描かれているのを見て少し驚いていた

「これは、錬成陣と魔法陣を融合させた錬成魔法陣です。俺が研究したもので持ち出せたのはコレだけです」


……これだけは、なんとしてでも葬られる訳にはいかなかった。
だが、だからといって研究書や文献を持ち出すのは困難だった。
それなら。と、自分の右半身全体に完成していた構築陣を移した。

咄嗟に取った行動が、幸を奏してくれたのは予想外だったが。

右腕全体と顔の右半分は何かで隠すしかない。

それよりも、まだ2人というこの状況をどうにかしたい。
紫栞様は妖怪と人間が共存できる未来を創ろうとしている。
助けてくれた恩義を返すためにも、俺にできる限りのことをしなければ……


錬金術と魔法の組み合わせで、Nは鬱蒼とした森のなかに何人か住めるような、白い家を作り上げた。
始めて目の前で魔法と錬金術をみた紫栞は一人、はしゃいでいた。

「すごいすごい!N、あなたってすごいのね!とても素敵なお家」

ここが、紫栞と今後増える仲間たちの拠点になるのである

つづく.....

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第156話 蝶とオキツネサマ肆 
月日は経っていく。

やがて成長したアヤカシ同士。
キツネと蝶の、ほんのひとときのお話。






それから、数年の時が経った。
衣絽羽も紫栞も成長し、すっかり大人になっていた。

そんな月日が経っていく中で、羽月は人々から忘れ去られてしまったことや、病に侵されてしまったことでこの世を去った。

キツネ族すべてを束ねていた頭がいなくなったことで、衣絽羽がその後を継ぐことになったのだった。
そして、その同時期に紫栞はこの家から離れ自分にできることを。小さいころからの夢を叶えるために旅に出ると言いだした

「人と妖が共存する未来?」
「そう。人と私たち妖は絶対、分かり合えるような気がするの。衣絽羽のお母さまも人を嫌ってはいなかった。妖すべてが人を嫌っているわけではない。なら、可能性は十分にある。だから、私がそれを実現させようって」

衣絽羽は乗り気ではなかった。
何より、本当はずっと紫栞と一緒にこのままここで暮らそうと思っていたから。

「我々妖が人間を嫌うのは、妾たちを創っておきながら存在し始めた途端に毛嫌いし迫害したからじゃ。人と妖は相容れぬ存在同士。そう簡単には…」
「簡単にはいかないと思ってるよ。でも、私はきっと分かりあえるって信じてるから」
「なぜ、そこまで言い切れる」

衣絽羽は、心配だった。
大好きな紫栞が危険な目に合わないかと。迫害され、傷つけられたらどうしようと。
だが

「ここに来る前、私…人間だった気がするの。その時、妖怪の誰かと遊んだことがある気がして」

そんな、もうほとんど記憶にないことを口にするので衣絽羽は面食らってしまった。
だが、言い切ってみせる紫栞に衣絽羽は本当にやってのけてしまうんじゃないかと少しだけ期待した。
だから、止めなかったのかもしれない

「…わかった。紫栞の好きなようにやると良い。じゃが、たまにはここに帰ってきてほしい。心配じゃから」

衣絽羽がずっと悲しい顔をしているのが、心苦しかった。
もう、自分はここを出ていく。
でも衣絽羽を悲しませたくはない。

紫栞は懐からそっとある物を取り出し衣絽羽へ差し出す

「これ、名前を付けてくれたお礼」
「…かんざし?」

それは、すべてが金色で輝いていた簪だった。
蝶の飾りがついていて、とても美しい。

「私の妖力を込めてあるから。何かあった時、きっと衣絽羽を守ってくれるはず。私だと思って大切にしてね」

紫栞からの贈り物に、衣絽羽は心温かくなった。
そして大切な人から貰ったかんざしを大事に握りしめ、紫栞を見送った。

もし、実現したら真っ先に知らせるからと笑顔で去って行った。
こうして、紫栞は数年間キツネと共に過ごした家を出て行った。






どんどん月日は経っていく。
その間に、紫栞が戻ってくることはなかった。
貰ったかんざしは肌身離さず、髪飾りとして身に着けている。

他のキツネたちが自分を心配してくる。
「大丈夫」と言ってみせるが、本当は大丈夫ではなかった。

『紫栞に会いたい』

――そんな思いだけが募っていく日々が続いていった。



ある日、悪さをする妖が1匹拠点の近くに出没しているという情報を聞き、キツネ族の長としてその妖怪を撃退するために立ち上がった。

その時、ばったりと。
すっかり綺麗になり、仲間を得た紫栞と偶然にもばったりと遭遇した。

「…紫栞」

「衣絽羽…?久しぶりね、元気にしてた?」

久しぶりに会えて、衣絽羽は嬉しかった。だが、それよりも引っかかったのは一緒に過ごしていた時とは雰囲気が変化していたことと、見知らぬ女性が2人。側にいたことだった

「…お知り合いですか?紫栞様」
「うん。本当に久々…。会えて本当に嬉しい…」

雰囲気は変わっていたが、それでも衣絽羽の知っている紫栞には間違いなかった。
嬉しいときは、小さいころからよく顔を赤くしていたから…

「そうだ。衣絽羽、うちに来ない?歓迎するわ」

急に招待され、衣絽羽は咄嗟にOKを出してしまった。
紫栞に会えて、有頂天になっていたからかもしれない。


後をついていくと、やがて開けた場所へ出た。
そこは自然豊かで綺麗な白いお城のような家が建っていた。
中庭には切株、机や椅子。お花など。
自然の中で暮らしているお家だった。

仲間ができたのか、側にいる女性2人とは別にもう2人、女性がいた。
その他には同じ蝶の妖精であろう子供たち。

紫栞が帰ってきたのに気づいて

「紫栞様、おかえりなさいませ」

みな、口々に「おかえりなさい」と挨拶をしてくる。
それに一人ずつ、丁寧に「ただいま」とかえす紫栞

皆から愛され、ここで静かに暮らしていることが分かって衣絽羽は安心したのだった。


家の中に入り、リビングらしきところに案内され向かい合って座る。
女性の一人が、お茶を持ってくる。
お辞儀をし、空気を呼んだのか女性は部屋をあとにする。

ようやく、二人きりになれた。

「本当に久しぶり。ごめんね、全然そっちに戻れなくて」

二人きりになった途端、衣絽羽が知っているいつもの紫栞に戻った。
それが気になってしまって、目をぱちぱちさせる

「もう、どうしたの?私、何か変だったかしら…?」
「…ふふ、相変わらずじゃな…。幸せそうで、安心した。無事でよかった」
「ごめんね…。心配かけちゃって」
「やむを得ない事情があったんじゃろ?ならば、仕方のないことじゃて」

久しぶりに会えて、二人は楽しくおしゃべりをした。
自分を慕ってくれる仲間ができたこと、今も着実に夢を叶えるためにできる限りのことをしていること。
襲われたこともあること。

たくさんたくさん、話をした。
話してくれた内容を、衣絽羽は今でも覚えている。

なぜなら、それはほかでもない紫栞が経験したすべてのことなのだから。

つづく......

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