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第65話 止メラレナイ現実 
なんかもう、一気に更新しちゃったほうがいいかなぁと思ったんで65話まで載せちゃいます
66話は現在苦戦中なのでもう少しお待ちください。


姫の記憶がよみがえり、動き出す未来。
幼き姫たちの未来は最初から決まっている運命



妹を助けるか

妹を助けることを諦めるか



貴方なら、どちらを選ぶのか
もしかすると、悲劇を回避できる選択肢があったのかもしれない・・・・

しかし、それはもう遅すぎるのだった
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しばらくの間、私は泣いている姫様を慰めていた。
こんなに泣きじゃくっているところは始めて見る。

もう、悲劇へ向かう引き金は引かれてしまった。
あとは、私の判断に委ねられる。




燐様を助け出すか

燐様のことは諦めるか



どちらを選んだとしても結果は同じ。
燐様を助け出すためには膨大な魔力を要する。それを手に入れなければ燐様は明日、処分される。

逆に、もう燐様を助け出すことを諦めるとしたら・・・

明日、確実に燐様は処分される。それを知った姫様は必ず王妃を殺す。


どちらを選んだとしても悲劇を避けることはできない。何らかの形で姫様は闇に染まる。


「燐を、助けたいよ・・・。約束、してるのに・・・」

・・・なら、私が出す答えは・・・


「・・・あります。救い出せる方法が1つだけ」


私は何を言ってるのだろう。
これでは私も「共犯者になる」と言っているようなものだ。
けれど悩んでいる時間などない。こうしている間にも燐様の処分準備は着々と進んでいるのだから

私の言葉を聞いた姫様は「ほんと・・・?」と言いながら私を見る。目の奥には期待が伝わってくる。
「しかし、上手くいくとは限りません。下手をすれば貴女の身体が持たなくなる可能性もある、危険な方法なのです。それでもよろしいとおっしゃるのでしたらお教えいたします・・・」

・・・危険。燐ちゃんを・・・ううん、燐を助けるためならどんなに危険だろうが不可能だろうがやってみせる!

「お願い!方法は何だっていい!燐を助けられるなら、教えて!」

もう、覚悟は出来てる・・・っ
私の強い意志を感じ取ったのかサフィラは「分かりました」と静かに言うだけだった。
そして、私に見せたいものがあるから地下まで一緒に来てほしいと言われた。


この城に地下があるなんて知らなかった。誰も教えてくれなかったこと・・・。
私はサフィラに聞いた。燐ちゃんのこと、地下のこと、お母様のこと・・・

「・・・貴女のお母様とはお会いする度に言い争ってました。燐様を幽閉することも、処分することも全て王妃様が言い出したことです」

・・・知らない話を聞いて、私はその時はじめてお母様のことが嫌いになった。
よくよく考えれば、一緒に遊んでくれなかったのも約束したのに忘れていたりしてたことも全部燐を処分する準備をしてたからだ。

(許せない・・・!)

私の中に闇が生まれた瞬間だった。


そんなことを思っていると地下へ続く階段が目の前に現れた。
誰にも見つからずに行けるルートでここに来たけど、こんな広い別空間があったなんて思っても見なかった。
他の通路や部屋はあんなに明るく見えたのに、ここだけ真っ暗に近い闇のようだった。まるで誰もここに近づけないように結界が張ってあるようで・・・
ついてきてくださいのジェスチャーを受けてようやく暗い階段を降りていった。
降りて一番はじめに目に映ったものは―――





「・・・明日、か・・・」


ふと、明日のことを思う。
私は処分される。
生まれてきた意味って何だったんだろう・・・
まともな人生なんて歩んでいない。

お風呂で温まることも、美味しいご飯を食べることも、守ってくれる人も家も、ベッドで眠ることも私には・・・ない。
だからお姉ちゃんのことが羨ましくも思えて、惚れ始めている。
いきなりだ。お姉ちゃんのことを「好き」だと思えたのは・・・


「・・・・・・私は、ひとりぼっちだ・・・」

そう小声で呟いて間もなくして扉がドンッ!と勢いよく開く。
いつも私を痛め付けてくる男性だった。
怖い顔つきで私に聞く。

「ここに魔女がこなかったか!?あぁ?!」

確かに魔女はここにきた。でもそれは聞かれても答えないようにしてる。だから私は口を紡いでなにも話さなかった。
そしたら、案の定結界を薄めて牢屋に入ってきた。私を蹴って殴った。
また身体中に新しい痣や切り傷ができる。もう慣れてしまってそんなに痛くはない。
あぁ、慣れって怖いものだなとその時はじめて思った

「ふん、まあいい。お前は今夜処分予定だからな」

そう言い捨てて結界を強めた後部屋から出ていった。
結界を弱めたり強めたりできるのを見るとあの男性は魔術の心得がある、または特殊な術を誰かに教えてもらって使っているのか。
私には分からない。

本当に明日、私は殺される・・・

『私が絶対ここから出してあげるからね!』

・・・お姉ちゃんの言葉が脳裏を過る。毎日会い来ては必ず一回は口にしていたこと。
その言葉を思い出してしまった私は死にたくないと思うようになってしまった・・・

次第に涙が零れ始めてしまった。私はまだ・・・



私がこの目で見たものは

「これです」

サフィラが私に見せるように右に避ける。
綺麗な大きい水晶がそこにあった。よく見ると中に女の人が2人抱き合うように眠っているのが見えた。
私にはその女の人達が女神様に見えた。あまりにも綺麗で釘付けになってしまうくらいに

「・・・数十年、ここを封印し続けてきましたが・・・もう、意味をなさないようですね・・・」


サフィラが何か言ってる・・・。
何言ってるのかよく分からない。でもそんなの関係ないの・・・


私を呼んでる。
行かなきゃ・・・


虚ろな目で水晶を見つめながら、ゆっくりと歩んでいく。

サフィラは封印を解こうと手をかざすが、まだ解かれていない封印を突き破って入っていく姫の姿を見る。
唖然としたままサフィラはその場で佇んでいた


―――おいで



(私を呼んでる)


姫は虚ろな瞳のまま水晶へ手を伸ばす。もう少しで届くといった頃合いに水晶は小さな光を発した後、中にいた女性2人が目を覚ましその内の一人は蝶姫へもう一人はその場から姿を消した。

蝶姫の中へ吸い込まれるように入っていく女性。
その最中、蝶姫は知りもしないはずの思い出を思い出していた


『姫様、お気持ちは分かるのですけどもう少し加減してくださります?』

『なぜ?こうして交流を保てているのに。子供たちへの食糧よ。私だけが裕福に暮らすのはあまりよろしくないと思っただけ』

『またそれか。私はその話については賛成済み、他の連中も賛成してるのに何か不満でもあるのか?』

『いいえ、私ももちろん賛成ですけど・・・。私たちの食糧のことも考えてるのかどうか心配になりまして・・・』

『あらあら、貴女らしい答えですね。大丈夫です、僕が調達してきますんで』

『お前らはほんっとにのんびりできていいなぁ』

『四天王へ登り詰めた魔女さんがそんなこと言っていいんですか?』

『俺だって頑張ってるんだからな・・・』


あの頃は、楽しかったのに。
輝いていたのに・・・


どうして・・・?

黒く染まった姫が血塗れに、言うのだ


『皆・・・、消えちゃえばいいのに』













―――「いやああああああああっ!!!」

「っ!?姫様!?」

突然、狂ったように泣き叫んだ。サフィラは慌てて駆けつけたが、話しかけても返事がなくただ訳も分からない言葉を呟くだけだった





*
*
*

「―――――!」

なに?今、誰かがこの牢に入ってきた気がする
いや、そうだとしてもこの牢に入ってこれるわけ―――


『お姉様は、どこ?』



後ろからそんな声が聞こえた。
悲しそうで、でもどこか怒りが混じっているようなそんな声が

私にだけ聞こえた


つづく.....

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第64話 引カレタ引キ金 
まさかの一気更新!!!


今回は長いです。ゴメンナサイ


蝶と燐。
幸せな時間はあっというまに終わってしまう。

秘密を知ってしまった蝶は何を思う―――





その頃の封魔塔は

「・・・・もうすぐお姉ちゃんがくる時間」

燐が暗い牢屋の中でうずくまっている。
小さな窓には3つの目を持つカラスがじっと止まっていた。
しばらく時間が経つとカラスは鳴き声をあげずに翼をバタバタとはためかす。そしてゆっくりとその窓から離れていく。
それに続いて長い螺旋階段から誰かが駆け上がってくる音が近づいてくる。そしてその音の主は開いている扉を引き、内鍵を閉めて牢屋の前にひょこんと座り込む。

「おまたせっ」

息を切らしながらそんな可愛らしい声が狭い空間に響き渡る。

「そんな格好で走ってきたの?こけなかった?」

蝶姫は燐とは違う環境にいるため豪華なドレスを着ている。そんな格好で階段を駆け上がってきたので燐は心配してそう尋ねる。

「大丈夫!もう慣れてるから」

えへへと笑う幼い姫。
その笑顔を見てはじめて顔を合わせた時のことを燐は思い出し始めた。


――「なんでこんなところにいるの?」

突然だった。扉が開く度に、怯えていた記憶がある。
いつも扉を開ける男の人よりも遥かに小さい、子供の影。
その影は不思議そうな顔で私を見た

「・・・私は闇に染まった巫女だから」

「窮屈じゃないの?」
「出たいけど出られない。きっと抜け出したら私は殺される。生まれてきてはいけない存在だから」

その子はどうして?という風に深く考えたあと「うーん」と唸る。私はそんなに難しいことを言ったつもりはなかった。でも、それは私がおかしいだけなんだ。

「・・・うーん。よく分かんないけど、ここ寂しい場所だね・・・・。ずっと1人なの?」

そう言われて私は下を向き黙り込んだ。ずっと1人でこんな暗く狭い場所に隔離されているから人と話すのは慣れていない。

「だったら私が一緒にいてあげる!」

その言葉が信じられなくて、ゆっくり顔をあげてその子の顔を見た。

「・・・でも」
「ううん。ずっとは無理だけどいろんなこといっぱいお話ししたいの。だから遊びに来てもいい?皆には内緒にするから」

私はなにも言わずに首を縦にふった。
そしたら笑顔で「やったっ」と言った。そのときの笑顔が忘れられない。


「今日はねー、お花の冠を造ったの」

お姉ちゃんの声で私は我に帰った。手には何やら色とりどりで綺麗なわっかみたいなものを持っていた。

「・・・お花の、冠・・・?」
「うん、燐ちゃんお花みたことないって言ってたでしょ?だからね、冠にして造ってきたの」

はじめてお花というものをみた。それは私にとっては未知なるものだった。

「・・・綺麗なんだね、お花って」
私はあまりの綺麗さにうっとりしていた。その様子を見て笑顔で

「あげるっ」

そう言って冠を前に差し出した。私は困惑したけど、

「燐ちゃんのためにつくったの、受け取ってほしいな・・・」

私のためにつくってくれたもの。その言葉が嬉しかった。
はじめて照れたように思える。

「・・・あ、ありが・・・とう・・・・」

感謝の気持ちを伝えようと思ったらなんだかドキドキしちゃって恥ずかしかった。
そんな様子をみてもお姉ちゃんは「えへへ」と笑ってくれる。嬉しかった。
その時はじめてお姉ちゃんのことが「好き」と感じた。なんでか分からないけどそう思った。

「今日は蝶々のお話ししてあげるね」

またサフィラが教えたことかな?大体私に教えてくれるお話しはサフィラのものが多い。やっぱり魔女は物知りなんだね

話の内容は蛹は蝶になるために大人への準備をして、蝶になったときはじめて立派な大人になるということ。また、蝶はいろんな所へ行っているから物知りなんだということ。

蝶を人間に例えて教えているあたり、サフィラが考えたものなんだろうな。
でも、そっか。蝶は飛ぶことができるからいろんな場所に行けるんだ。

「・・・私も蝶々だったらお外に出られるのに・・・」

ボソッと呟いてしまった。
こんなこと聞かれてたら私は間違いなく殺されてる。
そう思っていると、お姉ちゃんは

「大丈夫!私が絶対ここから出してあげるから・・・ね?」

・・・今日で何回目だろう。この言葉をいつも絶対一回は口にする。それだけ私をここから出してあげたい気持ちでいっぱいなんだろう。

「・・・・・・うん、ありがとう・・・・」

正直、期待なんてしていない。
期待しすぎるとそうでなかった時、きっと絶望する。
そうなった時はもう受け入れるしかない。

受け入れるしか・・・

「あ!もうこんな時間!」

お姉ちゃんは懐中時計を見ながらそう言う。外はもう薄暗い。

「じゃあね!また明日も遊びにくるからね」

・・・明日。明日なんて、あるのかな・・・。

「うん」

お姉ちゃんが狭い空間から出ていくときにでた言葉は今までで一番弱々しかった。情けない・・・

また私ひとりぼっちになっちゃった・・・。
牢の向こうに花の冠が落ちている。でもここからじゃ取れない。
仕方ない。

「愧烏(きう)、あれ取ってきてくれる?」
「大丈夫ですよ」

式神に頼んだとき、サフィラが突如現れて花の冠はいつの間にか私の足元に落ちていた。

「あら、その窓は結界の力が弱いのですね」
「みたい。でも、結界であることに変わりはない」

サフィラの占いでは今日か明日と出た。私に明日があるのかどうか・・・今になって怖くなってきた。
「実はお伝えしたいことがあって来たのです」

改まってサフィラがそう口にする。一体何の話だろう

「あなた様の処分、明日に決まりました・・・」

そうか。やっぱり避けられないか・・・
なんで私が死ななければいけないのか、今でも分からない
怖いよ・・・

「・・・私は、悔いはないよ・・・」

そうは言ってもまぶたに涙が溢れてくる。

「最後に、お姉ちゃんに会えて、お話しできて。私は・・・もう満足だよ・・・」

満足してるよ。嘘じゃない。
お姉ちゃんが好きだった。
だから別れたくない。でも、運命がそうだと言ってるのならば・・・私は受け入れる・・・

サフィラは私を悲しそうな目で見つめていた。




そんな深刻な状況になっているということを知らない幼い姫は、笑顔で部屋まで走っていた。


えへへ、喜んでくれたみたいで嬉しかったなぁ
明日はなにしてあげようかなぁ

「ねぇ、聞いた?封魔塔にいる子のこと」

―――え?

私は走るのをやめて、メイド姿の大人の人達の会話に耳を傾けた。
見つからないように慌てて壁に隠れた

「え、知らないわよ。あそこって物置場だって聞いてるんだけど違うの?」
「なんでも女の子が幽閉されてるらしいのよ。聞いた話だと、その女の子・・・王妃様の実の娘さんらしいの」

・・・えっ・・・

「えええ!?うそっ!?実の娘を閉じ込めてるっていうの!?信じられないっ!」
「それでね、明日娘さんを処分するって王妃様が直々に命じたみたいなのよ」

嘘だ・・・。
お母様がそんなこと言うはずない・・・。

「あぁ、ちょくちょく来てたあの占い師と会う度にもめてたわね」
「なんでも娘さんを処分することについてもめてるって話よ。でも王妃様が一方的に決めたって・・・」

・・・そんな。じゃあ、燐ちゃんは私の妹ってこと・・・!?
お母様が決めた・・・。

どうして?どうしてなの?
私に、妹がいた・・・・・・?



お母様の嘘つき・・・。私に妹や姉はいないって言ってたくせに・・・!

サフィラは、このことを知ってた・・・。まさか、私に教えなかったのは悲しませたくないとおもって・・・?


「王妃様ったらなに考えてるのかしらね」

私は泣きながら走った。この気持ちをどう伝えればいいのか分からない。でも、悲しかった。
妹ってわかった瞬間、背筋を寒気が駆け抜けた。




毎日会ってたのに!

毎日笑ってくれたのに!

毎日・・・毎日・・・




部屋について私は真っ先に内鍵を閉めて誰も入ってこれないようにしたあと、ベットに逃げるように潜り込んだ。布団を被りその後、30分以上泣き続けた。
それくらい悲しかった。
何も信じられなかった・・・。


トントンと部屋の扉をノックする音がする。私は嫌で布団から出なかった。目を目一杯瞑った。
目を瞑っていると私の肩をポンポンと叩かれた。びっくりして布団から出て後ろを振り返ってみると、そこにはサフィラが悲しそうな目で私を見ていた。
どうして?ちゃんと鍵は閉めたはずなのに・・・

「姫様、お話しがあるのです」

表情は依然として辛そうだった。その時、私はまた泣いていた。サフィラが言っていることがわかったから。
サフィラに飛びかかって、私は長い間泣きじゃくっていた

「・・・どうしたらいいの・・・!どう、したら・・・」

サフィラはしばらくの間、私の頭を撫でてくれていた。

つづく.....

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第63話 因縁 
2つ同時UP!


63話はまぁ、その日のお城の近くもしくは中で起きた出来事ですね。
ここから、また物語が始まるのです。

そう、絶望へと向かう悲劇の物語が・・・・





爽やかな太陽の光が辺り一面に降り注ぐ昼下がり。
しかし、そんな現実を裏返すように城の中はほとんどの光をカーテンで遮っているため薄暗い。そんな城の小さな会議室で2人の女性が何かを話している。

ドン!!・・・と強い力で何かを打ち付けた音がその会議室に響き渡る。
音の正体はサフィラだった。立ち上がりながら机を両手で押さえつけている。その向かい側には王妃。お互い険しい顔付きで睨みあっている。

「なぜですか!なぜ燐様を処分しようとなさるのです!我が子の命を自ら絶ちきるというのですか!?」
「・・・サフィラ殿。もう決まったことなのです。抵抗はおやめください」
「あなた様はこれからなさろうとしていることがお分かりですか!!」
「・・・未来を視る力でしたっけ?そんなもの、誰が信じるというのですか。信用なりません、もうこの件からはお引き取りください」

サフィラは拳を強く握りしめ歯をくい縛る。そんな彼女など知ったことではないといった態度で王妃は部屋から出ていこうとする。

「・・・・・どうなっても、私は知りませんよ・・・マリア王妃」

小声で呟くようにサフィラは言った。その時にはもう既に王妃は部屋から出た後だった



蝶姫はそんなことが起きているとは知らずにまた中庭でお花の絵を描いて遊んでいた。お花に蝶々が止まっている絵を今描き足している最中だった。

その絵を描いている時、絵の花に本物の綺麗な青い羽をもった蝶々が止まった。

「蝶々だぁ。綺麗な色・・・」

蝶々はしばらく止まった後ヒラヒラと羽をはためかせ飛び立っていった。
それと入れ替わるように今度はサフィラが蝶姫のもとにやってきた。どうやら心配して様子を見に来たようだった。
サフィラがきたことに気づき元気よく名前を呼ぶ。

「今日はお絵かきですか」
「うん、今日はねぇお花と蝶々を描いてたの」

サフィラは姫の横に座り、絵を見て微笑む。サフィラは姫が描いている花の葉っぱに蛹がいることに気づいた。そしてこんなことを話すのだった。

「今日は蝶々の話をしましょう」
「ちょうちょう大好き!」

サフィラは花の葉っぱにくっついている蛹を指差しながら「これがこれから蝶々になるんですよ」と幼い姫に教える。

「・・・これが蝶々になるの?」
「ええ、そうですよ。蛹から蝶々へ立派な大人になるんですよ」

私は教えた。大人になると綺麗な羽を持った蝶になるんだと。蛹から蝶に成長するには準備期間が必要だ。今の姫様を蝶の成長過程で例えると蛹の状態ではないかと思っている。逆に燐様は既に蝶になりかけ。しかし、完全に羽化しきれなかったのだろう。どこにも飛んでいけない可哀想な蝶になってしまった。
・・・これは私の考えにすぎない。しかし、姫様は蝶になるお方だから。名前も、生い立ちも全て・・・

「蝶は大人になっていろんな世界を見に遠くへ飛んでいきます。ですから、何でも知っているのです。この世のことなら何でも」

「何でも?」
「はい」

何でも・・・とは言い切れなくともこの世で起こることを、行く末を見続けているのだから知っていることは多いはず。

「私も綺麗な蝶々みたいに立派な大人になれるかな?」
「・・・・・・いつか、きっと」

そう話をしていると蛹から羽を伸ばそうと必死に羽化をしている蝶が目に映る。

「がんばれっ!がんばれぇー!」

手を上下に振って可愛らしく応援している姫様。それを聞き届けたかのように蝶は無事に羽化を終えゆっくり宙に浮かぶ。

「やったぁー!よく頑張ったね」

蝶に話しかけている姫様の目には輝きで一杯だった。

こんな生活がずっと続いてくれるならどんなに楽で幸せなことか・・・


・・・分かってる。そんなことを言ったって、未来は変えられない。でも、いつか普通の女の子として幸せに暮らしてほしいと思うから分かっていても言ってしまうのかもしれない。

「今日も不思議なお話で面白かったっ」

蝶を見送って私に向き直り無邪気な笑顔を見せる。

「どういたしまして」
「このお話燐ちゃんにしてあげたいなぁ・・・・・・。あ、そうだ!」

何か思いついたように顔が一瞬で明るくなる。
そして、私に「教えてほしいことがあるの」と元気な声で言う

「お花の冠の作り方、教えて」
「いいですよ。作って持っていってあげるんですか?」
「うん!前に燐ちゃんが『お花見てみたい』って言ってたの思い出したからどうかなーって」

そうか。燐様は生まれてからずっとあの塔に幽閉されている。外に出ることも出来ない彼女には全てが新鮮で新しい発見になる。
私は姫様に冠の作り方を教えてあげた。
ひとつひとつ、まだ小さい手で茎と茎を編み込んでいく。
私も手伝ってあげて、なんとか完成させることができた。完成した時には日は既に暮れかけていた。

「燐ちゃんにお花あげに行ってくる」
「いってらっしゃいませ」

駆け出したがふと振り返って

「・・・あの、その・・・皆には内緒にして、くれる・・・?」
「大丈夫です。私は約束を破ったりはしませんから」

笑顔を見せて燐様がいる封魔塔へ走っていった。


姫様の姿が見えなくなってから私は城の近くにある森へ足を踏み入れた。



―――「・・・絶対にこの近くにいるはずなんだが・・・」

アビスとエコーは洞窟から出て探索をしていた。
彼女たちは微かな主の魔力を察知して移動をしていたが不安定に流れ出ている波を感知するのは至難の技だった。

「だめ、これ以上はもう感知できない・・・」
「仕方ねぇ。今日は引き上げるか」

そうやって2人が洞窟へ戻ろうとしたとき、魔法陣が地面に浮かび上がり2人を囲む。
すぐに悟った2人は戸惑うこともなくその場から左右にわかれた。その直後に魔法陣が光り、下からいくつもの氷が出てきた。
もう少し遅かったら2人の体に氷が突き刺さっていたことになる。

「やはり避けられてしまいますか。さすがシュヴァルツを勤めていた方たちですね」

木の影からサフィラが現れる。2人は目を赤く光らせ警戒する。

「魔女か」
「私たちに何のよう?」
「まあまあ、そんなに警戒しないでください。貴女達の実力を試しただけですから」

赤く輝く目をしたまま警戒を続ける2人。
アビスがサフィラに近づき問いただす

「てめぇのその魔力、レヴィそっくりだ。だがお前はレヴィじゃねぇ。匂いが違う」

そう言われサフィラは一層驚く。

「あらあら・・・。的確に言い当てられてしまいました。さすが女郎蜘蛛の化身です」
「ほう?俺のこともエコーのことも知ってるってことはやっぱりお前も未来や過去が見えるみたいだな」

サフィラはにこっと微笑みを2人に見せるだけだった。
それを見てアビスは警戒をとく

「けっ・・・、それで?俺らに何か用でも?」

サフィラはゆっくりとアビスの目を見つめながら口を動かす

「貴女方が探している姫様ならここから近いお城の地下で眠っていますが、どうかそっとしておいてくださいませんか」
「・・・どういうことだ」
「大きく動いてもらうと困るのです。なるべく裏でサポートという形でお願いしたくて来ました」

私の占いでは今日か明日。姫様が燐様のことを実の妹だと知ってしまうことが引き金となる。
それをどうか知らないままでいてほしいが、そんなことをすれば燐様は間違いなく処分されてしまう。どちらを選んでも悲劇は止められない。

やはり王妃が最初からきちんと育てていたら、幸せな未来が訪れたというのに・・・

この2人にはあまり動いてもらわないようにしないと。そうしなかったら、騒ぎが起こっていたはず。2人なら姫様を助けに連れていこうとするのは否定できないから

「・・・それはちよが望んだことか」
「はい」

蜘蛛は警戒をやめて大人しくなった。そしてさっさと洞窟へ戻ろうとする

エコーはサフィラにお礼をいった

「ありがとう。あなたが注意しなかったら今頃アビスは城に潜入するところだった」
「いいえ、いいのです。私もそのようなことは予想済みでしたので」

エコーはもう一度「ありがとう」と言って深くお辞儀をする。
その後アビスを追いかけようと走り出すのだが、

「あなたはレヴィの娘さんですか?」

振り返りいきなりそのような質問をする。サフィラは冷静に「・・・はい」と答えた。

「そう・・・」

呟くようにそう言って今度こそアビスを追いかけに行った

つづく.....

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第62話 魔女ノ願イ 
おはこんにちばんにゃ


更新が遅れて申し訳ありません。
書き溜めてるのはいいけど、タイトル思いつかないとこれ更新できねぇなw

今回は黎音サイドの話です。そして短いです


まぁ、これからどんどん話が現代へと近づいていきますのでお楽しみに





「あ、サフィラ!・・・?」

幼い姫はサフィラをみて喜ぶが、サフィラの後ろに小さな人影が見え隠れしていることが気になり、首を傾げた。

「・・・・・」

小さな人影はサフィラの後ろに隠れて警戒しているが何も口にしない。

「・・・黎音、この方が私がいつもお話ししている蝶姫様です」

後ろに隠れていたそれはひょこと顔を出した

「・・・は、はじめまして・・・」

ぎこちないその挨拶は言葉の中にどこか照れているように聞こえる。
姫はその挨拶に満面の笑顔で答える。

「はじめまして!」



―――数日前

「・・・・・・」

・・・この魔女とならきっと仲良くなれる。協力してくれる。そう思ってついていったら部屋に案内されていつの間にかお茶をご馳走になっている始末。あたし、何やってんだか・・・

魔女はあたしの向かい側で悠々とお茶を飲んで寛いでいる。こんなことしてる場合じゃないのに。

「・・・あたしをここに連れてきた理由は?」

そう尋ねるとお茶を飲みかけようとしていた手がピタリと動きを止めた。そして、ゆっくりとティーカップを皿に戻す。

「私は貴女の味方ですから。ここは私意外誰も入ってきませんから安心ですよ。盗聴される心配もありませんし」
「味方?あんたが?あたしの?」
「はい。あら、もしかするとまだ信用してもらえてないのでしょうか」

なんだそれ。あたしがいつこの魔女を信用したっていうんだ。それにあたしの味方って・・・

「あなたの目的や生い立ちを知っているのは私だけです。カナリア様からお聞きにしたわけでもなく、私しか知り得ないことなのです。貴女がどれだけ私を疑っても私は貴女の味方です。」
「・・・分からないな。あんたがそこまであたしに信用してもらいたいわけが」

魔女は確信があるといった目であたしに言った

「・・・復讐はおやめなさい」


・・・は?何を言い出すかと思えば忠告か?

「今の貴女の力では到底カナリア様には届きません。私を追い越せることが出来れば話は別ですがね」

なんだよそれ!?あたしが弱いってのか!?
馬鹿にしやがって!

腹が立って、あたしは何を思ったのか。
魔女に攻撃していた。電撃を飛ばして痺れさせるつもりだった。でも。

「・・・・・・?」

一瞬だった。目に見えないほどの速さでそれを止めたからだ

それも片手で

「まだまだです。威力はまあまあですね。しかし、カナリア様の魔力は貴女の何倍以上もありますよ」

あたしはこの魔女の話が一切頭の中に入ってこなかった。
さっきのことに気をとられてボーっとしていたのかもしれない。

あたしはボーっとしたまま椅子に座ってしばらくじっとしていた。落ち込んでいるんだろう。お茶はすっかり冷めてしまった。

「・・・私が貴女を強くしてあげましょう。カナリア様に歯向かえるほどに」

・・・信じられなかった。反射で顔が上がり、目に輝きが戻った。
馬鹿にされると思っていたから

「ただし、ご両親を生き返らせる方法は教えられません。いえ、教えること自体が不可能です。そんな方法があるのならば誰も悲しまなくて済みますから・・・」

あたしは条件を飲み、魔女サフィラ・ヴィナツィオーネのもとで修行をすることになった。
修行の合間に何度も「姫」という単語を口にしているのが気になって聞いてみたら、どうやらあるお城で危ないものを封印する仕事を頼まれているらしく、そのついでに姫に会いに行くようだ。
話を聞く限りではとても可愛らしく、純粋で好奇心旺盛だという。
「一度会ってみたい」と小声で言ってみたら聞こえていたらしく、「それなら今度一緒に行きましょうか」と言われて一緒に行った。

そして、今こうして対面したわけなんだけど・・・

なんでだろ。他の人と会ったときいつも警戒してしまうのに、この子だけは違う。
むしろ癒されてしまうほどな無邪気な笑顔。
はじめて初対面の人で私と同じくらいの歳の子と挨拶ができてとっても嬉しい。

「仲良くしてあげてください。私以外の人と話すの慣れてないので」

サフィラがあたしを姫に教える。話を聞いてすぐにあたしに近寄って声をかけてきた

「わたしちよっていうの!あなたのお名前は?」

ちよ・・・。かわいい名前・・・。
あたしはゆっくり自分の名前を言った

「・・・黎音。綾猫黎音」

「れいねちゃん!よろしくね!」

笑顔で接してきてくれる。
自然とあたしも笑顔になっていた。
それからあたしはサフィラが姫に会いに行く度に何度か一緒についていった。

何度か一緒に遊んだりして、お話をしたりした。その時に分かったことだけど、お母さんとあまり遊べてないみたいであたしたちが来てくれない日は寂しいみたい。
だから、あたしは次第に側にいてあげたいと思うようになっていた。

それは、最悪な形で実現することとなった・・・


つづく.....

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