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第119話 懐古ト失クシタ名 
何かの目的のために、何かをずっと探し続けている九尾の妖狐「衣絽羽」。
度々姫の前に現れては消え、消えたと思えばいつの間にかそこに居る。

姫は何かを思い出す。だが、それは自分の中にはない『過去の記憶』


蝶の妖怪と狐の妖怪。
2人の縁は切っても切れない。深い深いところまで繋がっているのだから
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・・・・




『今日はすまぬな。急に邪魔して』
『いいのよ、   だもの。久しぶりに会えて私も嬉しいから』

何・・・?聞こえない・・・

『・・・やはり、やるのか?人と妖が共に在る世界を』
『決めてしまったから。それが今、私が叶えなければならない願いだと思うの』
『頼むから、無茶だけはしないでくれ。昔から  は一人で抱え込むから心配じゃ・・・』
『大丈夫よ。ありがとう、   』




・・・・頭が・・・・痛い・・・・。



『・・・・・・  』


なんて、言ってるの?
ねえ・・・・。教えて・・・・・


私は、



蝶姫はその夜、うなされていた。そして、ゆっくり目を開ける。
その表情はいつもの仲間たちに向ける顔でも、妹にしか見せない優しい顔でもない。

ただただ辛いだけ。なぜそう感じるのかも分からない。


頭を押さえながら、蝶姫は寝ている妹を起こさないようにゆっくり起き上がり部屋を出て行った。




向かった先は水浴び場。黒い水浴び場とは別に創った、落ち着きたい時に来る場所。
ゆっくり冷たい水に浸かる。
そして、水の上で仰向けになり、目を閉じる。

しばらく、そんな静かな時間が流れた。


そして、何かの気配を感じて閉じていた目を開ける。


「・・・・何の用だ・・・。」
「なんじゃ、燐は一緒ではないのか?珍しいの」
「頭を冷やしにここにきただけ…。用が済んだらすぐに戻る」


九尾の狐だった。どこからともなく現れては、どこからともなく消えている。
蝶姫は不思議だった。一体どこからこの世界に入り込んでいるのか。なぜ、何度も自分の前に現れるのかが。

「何。少し、様子が気になっての」
「・・・・」
「この時間だから寝ていると思っておったが・・・。どうかしたのか?」
「・・・・お前には関係ない」
「顔色が悪いのう。何かあったのか?」
「・・・燐がお前に気づく前にここから出て行ったほうが身のためよ」

蝶姫の声にはいつもの元気はない。それでも、強がっている姫を見て狐は少し悲しそうな目をしていた。
狐は水浴びしている姫に近づく。そして姫に目線を合わせるようにその場にしゃがみ込む。

その行動に警戒したのか、姫はゆっくりと起き上がる。

「・・・」
「安心せい。何もせん。どうも、様子がおかしいのう。いつものお主はどこへ行ったのじゃ?」

そう言うと狐は姫の頬に手を当てる。
その時、姫の中で戸惑いが生じる。自分は知らないはずの記憶が流れてくるからだ







『妾はそろそろ戻る。世話になった』
『うん。気を付けてね、衣絽羽』
『無茶はせんようにな。すぐに一人で悩むから・・・』
『分かってます。心配してくれてありがとう、お狐様』
『ではな。また機会があればここに来る』
『じゃあね』


『・・・・  』
『うん?何?』
『・・・・・・・・・・・・なんでもない』



・・・・・違う。私は、こんなの知らない。
私は知らない。私の記憶じゃない。私は・・・・






「・・・・蝶姫?」

「い、ろ・・・・は・・・・」


蝶姫が九尾の狐の名を口にした瞬間、少し驚いた表情をする。
そして、恐る恐る聞く

「・・・・そなた・・・。まさか・・・・」
「・・・・わ、わたし・・・・・わた、し・・・は・・・・・ッ」

その時、この静寂を邪魔するかのように鋭い刃が放たれた。衣絽羽と蝶姫を引き裂くように。


「またお前か!お姉様から離れろ!!」
「・・・・少し話をすることもできぬのか・・・・?なぜお主はそんなに妾を嫌う」
「黙れッ!!!」

今度は燐の周りから炎が立ち昇る。
その炎は狐を取り囲もうとする。

衣絽羽は片目を閉じ、金色の瞳を輝かせるとそれを跳ね返す
それに燐は怯んだ。

「・・・・術は見事じゃ。じゃが、この程度では妾を捉えることはできぬぞ」

その間も、蝶姫はまるで人間の少女に戻ったかのような無垢な瞳で九尾の狐だけを見つめていた。
何かを言いたげな瞳で。

それを見た衣絽羽は、悲しそうに顔を姫に向けて言った

「すまぬ・・・・。まだ、お主と話すことはできぬようじゃ。  、この名が届かぬ限りは」
「あ・・・・あ・・・・い、いろは・・・・・」
「必ず、助け出す。また会いに来る。それまで、待っててくれ」

そういうと、衣絽羽は白と黒が混ざり合ったような境界を開く。
ゆっくりとそれに近づき、亀裂の中へ吸い込まれる。そして、消えた


消える間際に、姫は手を伸ばして叫んだ

「ま、待って・・・・!衣絽羽・・・・!待って・・・・わたし、言いたいことが・・・・

そういいながら最後には眠ってしまった。
燐は姉を呼びながら、眠ってしまった姉を抱きかかえる。

「・・・・なんで、あいつの名前を呼ぶの?お姉様・・・・」


つづく......

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第118話 黒白ノ結晶石 
タイトルは黒白と書いて 「こくびゃく」 と読むんだって。調べてから知ったのでちょっと驚き(;・ω・)
白黒は「しろくろ」。そのままだね-w-


姫の企み、捕らわれたシェスリナ。そして、謎の黒い女性。

問題は次々と増えていくばかり。だが、黒い女性が手渡した結晶石はもしかしたら希望の光かもしれない。






その頃のシェスリナは、暗い部屋の中。
電気もつけず、その場に座り込んでいた

その瞳には輝きがなく、闇を見ているような冷たい瞳だった


ずっと、その状態のまま。動こうともしない。


しかし突然、シェスリナは顔を上げ、いきなり暴れ始める。
目を見開き、手で床に落ちていた鏡を割り、足で床を蹴飛ばす。
唸り声をあげ、暴行はさらに激しさを増す


シェスリナの手足には、拘束具がつけられておりその場から動くのも精一杯な状態だった
それは時折、暴れだすシェスリナを抑え込むためのもの。

今のシェスリナは抑え込まなければ、部屋が壊れるどころか城全体が崩壊しかねないほどの魔力を持つ。
彼女につけられている拘束具はその魔力を極限まで下げるものなのだ。
それほど、今の彼女は危険である・・・


*
*
*


「・・・まったく。なんで俺がこんなところまで監視しなきゃならねぇんだ」

アビスは部屋で横になりながら、めんどくさそうにそんなことを口にする
ため息をついていると、エコーが横になっているアビスの側へ来て椅子に座る

「でも、蝶様の命令なんでしょ?」
「・・・・・・人形と化した“人間”様を監視しなきゃいけねぇのはちょっとな。だが、ちよの命令だ。文句はいえねェ」
「蝶様も何か考えあってのことだと思う。じゃなきゃアビスに監視しろだなんて言わないよ」

アビスはため息をついた。

「それもそうかもな・・・」





その頃、蝶と燐はまだ黒い水の側にいた


燐は顔を赤めながら、姉をみている。
その表情は恍惚に満ちている

姉は、黒い水に浸かりながら人間の女性の血を啜っている。
先ほど、現世に送り込んだあの少女だ。
少女はもう、動かない。涙を流し息絶えている

少女の血を飲み干した姫は、そっと黒い水の水底に沈めた

「これはいい・・・。力が溢れてくる」
「こっちの実験は成功?」
「ああ、憎悪を極限まで引き出した人間の血は最高だわ」

姫は立ち上がり、燐の場所まで戻る。
そして少しだけ残っている少女の血を燐に飲ませる。

「・・・たしかに美味しいけど、お姉様の血のほうがもっと美味しいわ」
「フフ、燐は本当に可愛いんだから」


実験は成功だ。憎悪を限界まで引き出した女子(おなご)の血はどれほどのものなのか試しただけだが、十分だ
だが何度も現世に送り込むことはできん

しばらくはあの子の血で我慢するとしよう


・・・だが、やはりこれほどの力。体はまだ慣れてはくれないか・・・


「燐、寝室に行きましょ。少し、横になりたいわ」
「私も一緒に寝るわ。お姉様無理しないで」










「このクリスタルどうしたの・・・?」
「ある女性が、手渡してきたんですが・・・誰かは分かりません」

テレリが黒い女性に手渡されたという白と黒が混じり合ったクリスタル。
学園長はそれを見て、戸惑っていた。

「これは・・・あの人のじゃないかしら。神楽ちゃんはどう思う?」
「私も全くの同意見です。まさか・・・・いえそんなことは・・・」

学園長とその秘書は驚き、そして戸惑っている
その様子にルインティアは疑問を投げかける

「“あの人”・・・・とは、一体誰のことなんです?」

秘書は何も言えない。いや、言ってはいけないと考えているように見える
だが、学園長は

「その前に、もう一度聞くわ。これを渡してきたという女の人は真っ黒な女性だったのね?」
「はい。私たちのことを知ってるような口ぶりでしたが、こちらには誰一人として知っている人は・・・・」

それを聞いて、学園長は戸惑いが疑問へと変わっていく

「・・・・このクリスタルはあの人の物なのに、なぜその人が持っているの?分からないわ・・・」
「だから、“あの人”って誰のことなんだ?」

クルセィが口を出す。何も説明してもらえず、学園長らは考え込むばかり。
やっと学園長は謝りながら、“あの人”のことを口にした


「・・・・美輝 樹里(じゅり)。美輝さんのお母様よ」

「・・・・シェスリナさんの・・・?」
「リナさんの母親なんて、初耳ですよ?」
「・・・・別に美輝さん自身、隠していたわけではないわ。ただ・・・」

そこまで言うと、口ごもり話を元に戻す

「彼女は有名な預言者だったの。彼女が口にする未来の出来事は必ず当たると言われるほどの、ね」
「3年ほど前に、お亡くなりになりました」

それを聞いて、学園長が途中で話をやめた理由を理解した一同。
そして皆、なぜ「sheth部」というものを作ったのか、彼女の真意を理解したのだった

「このクリスタルは、樹里さんが学園のためにと創ってくださった魔力の結晶なの。邪悪なるものを拒み、善あるものを受け入れる力を持つ」
「それってすごいんじゃ!?」
「でも、そんな永遠に持つものではないわ。約1時間が限度ってところね。あの人自身、そこまで魔力が強かったわけじゃない」
「使い方によれば、一種の結界にもなります。もしかすると、異世界とこの現世を繋ぐことができるかもしれません」


それを聞いて、テレリが飛びつくようにシェスリナを助けることができるか問うと可能だという。
可能だと分かったsheth部一同、喜び早速助けに行こうと準備を開始する

こればかりはどんなに止めても言うことを聞かないだろうと察した学園長は、クリスタルを使って結界を作ることを決めたのだ


「・・・しかし、一体だれがこれを・・・?」
「分からない、でもきっと樹里さんと深い関わりがある人物だと思うわ。今回ばかりはその人に感謝しないとね」




*
*
*


黒い女性は学園本部の屋根の上で立っていた
その瞳には、美津四町の景色が映っている

すると、光を放ちながら、鏡汐が現れる


「・・・よかったの?あの“石”渡して」
「良い。あれがなくとも、何も困ることはない。あれが必要な者に与えただけのこと。それに、もう妾には必要のないものだ」


鏡汐は話を聞きながら、鏡にシェスリナを映す

「浸食が進んでる。・・・時間がないよ。どうするの?」
「・・・・あの子達を信じるだけよ」

そう言うと、2人は屋根の上から消えていった

つづく.....

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第117話 黒イ女 
一人の少女が暴走する。
それはまるで500年前に起きた、あの事件のよう。

しかし、今度はどこか違う。

そしてみんなの前に現れた謎の黒い女性―――。
彼女は一体何者なのか






寂れた、周りはコンクリートと高いビルだけが建つ場所で一人の少女が立っていた


どこからか「ニャァ」と猫の鳴き声がした。
それに反応して、声がしたほうへ首を動かす。
猫を見て、「・・・・・・・ねこ・・・」と一言放っただけ。その声はどこか嬉しそうに聞こえた。

次の瞬間、走ってくる足音が聞こえ。それを聞いた猫はびっくりしてどこかに行ってしまった
その猫がどこかに消えていくのを、じっと見ていた

「・・・女の子・・・?」
「・・・?学園長、本当にここであってるんですか?」
『ええ、あってるわよ。どうかしたの?』

ジェムを返して通信している。
その声を聞いて、少女はクルセィたちを見る。

だが、クルセィ達を見た途端に目を見開き襲い掛かる


「!?ちょっ――」
「私を殺すのか!?お前もあいつらみたいにっ!!」

少女はすでに、正気ではなく。意味不明な言葉を大声で叫びながらクルセィに斬りかかっている。
クルセィはガードシリンダーで間一髪で防いだが、少女とは思えないほどの力に苦戦していた

璃虎は少女の体に糸を巻き付け、力を振り絞ってビルの壁へ吹っ飛ばす。
少女は思いっきりビルに突っ込み、コンクリートは少しヒビが入っていた

璃虎は少女を吹っ飛ばしただけで息切れをしていた

「す、すまない・・・。助かった」
「・・・・はぁ・・・はぁ・・・よかった・・・」
「しかし、あの子は・・・?あの力、いったいどこから」

女の子はだらんと力なく壁を背にして座っている。
ジェムからは、学園長が何が起こったのか確認する声が聞こえてくる

『どうしたの!?』
「すみません。突然女の子が襲い掛かってきたので・・・」
『女の子?それ、本当なの?』
「は、はい・・・」
『・・・その子のデータ、こっちに送れる?画像でもなんでもいいから』

ジェムを通して連絡を取り合っているその間に、少女の手がピクリと動いた

少女は痛みを感じていないのか、ぬるりと体を起こし立ち上がる。
目は相変わらず目を見開き、虚ろだ。
目の奥が紅く染まっているようにも見える


「璃虎、構えろ!また来るぞ!」
「ちょ、ちょっと待って・・・!」

璃虎はジェムについているスクリーンショット機能で画像を撮った後、すぐに本部へ送った
画像は慌てて撮ったためか、ピントがずれておりかろうじて女性であるということだけが一目見てわかる程度

その画像を受け取った本部は、早速分析を開始する。

少女はお構いなしにまたクルセィ達に襲い掛かる。
やはり女性とは思えないほどの力で、男性であるクルセィでさえその力を受け止めるので精一杯だ

「ぐっ・・・この・・・!!」

クルセィは刀を受け止めながら、少女の腹に膝蹴りをくらわした。
それで一瞬だが怯んだ。その隙にクルセィは少女から離れ、シリンダーに水の結晶を装填し発射する

「ちょ、ちょっと!あの子殺す気ですか!?」
「・・・・いや・・・、たぶん、大丈夫だ」
「なんでそんなこと言えるんですか!?力が異常でも、女性であることに変わりは・・・」

「ちがう」

璃虎の言葉を遮るように、クルセィが低く言った

「・・・え?」
「・・・あの子はもう・・・」

やはり少女は勢いよく放たれた水の塊を浴びても、ビクともせずその場に立っている。
まったく痛みを感じていない。
それでも、彼女が着ている学生服はボロボロで痛々しい

クルセィは辛そうにその少女を見つめている。
その見つめている先には、ジェム。

学生服のリボンに、ジェムがついていた。
そう、彼女は行方不明になっていたアパルリッターの一人なのだ。


「・・・ジェムが・・・黒い・・・」
「もう浄化は無理だ・・・。あんなに汚れていたら・・・」


少女はフラフラしながらこちらに歩いてくる。
そして何かをブツブツと言っている

「辛いよ・・・苦しいよ・・・なんで私ばっかりこんな目にあわなきゃいけないの?私がなにをしたっていうの?どうしてみんな私を無視するの?いじめるの?私は生まれてきてはダメだったの?ねぇなんでなの?教えてよ、ねぇ・・・」


「教え゛テよ!!!!!!」


少女は、正気ではない。しかし、その紅く染まった瞳からは涙が絶えず溢れ出ている。
その様子を見ているクルセィと璃虎は、攻撃をしたくてもできない。
どうすれば少女を救えるのか、わからないのだ


その時、ほかの地域に派遣されていたルインティア、バラージュ、テレリ、隴渡、雛、深雪の6人が現場についた。


「・・・これは・・・!?」
「なんで女の子が・・・」



少女は人の数がさっきよりも増えたことに気づき、唸り声を上げる。
そして、頭の中に響いてくるのだ。

殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ

綺麗な女性の声が、何度も何度も響くのだ


少女は目を見開き、さらに目が紅く染まる。
そして、胸元のジェムは先ほどよりも黒く汚れていき、亀裂が走り始める。


クルセィはそれを見て急いで少女の動きを封じ込めるため、飛びかかりシリンダーから蜘蛛の糸のような網を発射させる。
それを浴びた少女は唸り叫びながら抗っている。


「一体あの子どうしたの?いきなり暴れだして・・・」
「みんな、封じ込めるの手伝ってくれ!」
「・・・どうやら、今は見ているわけにもいかないようですね」


クルセィの掛け声で、全員少女に飛びかかり力を込めて動きを封じ込める。
が、暴れているせいもあってか全員の力をもってしても押さえることはできなかった。
少女が振り払うように体を少し動かしただけで全員吹っ飛ばれたからだ


「殺す殺す殺す殺す殺す殺す・・・・」

地面に倒れこんだ8人は、体勢を立て直そうと立ち上がるが少女が物凄い勢いでクルセィに襲い掛かる。
鋭い剣がクルセィの心臓めがけて突っ込んでくる。

(・・・だめだ、間に合わない・・・!)


その時、何かが弾ける音がした。次は、剣が地面に落ちた音。
何が起こったのか、クルセィにもほかの皆にも、少女にさえもわからなかった。

少女は手に持っていた剣がないことに気づき、後ろに気配を感じた。
振り向くと、そこには髪も瞳も服も靴も。
全てが真っ黒に染まった綺麗な女性が立っていた。

「・・・あれは、誰だ・・・?」


全員、彼女に見覚えはない。
しかし、女性は


「・・・・少し騒がしいから来てみたら、とんでもないことになってるのね」


この異常な状況を目にして、慌てることなく落ち着いていた。

少女はクルセィから真っ黒な女性へ標的を変更し、襲い掛かっていく。
女性は少女の頭を片手で受け止めた。
少女は前へ進もうと足掻くが、ビクともしない。女性は、反動で後ろに下がっているわけでもない。

まるで、体の動きを制限されたような感覚に陥る。

少女は頭を片手で受け止められたまま、暴れている。
その唸り声はどこか悲しい。

「・・・・あなたは最早、アパルリッターでもない。ただの、化け物」

女性の言葉に少女はさらに暴れ、唸り声も大きくなっていく。

「闇に支配されてしまった以上、あなたはもう人間には戻れない」
「殺゛してや゛るぅ!!全員殺゛してや゛るっ!!」

「・・・もう、何を言っても届かない・・・か」

残念そうに呟くと、女性は受け止めていた片手を離し回し蹴りをする。
それは見事に少女の腹に命中し、苦痛の声をあげながら遠くに飛ばされていく。

飛ばされていった方向を見ると、土埃が舞い少女の姿が見えなくなった。


女性は、立ち上がり終わったアパルリッター達を見て

「気を付けなさい。あいつは、手強い」

それだけ言うと、立ち去ろうとするがテレリが呼び止める

「待ってください!あなたは何者ですか?“あいつ”とは一体・・・」
「・・・・あなた達のお仲間。早く助けないと、大変なことになる」
「・・・・私たちの・・・?・・・・・!!まさか、シェスリナさんが!?」
「私にできるのはここまで。あとはあなた達の力で頑張りなさい」

女性はそう言うと、テレリに何かを手渡しその場から去って行った
テレリの手に握られていたのは、宝石だった。

それは一見、ジェムと見間違えるほど似ている。
白と黒が混ざり合ったような色をしている。


気づけば、傷だらけになっていた少女の姿も。どこにもなかった


つづく.......

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第116話 企ミ 
|壁|ω・)チラッ

(・ω・)やあ、お久しぶりです。リリボンです。


めっちゃ時間が空いてしまいました。申し訳ありません!!


やっとタイトルと物語が決まりましたので投稿じゃああああああああああああああああ


今回なんと!!4話一気に更新します!

これでも書き溜めてたんや。。。。許して(つд⊂)エーン


もう一気に進ませていただきます。
姫が試したいことその1のお話。






朝。
東西南北。

どこに行っても、空模様は変わらない。
リリボンを乗っ取ったあの姫が、願いを叶えた時以来。
空はずっと、曇っているまま。その上、時折雷鳴が辺りに響いてくるからたまったものではない。

人々は、買い物や仕事などに出かけるだけであとはほとんど家の中へ避難している。
それでも、ニュース番組は休まずに今、問題になっている女性の行方不明事件について報道している。


ルインティアと隴渡は東。
クルセィと璃虎は西。
テレリと雛は南。
バラージュと深雪は北。

それぞれ役割を決め、常にジェムから情報を聞き漏らさないよう私語は控えている。
本部では学園長と秘書、オペレーターが常に魔力の波動をキャッチしてはアパルリッターに伝えている。
しかし、何度やってもどこにいるのか把握することはできず。

やがて配置についてから数時間。
頻繁に出ていた波動は、感知されなくなった。





異世界


姫の関係者以外、誰も知らない部屋に姫達はいた。
姉は黒い水に浸かり、妹はその様子を見て顔を赤めていた。

その後ろにアビス、エコー、セトがいた。
どうやら、連れてこられたらしい。場所を把握しておいてほしかったということだ


「…よくこんなの見つけたな」
「黒い水なんて、初めてみたなぁ」

「500年前から、人々に親しまれていた水だ。今や、その面影なぞどこにもないがな」

笑いながらそういう蝶姫。
アビス達はしばらくその場で黄昏ていた。・・・正直、退屈なのだ。
妹はそうでもないのだが。

しばらく時間が経って、エコーが小さな欠伸をしかけた時。
重い扉がバーンと、大きな音を立てて開いた。
その音に、エコーはビクッと肩を震わせた。セトは寝ていたのか、目をこすりながら「んぁ?」と扉を見た

「もう少し、静かに入ってこい」
「はぁ・・・はぁ・・・・。只今・・・っ、戻り・・・まし・・・たっ・・・・!!」

扉を物凄い力で開いた人物はロアだった。
だが、走ってきたのか息切れを起こしていた。


「・・・おかえり、ロア」


蝶姫は、息切れしているロアに対して静かに囁くような声を放った
その声は小さいはずなのに、この広い部屋全体に響くような感覚だった

蝶姫は湖と化している部屋の真ん中で気持ちよさそうに浸かっていたが、ロアが帰ってきたのを確認すると立ち上がり、
ロアの元へゆっくりと足を動かす。

「・・・頼んでおいたものは?」
「ちゃんと・・・連れてきた・・・」
「ご苦労様。少し、休みなさい」

笑顔で話しかける姫。ロアは本当に疲れたのか、その場に崩れ落ちてしまった
それをアビスは慌てて蜘蛛の糸を出し、床に直に当たるのを防いだ

「・・・一体、何をすればそんなになるのやら」
「私が部屋まで連れていく・・・。蝶様、お先に失礼します・・・」

セトはロアを抱きかかえたまま丁寧にお辞儀をし、そのまま部屋を出ていった。
アビス達も、「俺らも眠くなってきたから休むわ」と言って部屋を立ち去った

妹はやっと2人きりになって嬉しいのか。
真っ先に姉に抱き付いていった。

「・・・もう、燐?そんなに急かさなくても大丈夫よ・・・?」
「だってぇ・・・」
「後で遊んであげるから。それよりも・・・」

妹には優しいトーンで囁いて頭を撫でる
しかし、それよりも姉は速攻に試したいことがあった。


それは、人間の女性の「血」を啜ること。
ロアに無理やり操られて連れてこられた女の子達は、既に正気に戻っており姫達を見て震えていた

蝶姫が女性たちを見た瞬間、声にならない悲鳴を上げ「助けて」という表情をし、さらに震えあがっている


「・・・そこの子」
「・・・ぇ・・・わ、わた・・・し・・・?」
「おいで。こっちに」


姫がそう言った瞬間、指名された子は虚ろな目をして「はい」と言い、姫の側まで行く。
優しく頬を撫でると、そのまま首筋に牙を立てる―――。




*
*
*



本部では、感知されなくなってしまった目標を何分か待っていたが。
待っても待っても表示されないため、仕方なく全員に戻ってくるよう指示を出した。

その時だ。
先ほどのよりも小さな波動だったが、感知されモニターに表示された。
それはすぐには消えたりせず、表示されたまま辺りをうろうろしている

指示を取消し、今すぐにその場所に向かうよう指示を飛ばす。
一番近いところにいたのは、クルセィと璃虎の2人だった。





小さな波動が出た、現地。

そこには、上を仰いだまま固まっている少女の姿があった。
手には、鋭い剣を握って。


「・・・どいつもこいつも私を無視しやがって・・・―――」

少女は小声で何かをブツブツと言っている。
その声はかなり近くへ行かなければ聞こえないほど小さい。

しかし、仰いだ体制から急に下を俯く体制に切り替わって。

「みんな大っ嫌い・・・」


そう、つぶやいた。


つづく.......

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