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第2章 第39話 ハジマリ 
・・・・ここで一旦、時を刻む針を止め本編はお休み。ここからは、遠い遠い過去のお話。
時は遡り、時代は日本でいうと紀元前7980年になるだろう。

この時代の前にも、過去に同じようなことがあったと話したら・・・皆はどう思うだろうか?
しかし、その過去こそがこの時代における・・・全ての物語の始まりに過ぎない。

私は、今まで見てきたアニメや小説の中で「正義側の視点」での物語を進行するのではなく、「悪役側の視点」で物語を進行している物語を見たことがない。ほとんどが「正義側の視点」、「正義側にいる主人公」の物語だ。想像が難しいのと表現するのが難しいのであろう。あまりそういうものを見たことが無いのだ。いや、本当はそんな物語は実際には存在していないのかもしれない。だから私はあえて後者の方を選んだ。そういうものを書いてみたいと思ったのがきっかけだった。


だから、これから始まる物語は幼さなくも必死に生きようとしている姉妹達の話。


ここで、一つ話をしておこう。この物語で頻繁に登場する「蝶」の存在について。
皆も人生で一度は目にしたことがある蝶々。その蝶々が持っている本来の意味をご存じだろうか?
キリスト教では「蝶」は“復活”の象徴。ギリシャでは“魂”や“不死”の象徴とされる。
現にギリシャ語では「蝶」のことを『プシューケー』と呼んでいる。『プシューケー』は“魂”とも言う。
日本でも「蝶」にまつわる話は“魂”や“仏様”に関連する話が多い。

人間は死後、動物または人間に生まれ変わると言われている。死んだ人が綺麗な蝶の姿になって戻ってくるという伝承もある。これは日本にも伝承として残っているほどだ。それくらい、「蝶」という存在は神秘なもの。
私はそんな「蝶」が好きだったりする。特にアゲハチョウは一目惹かれる不思議なオーラを放っている。

この物語における「蝶」の存在も上記のとおり、“不死”や“輪廻”といった“魂”という意味合いが強い。
それを踏まえて、この物語を読んで欲しい。

前置きが長くなってしまったのでそろそろ物語の中へ進むとしよう。
では、第2章開幕――。





―――今から1万年も前のこと

親も身寄りもおらず、人からも見放され子供が2人入れそうなくらいの小さな洞窟で暮らしていた幼い姉妹がいたそうな。

村の外れにある小さな森の中の小道で姉妹揃って倒れていたそうだ。
しかし、姉妹と言っても本当の姉妹かどうなのか、本人達もよく分からないままだ。ただ、1つ共通点があるとすれば体のどこかに不思議な紋章が刻まれていることだろう。彼女達にもその紋章の意味を知らないし分からない。彼女達は自分の名前も知らない。だが、微かに心の中に刻まれていた「蝶」と「燐」という名前だけは覚えていた。

さて、話を元に戻そう。
その姉妹達は、小さな村の家々の間にある子供なら楽に通れそうなくらいの隙間で人に見つからぬよう身を隠していた。
姉は怖がる妹を抱き慰め、すれ違う人々を静かに睨み付けていた。住む家も、美味しい食べ物もましてや喉を潤す水さえ彼女達にはない。その上、人からは嫌われものだ。誰も自分たちの存在を認めてくれやしない。
見つかってしまえば大人達が村から追い出そうとする。さらには暴力を振るう者もいる。

だからと言って、なにも食べないわけにはいかないため、食糧を調達しなければならない。盗み以外に選択肢はなく、いつも命懸けで調達しに行かなければならなかった。姉はいつも最低1つは食べ物を洞窟に持ち帰っている。妹を洞窟の中に隠しながら自分は食糧を調達する・・・・そんな生活を毎日毎日過ごしていた。

「待て!この泥棒猫!」
「追え!追えぇ!!」

今日も盗み出すのには成功したけど、逃げ切れるか・・・
走りすぎてもう息が持たない。早く隠れ道のところまで行かないと!

姉は隠れ道まで必死に走り抜けた。もう少しで男の手が姉の服を掴もうとする直前、隠れ道の中に素早く逃げ込んだ。
隠れ道を通るには子供が1人通れるくらいの穴があるため大人達では到底は入ることが不可能だ。
男たちは、その場で「畜生!」と吐き捨て屋台や家へと戻っていった。

よかった・・・。逃げ切れた。
早く戻って燐にパンを分けてあげないと

隠れ道をゆっくり歩き進むとまた先ほどと同じくらいの穴から光が見えてきた。
そこを抜けると、目の前には小さな洞窟と大きな湖があった。周りは綺麗にたくさんの種類の花が咲いている。

洞窟の中に入ると姉と同じようにボロボロの布一枚をワンピース風に着こなしている少女がしみじみと座っていた。
姉の帰りに気づくとこちらに向き「お姉様、おかえりなさい」といった愛らしい声が聞こえてきた。

「ただいま」
「お姉様怪我したの?血が出てる」

先ほど逃げている最中、男の手に握られていた木の棒がかすってしまったらしく少しだが左腕から血が出ている。

「大丈夫。ただのかすり傷だし放っておいても治るから」
「・・・でも」
「大丈夫だって。はいこれ。今日はそれしか盗って来れなかった」
「いいの。これだけで充分だから」

持ってきてくれたパンを一口かじろうとしたが、あることに気づき表情を暗くする。

「お姉様の分は?」

姉の分のパンがないことに気づいたのだ。それを訪ねた途端黙り込んでしまった。心配させないように優しく微笑んで

「・・・・・・全部食べていいよ」

と言った。しかし、妹は納得できないといった表情をしあることを提案する。

「やだ・・・はんぶんこ、しよ」
「・・・」

その言葉を聞き、姉は申し訳なさそうな顔をして「ありがとう」と呟いた。
いつも姉は自分の分まで妹に与えている。自分よりも妹に幸せになって欲しいという1つの願いからであった。

「・・・ねぇ、いつまでこんな生活続ければ神様は私たちを助けてくれるの?」

妹はパンをかじりながら、姉にそんなことを訪ねていた。姉は表情を暗くし、不安がらさせないように妹の頭を撫でる。

「・・・大丈夫。神様がいなくても、お姉ちゃんが絶対助けてあげるから。もう少し待ってて」

「・・・うん」

・・・・どうして、村の人々は私たちを嫌うのか・・・。きっと、魔力が強いことが引金になっているのかもしれない。
傷だって、放っておけばすぐ治ってしまうし、ちょっとした簡単な魔法も使おうと思えば使える。人から見れば私たちは「魔女」だって思われるかもしれない。それか、「化け物」って・・・。

私は別にどうなったっていい。私より、燐を助けて欲しい。自分で助けられるなら助けてあげたい・・・。
それこそ人間じゃなくなっても・・・。私は燐に幸せになって欲しいから。
でも、燐の言う通りいつまでこんな生活を続ければいいのか・・・
私の体力も限界に近い。あともう少しだけ、もってくれれば・・・

「眠い・・・」

燐が眠たそうに目をこすってる。もう日が暮れる時間。私たちもそろそろ寝たほうがいい、か・・・

「・・・側にいて。怖いの・・・」

私は燐を抱き締めるように近くに寄って、肩に顔をもたれかける。「おやすみ」と小さく呟きながら静かに目を閉じた。




この夜、もし私が目を覚まさなかったら・・・きっと私たちの人生は大きく変わっていただろう。

もし、あの光を追わなければ、私が・・・・私たちが姫に戻ることもなかったであろうに・・・


つづく.....
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THEME | GENRE 小説・文学 |
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