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第44話 人形族 
姉と同じ存在になることを望んだ妹、燐。
お互いを愛し合い、お互いを心配し合う姉妹。
それは、生まれ変わっても変わらない一つでもあり共通点でもある。

さて、今回は魔女レヴィとヤヨイが蝶が住む城へ辿り着く。
そこで姫となった少女は魔女レヴィからある話を聞く。


人形族《ムニェカ》について解説しておこう。
この種族は文字通り「人形」のように白い肌を持ち美しい姿をしている。
年をとることもなく死ぬこともできず永遠に生き続けていくのだ。
人間ならだれもが願う「不死」と「不老」。
しかし、不老不死というものは死にたくても死ねず、成長したくてもそれができないということだ。
彼女たちの時間は、この時代から止まっていることになる。
それは悲しいことであり、1人永遠に長い時間を生き続けていくということ。

なぜ、人間は不老不死になりたいと思ってしまうのだろうか。
きっとそれは「死ぬのが怖いから」なのだろう。綺麗な姿のまま生き続けたいのだろう。
しかし、現実はそうではない。やはり皆年老い、やがて死んでいく。
それは「成長」を意味するのだ。
人はやがて死んでいく。どれだけ生きてもやはり避けられない運命なのである。それは皆同じことだ。
動物も人間も死んでしまうから命は尊いのだ。だから人は命の重さを知っている。

動物は、人は死んだらどうなるのだろう。その先に目に見えるものは何なのだろう。
親しい人や親せき、お世話になった人が亡くなった時いつもそう思ってしまう。
三途の川が見えるのか?天国へ続く階段でも見えるのか?
私は、この世で生きている人たちの姿が見えるのだろうと思う。そして、見守り続けるのだろう。
人は死んだらそこで終わりではない。また新たな生命としてこの世に生まれ変わると思うのだ。

解説のつもりが大分話が逸れてしまったが、人形族について少しでも分かってくれれば嬉しい。
さらに付け加えると
・身体のどこかに必ず紫色の蝶の形をした紋章がある。
・血を飲むことがある(吸血鬼ではない)
・あまりにも強力な光には弱い部分があるが個人差がある。
・1人1人それぞれ違う式神を持つ。

といったところだろうか。



――。

まさか燐があんなことを言うなんて思っていなかった。
私はずっとこの子には人間のままでいてほしかった。傷つくのは私だけでいい。少しでもいいからこの子を守りたい。
でも、燐がそれを・・・姫になることを望むのならば私はそれを叶えてあげる義務がある。
いや、本当は燐の頼み事には断れないからかもしれない。
どちらにしろ私は燐の願いを1つでも多く叶えてあげたい。全世界を敵にまわしても・・・


燐が愛しくて、この子の頭をずっと撫でている。そうでもしないと胸が張り裂けそうになるから・・・。誰よりもこの子を愛してるから・・・



・・・?
この城に張ってあった結界に違和感を感じる。誰かがこの領域に入ってきた?
少なくとも人間ではない。この城は結界で誰にも見えないようにしてある。それを認識することができかつ結界をすり抜けることができる人物は私が知っている中で一人しかいない。

「・・・そうか、生きていたのね。ヤヨイ」

迎えにいかなければ。もう1つの気配は魔女のものかしら。ヤヨイが警戒もせずここに連れてきたんだとすれば、害意はなさそうね・・・。

「燐。少し待っててね、すぐもどるから」

眠っている燐に呼び掛けて私は静かに部屋を出た。



外ではヤヨイと魔女が城の敷地内へ入ってきたところである。
魔女は懐かしむように目の前で立派に建っている城を眺めている。

「なるほど、ここですか。この城もこの森もあの時のままですね」

・・・本当に、あの時のまま・・・。
あの日、人間達はこの森に姫達2人に宿っていた魔力の根源とこの城ごと封じ込め誰もここに近寄れなくした。それは、ここにあった全ての物、出来事、歴史を全否定されたことと同じだった。
もうそれで分かった。人間達は本当に我等人形族《ムニェカ》を裏切ったのだと。交流を断ち切り我等を・・・存在自体を抹消しようとしたことを。

姫は悲しかったに違いない。あれほど「人間を憎みたくない。いつまでもこうやって交流を保てたら」
・・・そう仰っていた。本当に優しい人で、争いも好んでいなかった。
どこで間違ったのだろう。どこでこんなに変わってしまったのだろう。
光り輝いていた姫様はもういない。この森で目覚めた姫様は人を憎み続ける闇に魅入られた1人の少女。
蝶は一体、何を求むのだろうか・・・。

――「ヤヨイ」

声が聞こえた。私の名を呼んだ人物は私が探し続けていた姫様だった。

「姫様・・・」
「無事だったのね。よく耐えたわね」

姫様は私の頬に手を当てる。
その手は、とても冷たく冷えきっていた。
それでも私はそうしてくれるだけで心が安らいだ。昔、私がまだ子供だった頃よくこうやって優しく接してくれたのを覚えている。

「・・・妹様は?」
「眠ってるわ。目を醒ます頃には全てを思い出しているでしょう」
「・・・望んだのですか・・・?妹様が」

「・・・ええ」

・・・妹様。やはり姫様も妹様も何も変わっていない。

死に際まで姫様を救おうとした妹様。

最後まで妹様を守ろうとした姫様。

お二方は似た者同士で、思っていることもほぼ同じ。
どちらもお互いを守ろうと努力しているのだから。


「・・・立ち話も何だから、中へ。そちらの魔女さんも」

姫様は魔女と私を中へと招く。中に入って感じたのは、やはり何も変わっていないということ。封印されたあの日から何一つ変わらぬまま残っていた。しかし、あの頃よりは外も城の中も全体的に暗くなっている。
もうあの頃には戻れないということを私に教えられているかのようだった。

姫様に招かれ客室に入り、ソファーに腰をおろす。

「まさか、魔女が仲間になりたいだなんて・・・物好なのね」
「貴女方の過去を知ってしまった以上は見逃すわけにもいきませんし・・・、私ならきっとお役に立てるかと」

「貴女のその力は魔眼か。力が強すぎて自分では制御ができなさそうね」

姫様が私が疑問に思っていた力の正体について魔女に尋ねている。それを聞いて魔女は驚いたがすぐに表情は冷静さを取り戻す。

「・・・全てお見通し、ですか。やはり貴女は我ら魔女でも支えきれないほどの強力な魔力をお持ちなようですね」

姫様は悲しそうな顔をしながら笑っていた。
分かっている。その力があることで自分にどれだけの負担がかかるのか。姫様はこれほどまでの力を手に入れることなど望んでいない。けれど、妹様のためになら望むのだろう。もっと強力な何かを・・・

「・・・こんな力があっても辛いだけよ」
「承知の上です。ところで、姫様はご存じですか?貴女と同じ存在の者達がこの近くにいるということに」

レヴィのその言葉を聞いて姫は考え込んだ。


・・・同じ存在。確かに微かな気配を感じる。私と同じような運命にあるというのなら、放って置くわけにも・・・

「全部で4匹の蝶なる者がおります。しかし、彼女達はそれぞれ違う場所におり、違う能力を持っていますが・・・その能力や容貌の上に人々から見離され必死に生きようとしている蝶達です。貴女ならその蝶にどんな言葉をかけるのでしょうね」

・・・本当に私の他にも同じような境遇にある。もがき苦しみながら今日も過ごしているなら・・・私はそれを救う義務がある。もうこれ以上私と同じような運命にはなって欲しくない。その相手が人間であろうとも・・・

「・・・場所を教えなさい。私が助けにいくわ。その子たちを」


つづく.....
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THEME | GENRE 小説・文学 |
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