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第45話 異変 
今回は4人の物語が登場する。
実はこの4人。第36話のほんの少しの場面で全員出ている。
皆は分かるだろうか?

この4人の正体は後に分かってくるであろう。
今の段階では何も言えない。

第43話の最後の村の場面で1人の少女が出てきたと思うが、彼女もこの4人の中の1人である。
その少女が再びこの回で登場する。

この時代の物語は悲しさと辛さで溢れている。
書いている私もあまり書きたくはないのだが、設定を作るためには仕方のないことだ。
読んでいて不快な気分になったら一旦読むのをやめ、少し休憩してみてはどうだろうか。

12月もあともう少しで終わってしまう。
風邪を引かぬよう、体には気をつけてほしい。



・・・・・・。

・・・熱い・・・・・・暑い・・・

どうしてこんなにも暑いんだろう・・・。
身体中が痛い。
喉が渇いて渇いて仕方ない。
はやく何か飲まなきゃ、何か。

でないと私―――。


「燐」

・・・この声は・・・




目を開けると目の前には私を心配して頭を撫で続けているお姉様の姿があった。
綺麗な白い指、透き通った声、全てを優しく包み込むような瞳・・・どうしてなのかいつも私が見ているお姉様が人形のように見える。とても綺麗な、歳をとらないお人形に―――。


「大丈夫・・・?嫌な夢でも見た・・・?」


・・・どうしてなんだろう。なぜか、欲しいだなんて思ってしまう。

が、欲しいだなんて。

お姉様の首元から目が離せない。そのまま襲いかかってしまいそうなくらい、私がどうにかなってしまいそう。

だめだ。我慢できない。
欲しい・・・欲シイ・・・

「・・・あっ・・・」


気づけばお姉様を押し倒している。そのまま首筋へ顔を近づけ舐め始めている私がいる。お姉様の甘い香りがする。とてもいい匂い・・・

舐めるのをやめて私はお姉様の首に牙を立てた。血が流れ込む。
必死に血を飲んでいる私の頭を抵抗もしないで優しく撫で始める。私はそれでも血を飲むことをやめない。体が言うことを聞かない。これが、私の本能なんだって気づいた。私たち人形《ムニェカ》の本能なんだって・・・

「・・・気が済むまで飲んでいいからね・・・」

やめてよ・・・。私、これ以上飲みたくないのに。
お姉様が倒れてしまう。
早く飲むのやめなきゃ。早くハヤク







そう思っていたのに、結局お姉様の血をたくさん飲んでしまった。飲むのをやめて、傷口から出ている血を舐めた。
お姉様を見てみる。私を綺麗な瞳で見つめていた。

「・・・ごめんなさい。いっぱい飲んじゃった」
「いいのよ。飲みたかったらいつでも飲んでいいからね、私の可愛い妹」

私の頬に手を当てる。
お姉様の肌、柔らかい。冷たくて気持ちいい・・・


「しんどいでしょ、まだ寝てていいわよ」
「お姉様は大丈夫なの?」
「大丈夫よ。魔力なんてまだまだ有り余ってるくらいだもの。もっと飲んでもよかったのに」

やっぱりお姉様はすごいや。
私よりも魔力強いのが何だか羨ましいなんて思ってしまうけど、正直言ってお姉様の魔力を分けてもらってる身だから我が儘言っても仕方ない。
でも、お姉様の体も心配だしあまり飲んでも・・・

「綺麗になったわね、燐」


そう言われて、気づいた。
自分の体が大人になっていることに。お人形のように白い肌、背中にまで伸びた髪。胸も大きくなっていた。まるでお姉様と同じになったかのように・・・

「・・・そういうお姉様こそ」

そういったらお姉様は優しい笑みを見せてくれた。心に矢が刺さったみたいに私の胸はいつもより高鳴っていた。

「今夜出かけるわ。行かなければならない場所があるから」

今はお日様が出ている。朝か昼くらいかな
今夜出かけちゃうんだ・・・
なんだろ、一人にしちゃ駄目な気がする。私も一緒に行かなくちゃ。

「私も行く・・・」
「いいの?寝なくて大丈夫?」
「大丈夫」

・・・お姉様のおかげで少しは良くなったんだから、お礼にお手伝いしてあげよう。
でも、どこに行くのかな

「・・・どこへ行くの?」

お姉様は窓の外を見つめながら悲しい目で

「・・・同じ運命をもつ蝶のもとへ」










―――。

自然豊かな町。この町で一人の少女が住んでいた。
名前はエコー。動物の言葉が分かる少女として皆からはあまりいい印象を持たれていない。
いつも黒猫のレオを連れて町の中で小動物を見つけては、夜になるまで触れあっている。おとなしめで動物をこよなく愛する綺麗なブロンド髪が特徴的な少女だ。

今日は町を囲むように並んでいる木の下でリスや鹿を見つけたようだ。そして、その動物達はエコーを招待するかのように林の中へ入っていった。それを黒猫レオと一緒に後をついていく。
やがて中心部に来ると中央には巨大な切り株があり、それを囲むように小鳥、熊、犬、猫、リス、鹿、うさぎ、蝶々達が集まっているのだ。
まるでエコーを歓迎するように。

「・・・私のために?」
――『そうみたいだね、皆エコーのことが好きなんだよ。気持ちに答えてあげて』

私のために・・・。今日はいつもより長く触れあおう。

エコーは中央の切り株に腰をおろすと動物たちが次第に彼女に集まってくる。
彼女には動物たちが何を言っているのか分かるのだ。一人一人に答えるようにして林の中で幸せな時間を過ごしていた。


そして夜になり、動物達も眠くなってきたのかそれぞれの場所へと戻っていく。
エコーは立ち上がり動物達に「バイバイ。今日はありがとう」と言ってこの場を立ち去った。


林を出て、家へと戻る。
その様子を密かに見ていた人物が一人いた。









**
―――。

「いやだっ・・・やめて・・・お願い!許して!」

・・・もうここに来て何度悲鳴を聞いたかわからない。
みんな震えて怯えている。あたしたちは大人のいうことは絶対に聞かなきゃならない。もし、逆らうようなことがあればあたしたちは暴行を受ける。言うことを聞くまで何度も何度も痛みつけられる。
ここがどこなのか・・・みんな知らない。分からない。

みんなここから抜け出したい気持ちでいっぱいなはず。でも過去に抜け出そうと脱走計画を計った子供達はみんなここに連れ戻され食事も水も与えられず餓死した。
だからみんな逆らいたくても逆らえない。それはあたしも同じこと。

いつになったらあたしたちはこの苦しみから解放されるのだろう。




・・・誰か、助けて・・・









**
―――。

小さな洞窟に身を潜めている少女がいた。その少女は痩せきっており、何日も食べていないように見える。
ここから遠くにある都から逃げてきたのだ。彼女は今も追っ手から必死に逃げている。

少女は身を隠しているうちに眠くなってしまったのか、目を閉じかけた。だが、近くで聞こえて来るのだ。誰か・・・数人の足音と数人の話し声が。
少女は慌てて洞窟から出て音を出さないように静かに歩いていった。このまま行けば目を盗み逃げきれるだろうと思われたが、足元に木の枝が転がっていることに気づかずそれを踏んでしまいポキッと音を立ててしまった。
その音に気づいた男性達は少女を見つけてしまう。
少女は必死に逃げた。追われないように速く、速く――。


(嫌だ・・・なんで、こんなことに・・・)



後ろから放たれる矢が肩に当たっても彼女は走るのをやめなかった。










蝶の住む森の近く。
村人3人がやられた場所に銃を持った4人の男性がいた。
あの話を聞いてから、「一応」警戒すると言って見張り兼狩りをしていた。

「・・・ここの部分、変な色してるな」
「確かに。ここだけ草の色が少し茶色い」

そう話している時、草むらからカサカサといった音が聞こえてきた。音がする方向へ顔を向けるとあの時銃弾を何度も突きつけられた少女の姿が在ったのだ。
しかし、何だか前と比べて様子がおかしい。地面に両手をつけてしゃがみこんでいる。その態勢は今にも襲いかかってきそうな勢いだ。服は前よりも茶色く汚れている。

警戒していた村人たちが少女に銃口を向けた瞬間、獣のように男性達へ襲いかかってきたのだ。
少女は鋭い爪を立てて男性達を傷つける。

男性達の悲鳴が聞こえる。だが、その声は村には届かない。少女は血を流して倒れている男性に何度も爪を立てる。狂ったように何度も何度も。
残った1人の男性が村に伝えるために逃げようとした時、何かに引っ張られたような感覚に襲われる。
よく見れば彼の足に白い糸が巻き付けられていたのだ。それを辿っていくと目にはこちらを睨み付け血まみれになっている少女が映った。

「や、やめてくれ!い、命だけは!」

それが彼の最後の言葉になった。少女は強い力で糸を引っ張り男性を引き寄せる。少女は男性を引っ張るのと同時に爪を立て、そして心臓に爪を食い込ませていく。
男性は口から血を吐き出しまもなくして息絶えた。
刺し殺した死体を投げ捨て、素早く蜘蛛のように森の中へ入っていってしまった。


つづく.....
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