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第46話 女郎蜘蛛 
今回は、前回村人たちを殺し森の中へ入っていってしまった少女のお話。
彼女はこの先、どうなるのかもう分かる人もいると思う。
しかし、彼女は何かしら姫とどこか似ている要素がある。
彼女たちにとって人間とは何なのか。そして、人形族《ムニェカ》にとって蝶の存在とはどんなものなのか。

この物語の目的は、書いてる私自身はっきりとは定まっていない。
しかし、「人間と他種族の話」であり「世界を憎む悪役にはこの世がどう映っているのか」ということが目的なのだろう。
どの物語も「悪役」の視点、状況はほんの一瞬か場面切り替えの時など、わずかな時間の間でしか描かれない。
ほとんどが主人公の視点。あるいは周りにいる仲間達の視点。
しかし、私はあえて「悪役」を主人公として選んだ。
「悪役」はどんな思いで、生き続けているのか。私はそれが知りたい。
想像もできないほど、辛い思いをし痛みを感じ大切な人を失い、やがて憎悪や絶望に変わっていってしまう・・・。
それを知ってほしい。それを私も知っておきたい。

この世で一番怖いものはなんだ?この世で一番優しい存在はなんだ?





それは、ほかでもない私たち



――――人間なのだから。




森の中へ入っていった少女は次第に走るのをやめ、立ち止まりもとの二本足で立ち始める。

「・・・なんで・・・俺、こん・・・・な・・・」

自分がしてしまったことに驚いていた。そして目に涙を溢れさせ、その場にしゃがみこむ。


俺・・・なんで、人なんか・・・
どうして体も脳みそも言うことを聞いてくれない!
お願いだ・・・手を出さないでくれ・・・俺は、人間のことを憎んでいるわけでも――

――『本当にそうか?』

・・・!誰だ!

――『お前の力その物だ』

力?俺は人間だ!
力ってなんのことだ!
俺はただ・・・

――『仲良くしたいとでも?馬鹿を言え。お前は一生、どんな苦労をしたってアイツらとは仲良くなれん。かんがえてもみろ、お前のことをアイツらはどんな目で見る?』

・・・どんな、目で?

思い返せば思い返すほど、人間達が俺にしたことが鮮明に甦る。
化け物を見るような目で、俺を・・・。
銃口を向けられ、傷つけられ、追い出され・・・

自分の爪を見れば、誰かの血と思われる赤いものがついている。鋭い爪、鋭い牙――

俺は、人間じゃ・・・な・・・、い・・・?

――『そうだ。お前は』


烏が森の中から外へ向かって羽ばたく。強い風が森中を駆け巡る。鴉(からす)の鳴き声が響き渡り、不気味な蝶が飛び交う。

俺は・・・







俺は―――



**

・・・すぐ近くにいる。とても悲しく、苦しむ声が。

レヴィが言った通り、この夜森の中で1人の少女がさまよっていると・・・。
とても、苦しそうな声が聞こえる。蝶が居場所を教えてくれた場所へ向かう。
燐は私の腕にしっかり掴まっている。やっぱり、まだ馴れないみたいね・・・

「・・・この近くですね」

蝶が案内してくれた場所とレヴィが予言した場所が一致・・・。
ここに、悲しい少女がいるのね・・・。


「・・・ねぇ、お話ししましょう?そこにいるのでしょ?出ておいでなさい」

私の呼び掛けと同時に燐は察したみたいに後ろへ下がりレヴィの隣に移動した。
そのほうがいい。怪我だけはしてほしくないし、まだ私の魔力も馴染んでいないはずだから。





カサカサ・・・

草むらの音が左側で聞こえた瞬間、強い風が吹き渡り蝶が舞い上がる。
そして、左側から黒いなにかが飛んできた。それは素早く爪を立て、私に向かって手を伸ばす。
魔法陣を描いて巨大な大鎌を取りだし、応戦する。
黒く染まった少女は、鎌で傷つけられても怯むことなく私に襲いかかる。
どうやら、理性を失っているようね。これじゃあ話しかけても声が届かないわ。

「・・・ガルルル」

・・・唸っている。けれどとても悲しそうな声。
私たちも迫害され続け苦しい毎日を送っていた。
大丈夫。もう苦しまないように、私が助けてあげるから。


私の胸に爪が刺さる。
少女の手は私の体を貫通し、背中から突き出ている状態。
燐はこの姿をみてどう思うのかしらね。悲鳴が聞こえないということはレヴィがなんとか話をつけてくれているに違いない。
なら、私は役目を果たすまで。

「・・・さすがね。でも、まだまだだわ」

少女の頬に両手を近づける。
すると少女は離れようと暴れ始めるが、貫通した腕を引き抜くことができない。
姫の傷口がみるみるうちに治っていくのだ。血も、時間が巻き戻るように体内へと戻っていく。
変わらず離れようとしている少女を姫は強く抱き締めた。
その衝撃で傷口がまた開いてしまったが、姫は痛いとは感じていないのか顔色一つ変わっていない。

「もう、いいのよ。私は貴女を助けたいの」

その言葉が届いたのか、少女の表情は次第に落ち着いていく。
そして、今の状況を理解し驚いていた。

「・・・あ・・・、あぁ・・・」

少女はかなり怯えている。
そんな少女を姫は優しく頭を撫で始め眠るように暗示をかけた。
少女は次第に眠っていった。少女の目から、涙が流れていた。

ひとまず落ち着いた時、妹が姉の側に近づき「終わった?」と尋ねる。

姫は振り向いて

「・・・ええ。一旦帰りましょう。この子を寝かせてあげないと」













**

――。


・・・。


・・・!!

ここは、どこだ?
俺は、どうなった?だめだ、思い出せん・・・


ここは・・・どこかの部屋か?
こんな俺を保護してくれた奴がいるってのか?
人間じゃない俺を・・・?

・・・・ん?
さっき何かが部屋から出ていったような・・・

ガチャッ・・・

!ドアが開いた!?
誰だ、この俺を保護した奴は

「おはよう。目が覚めた?」

現れたのはこの辺りじゃ見かけることの少ない綺麗な女だったが、この女からは俺と同じ臭いがぷんぷんする。

「お前・・・誰だ?」
「これが何だかわかる?」

そういって手を胸あたりに持ってくる。女の人差し指に違和感があった。よく見てみるとあの時見た不気味な蝶が止まっていた。
それを見た瞬間、俺の目の前が真っ赤になった。
まるで、あの時みたいに―――。

「やっぱり、貴女・・・蜘蛛の子ね」
「・・・うるせぇ・・・」

畜生・・・。落ち着くんだ、俺・・・

女に飛びかかってしまいそうだ。早く蝶を戻してほしいのに、女は蝶を止まらせたまま俺の側に近寄る。
そして、蝶が止まっているほうの手を前に差し出して

「私は蝶を従える者。皆からは“ちよひめ”だなんて呼ばれてるけれど。貴女のお名前を聞かせてくれないかしら」

・・・蝶を従える・・・者・・・。
どうやら俺とは相性が悪いようだ。
・・・しかし、困ったな。
名前って、何だ?

「・・・・・・」
「名前がない、のね・・・」

悲しそうに言う女。
名前ってそんなにいいものなのか。呼ばれたことなんて今まで一度もない。

「・・・・アビス」

?アビス・・・?
その言葉は何だ?今まで聞いたことがない言葉だ。

「貴女の名前はアビス。私がつけさせてもらったわ。これからよろしく、アビス」

・・・アビス・・・
この響きは・・・・何なのだろうか。すごく、暖かい・・・

「ここでは貴女は自由よ。好きなように寛ぎなさい」

女はそう言って部屋から立ち去った。蝶が女と一緒に戻っていく。どうやら、彼奴が助けてくれたようだ。ここにいる奴らを攻撃しないよう、コントロールできるようにしておかないとな・・・。
またああなっては困る。






**

「どうだった?」

部屋を出た瞬間、燐が心配して近寄ってきた。本当に、可愛いんだから・・・

「・・・・次第に心を開いていくと思うわ。燐も仲良くしてあげて」

そういうと、コクッと首を縦に振る。その仕草が可愛くてついつい頭を撫でてしまう私もまだまだ姫としては未熟かしらね・・・

今夜は、ある町に行かなければならない。レヴィがいうには「動物の心がわかる少女」とのこと。
予言によれば今夜、町が崇拝しているというギルデプティスの人柱にされてしまうという。
一刻の猶予もないわね・・・。夜になったらすぐにその町に行かなければ・・・。

つづく.....
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