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第52話 影賊 
更新がやたら遅れて申し訳ない・・・・・・・orz

話を書き溜めてはいるのだが、なかなか話がまとまらず苦戦しているのが現状だ。
楽しみにしてくれている人には毎度毎度申し訳ない気持ちになる。(楽しみにしてくれてる人がいるのかどうかは不明だが)

今回はセトの場面を多めにしたつもりだ。
次回もセトが中心になる。設定を練っている最中なのでもうしばらくお待ちいただきたい。

次の次あたりから時間が大幅に飛ぶ予定である。
少しでも進めないとやばいのだ・・・・・。3月もあともう少しで終わってしまう。

では、本文へ



しばらく暖かい風が吹き荒れていた。風が吹きやむのと同時にアビスの口が開く。

「・・・・・・・・今、なん・・・、て・・・?」
「お友達になろうって言ったの。聞こえ・・・づらかったかな・・・?」

エコーは不安そうにアビスの目を見つめている。
蜘蛛は信じられなかった。自分に「仲良くしてほしい」などといった言葉をかけてくれる人が今までで一人もいなかったからである。

「・・・・・・・・変わったやつだな・・・。俺が怖くないのか?」

そういうとエコーはきょとんとした表情を見せる。

「どうして?何も怖くないよ。だって同じ“人”なんだから」

・・・“人”。俺を人だと言ってくれたのは、コイツが始めてだ。
俺は蜘蛛の化身。誰とも仲良くなれないと思っていた。だが、違うんだな・・・。こんな俺にも、友が出来るんだな。

「・・・・お前、名前は?」
「私エコー。エコー・アルセデス」
「よろしくな、エコー」

エコーは笑顔で「うん!」と言った。その笑顔は、俺の心の奥にある穢れを浄化してくれたように思えた。





城内。
ヤヨイは全身傷ついてしまっている少女の手当てをしている最中だった。
ヤヨイが施した処置で先程よりは顔色がよくなってきてはいるが、まだ苦しんでいるのか呼吸は激しかった。

ヤヨイは今までになく真剣だった。
タオルを氷水に浸し、水を絞りきったあと少女の額へ乗せる。
その直後、姫とレヴィが部屋へと入ってきた。

「どう?様子は」
「・・・・・・・よくありません。しかし、発見時よりは大分顔色はよくなってきています」


その会話で少女は目を覚ました。虚ろな目をキョロキョロさせ、ゆっくりと起き上がる。
その時にタオルは彼女の膝へと落ちた。少女は手探りでタオルを探し、握りしめている。

(・・・ここは・・・?)


姫が少女の目の前へ行き、話しかける。

「目が覚めた?」
「・・・ぁ・・・ぁ・・・」

少女は何かを言いたがっているが言葉になっていない。
そして、その間も目はキョロキョロと泳いでいる。
その様子を察した姫は頭をそっと撫でる。

「大丈夫、私たちは貴女に何もしないわ。安心して頂戴」

「・・・ぁ・・・・・・ぁっ・・・」

少女の様子が普通の人間には思えなかったヤヨイは姫に何に気づいたのか聞き始める。

「姫様、その子」
「・・・この子、目と声帯がやられてるわ。でも気配は感じ取れるみたいね」

姫は悲しそうな目で少女を見つめる。その目には自分の子供を心配する母親の眼差しがあった。

少女には視力がなく、さらには声も出すことができない。
それでも彼女はここまで何かから逃げてきたのだ。
少女の顔は姫のことをしっかりととらえている。
姫は気づいていた。この少女には波動を感じとる力があるのだと。波動を感じ取ることが出来るのならば、目が見えなくても問題なく毎日を過ごすことくらいはできるからだ。

「しばらくこの子とお話がしたい。二人きりにしてくれるかしら」
「分かりました・・・」
「ヤヨイ、そんなに気を落とさないで。この子のことは私に任せてゆっくり休みなさい」


ヤヨイ、レヴィは姫の言う通りに部屋を出てしばらく外で待機することになった。
燐はできるだけ姉の側にいたいと言うので姫と一緒に少女の様子を見ることになった。

その間、レヴィはヤヨイに「なぜそんなに気を落としているのですか?」と尋ねていた。

するとヤヨイはゆっくり口を開ける。

「あの子が自分に見えてならないんだ」


いや、正確にはあの時と・・・状況が全く同じなんだ。私も、あの少女と同じように発見され姫様に大変お世話になった。恩返しがしたくて自分からメイドをかってでたが、まだまだ未熟なところが多々ある。
私は何もできなかった、救えなかった。だからせめて今だけでも時間がある限りお側にいることが私なりの恩返しだ。

・・・あの少女は一体何に怯えているのか。それはきっと姫様にしか分からないだろう。
私には治療をし、面倒を見ることくらいしかできない。
私よりももっと辛い、苦しいことがあったに違いない。


「・・・成る程、そういうことですか。これ以上はお聞きしません。貴女のことを少しですが知ることができてよかったです。では、私はロアの様子を見て参りますので此方をよろしくおねがいします」

魔女はそういい、ロアが眠っている部屋へと歩いていった。
その後ろ姿をヤヨイは黙ってじっと見ていたのだった。



姫二人と少女は部屋に残り、会話をするためにあることをしていた。それは、姫と少女が手と手を繋ぎ精神を集中させるというもの。騒がしくない、静かな場所でしなければ集中が途切れるためレヴィとヤヨイに部屋から出るように命じたのだった。
燐は姉の様子を見守りつつ、椅子に座って目を閉じている。
その間、少女と姫はテレパシーで会話をしていた。




『私の声、聞こえるかしら』

『・・・うん・・・聞こえる』

『まずは改めまして、ようこそ私の城へ。ここは人形《ムニェカ》たちが住む城』


人形《ムニェカ》。その言葉を聞いて少女は何かに気付いたように顔が少し傾く。
さらに姫は話を続ける。


『城と言っても、今は私を含め3人くらいしか人形《ムニェカ》はいないけれど』

姫が微笑みながら自分達の種族を説明すると、少女は俯きながら


『・・・聞いたこと、ある。人間を、抹殺しようとした種族だって』

少女はなぜか知っている。この事を知っている人物は少なくとも千年前の人間。もしくはその時代に生きていたものしか知らない。

『・・・そう。ところで、貴女はどこから来たの?そんな事を知ってるってことは普通の人間ではなさそうだけれど』


そう聞かれ、動揺しているのか少女の目が泳ぎ始めている。
そして、少し間を置いて1つの単語を静かに発した。





『・・・影賊《カーティル》』


つづく.....
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THEME | GENRE 小説・文学 |
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