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第54話 蝶ノ棲ム森 
ゴールデンウィークということで、小説54話更新します!!
今のうちにやっておかないと、もう二度と書けなくなりそうでコワイ。。。


そんなに進展はありませんが、進んだことと言えば時間?時代?が大幅に進んだことでしょうか。
それ以外の進展なんてもんは・・・ないですねぇ・・・・orz

今回は静かな森の中、姫たちは一体どんな生活をしているのかという情景を描きました。
ちょっと笑える(?)場面を入れました。最近シリアスすぎて全然入れられなかったからね・・・

さて。55話もぼちぼち書いて行こうかねー



―――時は流れ、50年が過ぎる。何も知らないまま巻き込まれた少女4人はすっかり大人になり、やがてたくましく成長していった。

アビスは自身の力の制御に成功し、エコーは多少の魔法を覚え、ロアは立派な術者になり、そしてセトはヤヨイに教えを請い修行している最中であった。



――――。

「・・・任務完了っと」
「アビス、帰ろー」

アビス、エコーは近くに現れた一般市民を抹殺し終えたところである。

「あぁ、帰るか」

死体の処分を済ませ、城に戻る2人。戻っている間もアビスは各地に就かせた蜘蛛を通し誰もいないか確認していた。

結界の中に入り、やがて城が見えてくる。

「ただいまー」

とエコーが言う。その後アビスも続いて言うはずだったのだが。

「うっす、今もどっt」

そこまで言ったところで何かが素早く正面からアビスに飛びかかる。
もう少しで結界から出てしまうというギリギリのところまで押されたが、なんとか堪えた。
そして飛びかかってきた人物に話しかける。

「おいロア!お前いい加減にしろよ!?」
「えー?『おかえりー!』の挨拶なのに冷たいナァ」

両腕でロアの持っている見るからに物騒なウサギのぬいぐるみが持っている巨大な鉄のハンマーを受け止めながら

「これのどこが挨拶だっ!ただの決闘の申し込みにしか見えねぇよ!」
「あれっ?よく分かったねっ!!」

「だからそれやめろって言ってるだろうがっ!」

まるでコントみたいなことになっている2人だが、これがいつも通りなのだ。
いつもこの2人は出会うたびにぶつかり合う。それが当たり前ということになっているほどだ。


その様子をエコーは止めようとはしない。好きなようにさせているとでも言ったほうが妥当か。

「お願いだから静かにしてくれ・・・。ちよが起きちまう・・・」

アビスはこの50年の間に姫と親しくなっていた。
とは言ってもアビスは誰にたいしてもタメ口、呼び捨てだ。それが彼女の良さでもあるのだが。

「ちゃんと静かにしてるヨー」
「どこがっ!??」

ロアも初めは慣れていなかったが今ではすっかり好戦的になり、皆とも仲良くなっている。

「今日も元気だね、2人とも」

と2人が揉めている最中、誰かが声を掛けてくる。
それは今では姫の側近、及び姫の立場を持ちながら蝶姫の巫女をつとめている燐姫だった。

「よお、りん。ちよは元気か?」
「大分よくなったよ。でもまだまだ疲れてるみたい」

話をしているうちにアビスもロアも互いを押し合ったりするのをやめ燐姫へ体を向ける。

「・・・あいつは無茶しすぎなんだよ・・・。ったく、心配してるこっちのことも考えてほしいもんだぜ・・・」
「でも、お姉様皆のことすごく心配してたよ。最近様子見に行けないからって」
「相変わらずだなぁ・・・。心配いらねェよ。俺らはこのとおりピンピンしてるから」
「うん、お姉様にちゃんと伝えておくわ」

そう話していると、修練に勤しんでいるはずのセトがアビスたちが帰ってきたことに気付きこちらへやってきた。

「・・・おかえり・・・」
「おう、ただいま」

しばらくして、セトの後ろからヤヨイもこちらにやってきた。
丁度休憩していた頃だったようで、セトとヤヨイからは紅茶の香りが漂っている。

「順調か?」

微笑みながらそうセトに問いかけるアビス。
セトは無表情で「うん」と頷いた。あまり感情を表に出さないのは元影賊《カーティル》だからかもしれない。
それでも四人の『蝶』はお互いのことを分かち合おうと努力して今もなお生き続けている。

セトの返事を貰って、アビスは静かに微笑んだまま目を閉じる。

(・・・・今なら・・・・)

その間にロアはまたぬいぐるみに魂を注ぎ込みアビスに向かってハンマーを振り下ろす。
目を閉じていたアビスは冷静に向かってきたハンマーを片手で受け止める。

「・・・おい、ロア?いい加減にしろと言ったばかりだよな・・・?」

そう言いながら目を開けるアビス。声や目には抑えきれない怒りが溢れ返っている。
それを聞いてもロアは狂ったような笑みをアビスに向けるだけ。

(反応もなし。話を聞いてもいない。言うことも聞かない。)

アビスはとうとう怒りを爆発させてしまい、ハンマーを受け止めていないほうの手から細い糸を出し、その糸をロアの身体やぬいぐるみがもっているハンマーなどに絡めさせる。

「・・・キャハハ、やっと本気だしてくれるんだね・・・・・・!!」

ロアは言い切るのと同時にアビスの糸を自力で引きちぎる。
その後、今度は呪文を唱え火の魂をいくつも作り出すとアビスへ向けて放つ。
防ぐために、糸を正面に張り巡らし攻撃を防御する。

その隙にアビスの後ろへ一瞬で回り込みぬいぐるみを操りハンマーを巨大化させ振り下ろす。
地響きが辺りに鳴り響き、土ぼこりが舞う。


エコー、ヤヨイ、燐姫は二人の暴行を止めようともせずただ傍観しているだけ。
・・・・だったのだが


「・・・・!」
「・・・・・・・」


ロアとアビスの間にはセトがいた。
アビスの目の前で右手を出し、左足でぬいぐるみのハンマーを踏みつけている。

そう、セトはあの一瞬の隙に止めに入ったのだ。
ロアは気に食わないという表情でセトを睨み、アビスは何も言わずただ黙っているだけだった。
土ぼこりが完全に晴れて、セトの口が開く。

「・・・・やめないと、怒るよ・・・・?」

セトの目は暗い闇の中で獲物を仕留めようとする“影”そのものだった。
その様子を悟ったアビスは一歩後ろへさがり

「悪かった。もうしねぇよ、後で謝りに行っとく」

その言葉を聞いてセトは右手をおろし、踏みつけていた左足も地へとおろす。
しかし、ロアは納得していないのか自由になった途端またハンマーを今度は横から打つような体制になりセトを越えてアビスのもとへ。

だが。




「・・・・・『やめて』って言ったはずだよ、ロア」

セトはロアを睨みつける。
その目にロアは怖気づき、ぬいぐるみに注ぎ込んでいた魂が抜けていき術者であるロアは「許して」と言わんばかりの表情をする。

「・・・・うるさいわね・・・、何事・・・・?」

声のする方向を向くとそこには休んでいるはずの蝶姫の姿があった。
どうやらさっきの地響きで目が覚めてしまったようだ。

燐は姉が起きにきたことに驚いたが、姉が「おいで」と言わんばかりの表情で燐を見つめたためか妹はゆっくり姉の胸へ飛び込んでいった。
アビスは困った顔で頭を掻きむしる。

「わりぃ・・・、ロアが言う事聞かねェもんだからつい・・・・;」

必死に謝っているが姫は「なんで謝ってるの?」という表情でアビス達を見つめる。

「相変わらずまたいつものしてたのね・・。大丈夫よ、怒ってないわ。安心しなさい」

アビスとロアは少し驚いたが、やはり自分たちがしたことは「許されない」ことであるということを自覚しているので「今後、このようなことにならないように気を付ける」と姫に言い、今回の件は水に流すことになった。
セトもいつもの穏やかな表情に戻り、問題が解決するとすぐヤヨイに修行の続きをしたいと請い修練場所へと戻っていった。

蝶と燐は部屋に戻って休むと言うのでアビスは反省の意味を込めて部屋へ送り届けようと後をついていく。
エコーは「先に部屋に戻っておくね」とアビスに伝えせっせと部屋へと戻っていった。
ロアは呪術の修練をするために庭に残った。


「・・・・もっと、強くならないといけない。もっと強く・・・・」




**

階段を登り、廊下をまっすぐ歩いていくと奥に他の部屋のよりは一回り大きい扉が見えてきた。
ここが姫たち2人の部屋なのである。
アビスは扉を開け、2人を中へ入れる。

「ゆっくり休めよ。まだ疲れてるだろう?」
「もうだいぶよくなったけれど、まだ眠いわね・・・。力を使いすぎたみたい・・・」
「この城は俺らが守っておく。安心して眠れ」

微笑みながら扉を閉めようとするアビスに姫は「ありがとう・・・」と小さく呟いた。
完全に扉を閉め、来た道を戻っていく。

「・・・・俺もまだまだだな・・・」

自分の部屋へ戻るまでの間、小さく独り言を呟いてた。

つづく......
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THEME | GENRE 小説・文学 |
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