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第63話 因縁 
2つ同時UP!


63話はまぁ、その日のお城の近くもしくは中で起きた出来事ですね。
ここから、また物語が始まるのです。

そう、絶望へと向かう悲劇の物語が・・・・



爽やかな太陽の光が辺り一面に降り注ぐ昼下がり。
しかし、そんな現実を裏返すように城の中はほとんどの光をカーテンで遮っているため薄暗い。そんな城の小さな会議室で2人の女性が何かを話している。

ドン!!・・・と強い力で何かを打ち付けた音がその会議室に響き渡る。
音の正体はサフィラだった。立ち上がりながら机を両手で押さえつけている。その向かい側には王妃。お互い険しい顔付きで睨みあっている。

「なぜですか!なぜ燐様を処分しようとなさるのです!我が子の命を自ら絶ちきるというのですか!?」
「・・・サフィラ殿。もう決まったことなのです。抵抗はおやめください」
「あなた様はこれからなさろうとしていることがお分かりですか!!」
「・・・未来を視る力でしたっけ?そんなもの、誰が信じるというのですか。信用なりません、もうこの件からはお引き取りください」

サフィラは拳を強く握りしめ歯をくい縛る。そんな彼女など知ったことではないといった態度で王妃は部屋から出ていこうとする。

「・・・・・どうなっても、私は知りませんよ・・・マリア王妃」

小声で呟くようにサフィラは言った。その時にはもう既に王妃は部屋から出た後だった



蝶姫はそんなことが起きているとは知らずにまた中庭でお花の絵を描いて遊んでいた。お花に蝶々が止まっている絵を今描き足している最中だった。

その絵を描いている時、絵の花に本物の綺麗な青い羽をもった蝶々が止まった。

「蝶々だぁ。綺麗な色・・・」

蝶々はしばらく止まった後ヒラヒラと羽をはためかせ飛び立っていった。
それと入れ替わるように今度はサフィラが蝶姫のもとにやってきた。どうやら心配して様子を見に来たようだった。
サフィラがきたことに気づき元気よく名前を呼ぶ。

「今日はお絵かきですか」
「うん、今日はねぇお花と蝶々を描いてたの」

サフィラは姫の横に座り、絵を見て微笑む。サフィラは姫が描いている花の葉っぱに蛹がいることに気づいた。そしてこんなことを話すのだった。

「今日は蝶々の話をしましょう」
「ちょうちょう大好き!」

サフィラは花の葉っぱにくっついている蛹を指差しながら「これがこれから蝶々になるんですよ」と幼い姫に教える。

「・・・これが蝶々になるの?」
「ええ、そうですよ。蛹から蝶々へ立派な大人になるんですよ」

私は教えた。大人になると綺麗な羽を持った蝶になるんだと。蛹から蝶に成長するには準備期間が必要だ。今の姫様を蝶の成長過程で例えると蛹の状態ではないかと思っている。逆に燐様は既に蝶になりかけ。しかし、完全に羽化しきれなかったのだろう。どこにも飛んでいけない可哀想な蝶になってしまった。
・・・これは私の考えにすぎない。しかし、姫様は蝶になるお方だから。名前も、生い立ちも全て・・・

「蝶は大人になっていろんな世界を見に遠くへ飛んでいきます。ですから、何でも知っているのです。この世のことなら何でも」

「何でも?」
「はい」

何でも・・・とは言い切れなくともこの世で起こることを、行く末を見続けているのだから知っていることは多いはず。

「私も綺麗な蝶々みたいに立派な大人になれるかな?」
「・・・・・・いつか、きっと」

そう話をしていると蛹から羽を伸ばそうと必死に羽化をしている蝶が目に映る。

「がんばれっ!がんばれぇー!」

手を上下に振って可愛らしく応援している姫様。それを聞き届けたかのように蝶は無事に羽化を終えゆっくり宙に浮かぶ。

「やったぁー!よく頑張ったね」

蝶に話しかけている姫様の目には輝きで一杯だった。

こんな生活がずっと続いてくれるならどんなに楽で幸せなことか・・・


・・・分かってる。そんなことを言ったって、未来は変えられない。でも、いつか普通の女の子として幸せに暮らしてほしいと思うから分かっていても言ってしまうのかもしれない。

「今日も不思議なお話で面白かったっ」

蝶を見送って私に向き直り無邪気な笑顔を見せる。

「どういたしまして」
「このお話燐ちゃんにしてあげたいなぁ・・・・・・。あ、そうだ!」

何か思いついたように顔が一瞬で明るくなる。
そして、私に「教えてほしいことがあるの」と元気な声で言う

「お花の冠の作り方、教えて」
「いいですよ。作って持っていってあげるんですか?」
「うん!前に燐ちゃんが『お花見てみたい』って言ってたの思い出したからどうかなーって」

そうか。燐様は生まれてからずっとあの塔に幽閉されている。外に出ることも出来ない彼女には全てが新鮮で新しい発見になる。
私は姫様に冠の作り方を教えてあげた。
ひとつひとつ、まだ小さい手で茎と茎を編み込んでいく。
私も手伝ってあげて、なんとか完成させることができた。完成した時には日は既に暮れかけていた。

「燐ちゃんにお花あげに行ってくる」
「いってらっしゃいませ」

駆け出したがふと振り返って

「・・・あの、その・・・皆には内緒にして、くれる・・・?」
「大丈夫です。私は約束を破ったりはしませんから」

笑顔を見せて燐様がいる封魔塔へ走っていった。


姫様の姿が見えなくなってから私は城の近くにある森へ足を踏み入れた。



―――「・・・絶対にこの近くにいるはずなんだが・・・」

アビスとエコーは洞窟から出て探索をしていた。
彼女たちは微かな主の魔力を察知して移動をしていたが不安定に流れ出ている波を感知するのは至難の技だった。

「だめ、これ以上はもう感知できない・・・」
「仕方ねぇ。今日は引き上げるか」

そうやって2人が洞窟へ戻ろうとしたとき、魔法陣が地面に浮かび上がり2人を囲む。
すぐに悟った2人は戸惑うこともなくその場から左右にわかれた。その直後に魔法陣が光り、下からいくつもの氷が出てきた。
もう少し遅かったら2人の体に氷が突き刺さっていたことになる。

「やはり避けられてしまいますか。さすがシュヴァルツを勤めていた方たちですね」

木の影からサフィラが現れる。2人は目を赤く光らせ警戒する。

「魔女か」
「私たちに何のよう?」
「まあまあ、そんなに警戒しないでください。貴女達の実力を試しただけですから」

赤く輝く目をしたまま警戒を続ける2人。
アビスがサフィラに近づき問いただす

「てめぇのその魔力、レヴィそっくりだ。だがお前はレヴィじゃねぇ。匂いが違う」

そう言われサフィラは一層驚く。

「あらあら・・・。的確に言い当てられてしまいました。さすが女郎蜘蛛の化身です」
「ほう?俺のこともエコーのことも知ってるってことはやっぱりお前も未来や過去が見えるみたいだな」

サフィラはにこっと微笑みを2人に見せるだけだった。
それを見てアビスは警戒をとく

「けっ・・・、それで?俺らに何か用でも?」

サフィラはゆっくりとアビスの目を見つめながら口を動かす

「貴女方が探している姫様ならここから近いお城の地下で眠っていますが、どうかそっとしておいてくださいませんか」
「・・・どういうことだ」
「大きく動いてもらうと困るのです。なるべく裏でサポートという形でお願いしたくて来ました」

私の占いでは今日か明日。姫様が燐様のことを実の妹だと知ってしまうことが引き金となる。
それをどうか知らないままでいてほしいが、そんなことをすれば燐様は間違いなく処分されてしまう。どちらを選んでも悲劇は止められない。

やはり王妃が最初からきちんと育てていたら、幸せな未来が訪れたというのに・・・

この2人にはあまり動いてもらわないようにしないと。そうしなかったら、騒ぎが起こっていたはず。2人なら姫様を助けに連れていこうとするのは否定できないから

「・・・それはちよが望んだことか」
「はい」

蜘蛛は警戒をやめて大人しくなった。そしてさっさと洞窟へ戻ろうとする

エコーはサフィラにお礼をいった

「ありがとう。あなたが注意しなかったら今頃アビスは城に潜入するところだった」
「いいえ、いいのです。私もそのようなことは予想済みでしたので」

エコーはもう一度「ありがとう」と言って深くお辞儀をする。
その後アビスを追いかけようと走り出すのだが、

「あなたはレヴィの娘さんですか?」

振り返りいきなりそのような質問をする。サフィラは冷静に「・・・はい」と答えた。

「そう・・・」

呟くようにそう言って今度こそアビスを追いかけに行った

つづく.....
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THEME | GENRE 小説・文学 |
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