TOP > *Noir Papillon* > Title - 第64話 引カレタ引キ金

2017 04123456789101112131415161718192021222324252627282930312017 06



第64話 引カレタ引キ金 
まさかの一気更新!!!


今回は長いです。ゴメンナサイ


蝶と燐。
幸せな時間はあっというまに終わってしまう。

秘密を知ってしまった蝶は何を思う―――



その頃の封魔塔は

「・・・・もうすぐお姉ちゃんがくる時間」

燐が暗い牢屋の中でうずくまっている。
小さな窓には3つの目を持つカラスがじっと止まっていた。
しばらく時間が経つとカラスは鳴き声をあげずに翼をバタバタとはためかす。そしてゆっくりとその窓から離れていく。
それに続いて長い螺旋階段から誰かが駆け上がってくる音が近づいてくる。そしてその音の主は開いている扉を引き、内鍵を閉めて牢屋の前にひょこんと座り込む。

「おまたせっ」

息を切らしながらそんな可愛らしい声が狭い空間に響き渡る。

「そんな格好で走ってきたの?こけなかった?」

蝶姫は燐とは違う環境にいるため豪華なドレスを着ている。そんな格好で階段を駆け上がってきたので燐は心配してそう尋ねる。

「大丈夫!もう慣れてるから」

えへへと笑う幼い姫。
その笑顔を見てはじめて顔を合わせた時のことを燐は思い出し始めた。


――「なんでこんなところにいるの?」

突然だった。扉が開く度に、怯えていた記憶がある。
いつも扉を開ける男の人よりも遥かに小さい、子供の影。
その影は不思議そうな顔で私を見た

「・・・私は闇に染まった巫女だから」

「窮屈じゃないの?」
「出たいけど出られない。きっと抜け出したら私は殺される。生まれてきてはいけない存在だから」

その子はどうして?という風に深く考えたあと「うーん」と唸る。私はそんなに難しいことを言ったつもりはなかった。でも、それは私がおかしいだけなんだ。

「・・・うーん。よく分かんないけど、ここ寂しい場所だね・・・・。ずっと1人なの?」

そう言われて私は下を向き黙り込んだ。ずっと1人でこんな暗く狭い場所に隔離されているから人と話すのは慣れていない。

「だったら私が一緒にいてあげる!」

その言葉が信じられなくて、ゆっくり顔をあげてその子の顔を見た。

「・・・でも」
「ううん。ずっとは無理だけどいろんなこといっぱいお話ししたいの。だから遊びに来てもいい?皆には内緒にするから」

私はなにも言わずに首を縦にふった。
そしたら笑顔で「やったっ」と言った。そのときの笑顔が忘れられない。


「今日はねー、お花の冠を造ったの」

お姉ちゃんの声で私は我に帰った。手には何やら色とりどりで綺麗なわっかみたいなものを持っていた。

「・・・お花の、冠・・・?」
「うん、燐ちゃんお花みたことないって言ってたでしょ?だからね、冠にして造ってきたの」

はじめてお花というものをみた。それは私にとっては未知なるものだった。

「・・・綺麗なんだね、お花って」
私はあまりの綺麗さにうっとりしていた。その様子を見て笑顔で

「あげるっ」

そう言って冠を前に差し出した。私は困惑したけど、

「燐ちゃんのためにつくったの、受け取ってほしいな・・・」

私のためにつくってくれたもの。その言葉が嬉しかった。
はじめて照れたように思える。

「・・・あ、ありが・・・とう・・・・」

感謝の気持ちを伝えようと思ったらなんだかドキドキしちゃって恥ずかしかった。
そんな様子をみてもお姉ちゃんは「えへへ」と笑ってくれる。嬉しかった。
その時はじめてお姉ちゃんのことが「好き」と感じた。なんでか分からないけどそう思った。

「今日は蝶々のお話ししてあげるね」

またサフィラが教えたことかな?大体私に教えてくれるお話しはサフィラのものが多い。やっぱり魔女は物知りなんだね

話の内容は蛹は蝶になるために大人への準備をして、蝶になったときはじめて立派な大人になるということ。また、蝶はいろんな所へ行っているから物知りなんだということ。

蝶を人間に例えて教えているあたり、サフィラが考えたものなんだろうな。
でも、そっか。蝶は飛ぶことができるからいろんな場所に行けるんだ。

「・・・私も蝶々だったらお外に出られるのに・・・」

ボソッと呟いてしまった。
こんなこと聞かれてたら私は間違いなく殺されてる。
そう思っていると、お姉ちゃんは

「大丈夫!私が絶対ここから出してあげるから・・・ね?」

・・・今日で何回目だろう。この言葉をいつも絶対一回は口にする。それだけ私をここから出してあげたい気持ちでいっぱいなんだろう。

「・・・・・・うん、ありがとう・・・・」

正直、期待なんてしていない。
期待しすぎるとそうでなかった時、きっと絶望する。
そうなった時はもう受け入れるしかない。

受け入れるしか・・・

「あ!もうこんな時間!」

お姉ちゃんは懐中時計を見ながらそう言う。外はもう薄暗い。

「じゃあね!また明日も遊びにくるからね」

・・・明日。明日なんて、あるのかな・・・。

「うん」

お姉ちゃんが狭い空間から出ていくときにでた言葉は今までで一番弱々しかった。情けない・・・

また私ひとりぼっちになっちゃった・・・。
牢の向こうに花の冠が落ちている。でもここからじゃ取れない。
仕方ない。

「愧烏(きう)、あれ取ってきてくれる?」
「大丈夫ですよ」

式神に頼んだとき、サフィラが突如現れて花の冠はいつの間にか私の足元に落ちていた。

「あら、その窓は結界の力が弱いのですね」
「みたい。でも、結界であることに変わりはない」

サフィラの占いでは今日か明日と出た。私に明日があるのかどうか・・・今になって怖くなってきた。
「実はお伝えしたいことがあって来たのです」

改まってサフィラがそう口にする。一体何の話だろう

「あなた様の処分、明日に決まりました・・・」

そうか。やっぱり避けられないか・・・
なんで私が死ななければいけないのか、今でも分からない
怖いよ・・・

「・・・私は、悔いはないよ・・・」

そうは言ってもまぶたに涙が溢れてくる。

「最後に、お姉ちゃんに会えて、お話しできて。私は・・・もう満足だよ・・・」

満足してるよ。嘘じゃない。
お姉ちゃんが好きだった。
だから別れたくない。でも、運命がそうだと言ってるのならば・・・私は受け入れる・・・

サフィラは私を悲しそうな目で見つめていた。




そんな深刻な状況になっているということを知らない幼い姫は、笑顔で部屋まで走っていた。


えへへ、喜んでくれたみたいで嬉しかったなぁ
明日はなにしてあげようかなぁ

「ねぇ、聞いた?封魔塔にいる子のこと」

―――え?

私は走るのをやめて、メイド姿の大人の人達の会話に耳を傾けた。
見つからないように慌てて壁に隠れた

「え、知らないわよ。あそこって物置場だって聞いてるんだけど違うの?」
「なんでも女の子が幽閉されてるらしいのよ。聞いた話だと、その女の子・・・王妃様の実の娘さんらしいの」

・・・えっ・・・

「えええ!?うそっ!?実の娘を閉じ込めてるっていうの!?信じられないっ!」
「それでね、明日娘さんを処分するって王妃様が直々に命じたみたいなのよ」

嘘だ・・・。
お母様がそんなこと言うはずない・・・。

「あぁ、ちょくちょく来てたあの占い師と会う度にもめてたわね」
「なんでも娘さんを処分することについてもめてるって話よ。でも王妃様が一方的に決めたって・・・」

・・・そんな。じゃあ、燐ちゃんは私の妹ってこと・・・!?
お母様が決めた・・・。

どうして?どうしてなの?
私に、妹がいた・・・・・・?



お母様の嘘つき・・・。私に妹や姉はいないって言ってたくせに・・・!

サフィラは、このことを知ってた・・・。まさか、私に教えなかったのは悲しませたくないとおもって・・・?


「王妃様ったらなに考えてるのかしらね」

私は泣きながら走った。この気持ちをどう伝えればいいのか分からない。でも、悲しかった。
妹ってわかった瞬間、背筋を寒気が駆け抜けた。




毎日会ってたのに!

毎日笑ってくれたのに!

毎日・・・毎日・・・




部屋について私は真っ先に内鍵を閉めて誰も入ってこれないようにしたあと、ベットに逃げるように潜り込んだ。布団を被りその後、30分以上泣き続けた。
それくらい悲しかった。
何も信じられなかった・・・。


トントンと部屋の扉をノックする音がする。私は嫌で布団から出なかった。目を目一杯瞑った。
目を瞑っていると私の肩をポンポンと叩かれた。びっくりして布団から出て後ろを振り返ってみると、そこにはサフィラが悲しそうな目で私を見ていた。
どうして?ちゃんと鍵は閉めたはずなのに・・・

「姫様、お話しがあるのです」

表情は依然として辛そうだった。その時、私はまた泣いていた。サフィラが言っていることがわかったから。
サフィラに飛びかかって、私は長い間泣きじゃくっていた

「・・・どうしたらいいの・・・!どう、したら・・・」

サフィラはしばらくの間、私の頭を撫でてくれていた。

つづく.....
スポンサーサイト

THEME | GENRE 小説・文学 |
*Noir Papillon* | TB : 0 | CM : 0 -

COMMENT LIST



COMMENT



COMMENT FOAM

SECRET
 




TRACKBACK

TRACKBACK URL to this Entry