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第75話 契リ 
第75話更新します。


またここから鬱展開再開です。

でも、もうちょっとしたら・・・次回でやっと現代へ近づけるかと思っています。




時はゆっくりと針を刻む。



姫はかつて実の母親を殺した玉座の間で足を組みながらこれからのことを考えていた。



あの日、燐が死んでから17年が過ぎた。
もう、そろそろサクヤにはすべてを知っておいてもらわないといけない。

「サフィラ、そこにいるんでしょ」

私の後ろから亀裂を創り、サフィラが姿を現す。
微かに笑みを見せて、わざとらしく答える。

「あら、何か御用で?」
「サクヤを呼んで頂戴。今すぐ」








黎音は歳をとっていないのか昔の姿のまま、城門で見張りを続けていた
それと同時にサフィラから全ての魔法術を記した魔道書を受け取り、屋根に座りながら黙々と読み続けていた。


そうやって読み続けている黎音の真下。
サクヤは中庭の掃除をしていた。
サクヤは17年という年月の中で、すっかり成長し今では大人になっていた。

姫からメイド服をもらい、大切にしながら毎日着こなしている。

そんな彼女の元にサフィラが亀裂を創り、そこから姿を現す
いきなり現れたので、掃除に集中していたサクヤは少し身を震わせた

「・・・サフィラ様。いきなり出てこないでください、びっくりします」
「あらあら、ごめんなさいね。移動がめんどくさいもので」

笑顔でそういうサフィラにサクヤは苦笑い。
サクヤにはまだサフィラが魔女だという実感がないらしく、日々相談をしてもらっているようだ。

「それより、姫様が呼んでますよ。行ってあげてください」
「姫様が?」

サフィラは血相を変えて

「大事な話があると、おっしゃっていました」

そうサクヤに伝えた。
それを聞いたサクヤは掃除道具を持って、城の中へ入っていった。

残ったサフィラは亀裂で黎音の側まで行く。

「勉強熱心ですね。黎音」

本を読んでいる体制は崩さず、目だけをサフィラのいる方向へ動かす

「サフィラか。何も異常はないよ」
「ずっとこのままの状態が続いてくれればいいのですが・・・」

その言葉に、黎音は本を足元に置きサフィラへ顔を上げる

「・・・また、視たのか?未来を」

サフィラは悲しい目をして外を見つめている
その表情で黎音は察したのかまた本を手に取り、続きを読み始める

「また、止められないかもしれない・・・・」

その言葉に黎音は本を読むのをやめた。
黎音はサフィラから自分の母親が何をしたかったのかを聞かされている。
そのため、その言葉の意味も分かっていた




*
*
*






その頃、玉座の間。
姫は足を組みながらサクヤを待っていた。

大きな扉が開かれるのを確認すると、静かに立ち上がる

「来たか。サクヤ」
「お呼びですか、姫様」

姫はサクヤが入ってきた扉の前まで行き、振り返る

「見せたいものがある。ついて参れ」


姫の言葉に今までにない重みを感じたサクヤは言う通りに後についていく。
長い回廊を歩き、姫はやがて一つの扉の前に止まる。
そして、ドアノブに手をかざし中へ入っていく。
中に入るように目線を送る姫をじっと見つめながらサクヤは後に続いていく。

そして目にしたものは


「・・・・これは・・・」

綺麗に整頓された豪華なベッドに一人の少女が眠っていた。
その少女の胸には綺麗な花冠が大切にそっと置かれていた。
姫は結界の中に入り、少女の顔に優しく触れる。

「私の妹・・・、燐だ」

サクヤはその言葉に衝撃を覚えた。
はじめて姫に妹がいるということを知ったからである

「い、妹・・・様・・・・?」
「17年前に、死んでしまったがな・・・」

悲しむ姫の横顔をサクヤはこの城に住んでからはじめて見た。
サクヤは静かに、姫に寄り添おうと近づく。
だが、それよりも眠っている妹に目がいった。

綺麗な顔をしてずっとここで眠り続けている妹。
そんな妹を弔うこともできずにここに留めている姫を励ますことなどサクヤには無理だった。
やがて姫の口が開く

「私は17年前、燐を救うために闇に堕ちた。人なんて何人殺したのか分からぬほどに、私のこの手は血で濡れている」

今まで姫は隠していたことを全てサクヤに打ち明ける。
その言葉に驚いていたが、静かにしゃがみこみ姫の肩に手を置く

「・・・・仕方なかったんですよね・・・?そうしないと、助けることできなかったんですよね・・・?」

サクヤは姫のことを嫌いもせず、同情していた。

「・・・・私に同情するのか・・・?変わった奴だな」
「私、なんでか分からないですけど・・・・姫様の気持ち分かる気がするんです」

サクヤ・・・・。やはりサクヤはあいつの生まれ変わり・・・?
だとしたって、あまりに物好きだ。

燐を救いたかったのに、死なせてしまって私はまだまだ弱い。
もうそろそろ燐は天へ舞う頃だ。
弔ってあげないといけない

「・・・サクヤ、お願いがある」
「何ですか?」

姫は改めてサクヤの目を見つめる

「燐を弔ってやってほしい。そして、もし私が死んでしまったら・・・・私を燃やしてくれ」

サクヤはその言葉が信じられず、慌て始める

「そんなこと・・・!」

姫は手を握りしめ、強く言う

「頼む。私からのお願いだ」

強い眼差しを感じ取ったサクヤは静かに「はい」と答えた。



しばらくして、燐の遺体は大事にしていた花冠とともにサフィラと黎音の炎の魔法によって燃やされた。
それから、1か月が過ぎて行く。
時は進む。ゆっくり、ゆっくりと






姫の元にはこの17年間で、嫁にしたいと名乗り出る数々の貴族から便りが何通も届いては城にやってきていた。
何も知らずに招かれた男性たちは皆、サフィラによって殺されていた。

「求婚者など・・・私は誰にも屈しない。城に招いた男どもは全員殺せ。目障りだ」

また、求婚者が現れ今まで同様にサフィラが殺していく。
それをサクヤは間近で見ていた。
時には卑怯な手で姫を我がものにしようと企む者もいた。
サフィラは人を殺していくうちに、命の重さをあまり感じなくなっていた

「諦めませんね。私が出向いて片っ端から殺してきましょうか?」
「・・・・いや、いい。そんなことをしても意味を成さん」

姫は人生に疲れを感じ始めてきていた。
サクヤは姫のことを知ってから、現実を受け止めようと常に側にいるようになっていた。
そのたびにサフィラが人を殺していく光景を何度も見、姫の冷たい視線も何度も見ていた


***


ある日の夜、姫はサクヤを呼び出し玉座の間でひとときを過ごしていた。

急に、姫はサクヤの側に寄り添いこんなことを言うのだった。

「サクヤ、我が血を受け取れ。私とともに生きた証だ」

姫は自分の爪で自らの指を切り、サクヤに飲ませる。
言われるがままにその血を飲んだサクヤ


この時まだ、この契りの意味を分かっていなかった


つづく.....
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THEME | GENRE 小説・文学 |
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