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第78話 真相 
蝶の旅。

それは長い長い、輪廻の旅。
ただ妹に会いたいがために、復讐のために。


彼女はどこまでも飛んでいく。
500年前に起きた少女暴走事件。真実はここに在り。




私は今・・・・どこにいる・・・?

また、死んだ。
どこに飛んでいこう・・・?
寂しい・・・。
やっぱり燐がいないと寂しいな・・・

怒りのあまり全てを破壊しかねなかった。情けない。
そんな私を忌み嫌わず側にいてくれ、私の頼みを聞き届けてくれたサクヤ。

彼女がもし、本当にヤヨイの生まれ変わりなら繰り返してしまうかもしれないと思った。
前の時代のように。
私を追いかけて転生したがるような気がしていた。
だから私は自分が死んだら燃やすようサクヤに頼んだ。
繰り返さないように


私は何がしたいのだろう?
こんな長い年月。もう何がしたいのかさえ分からない。
最初、人間と交流を行っていたのが嘘のように感じる。

今はもう人間なんてどうでもよくなってしまった。


私は人間を憎む。神を憎む。この世を憎む。
いつの日か人の世を滅ぼし私だけのものにする。
だが、燐と一緒でないとそれは意味を果たさない。

願うことなら、もう一度燐に会いたい。触れたい。一緒に暮らしたい。

そのためには結局繰り返すはめになる・・・


燐のためなら。私は何度でも繰り返す
約束したのだ。必ず見つけると

なら、もう一度見つけて今度こそ同じ時を過ごすのだ。


それが私を私でいさせてくれる唯一の願いだから・・・




だが、現実はそう簡単にいくはずもなく。
私が転生した者達は必ず不幸になっていく。
大切な人を失う者、狂っていく者、犯罪に手を染める者、自殺をする者・・・

正直こんな私でも見てられないほど最初は辛かった。
だが、数十回ほどしてきて慣れてきてしまったのか何も思わなくなっていた。

そして時代が進み“ジェム”という宝石ができる。
私たちにある魔力そのものを具現化し手元において守れる形になった
魔力の消費を最小限にするために造られたものだったが、やはりそう簡単に事は進まない

最初に起きた事件。
一人の女性が暴走を始める。
ジェムは黒く濁りきっており、亀裂が入っていた
女性は全てを破壊しようと怪物になった。
怪物を倒した時、女性の体にはまるで石でできた人形のようにひびが入っていた。

これが人間達に突きつけられた真実だった
ジェムの源は自身の魔力そのもの。魔力はその時の感情によって波動を変える。
そんな魔力を具現化してしまったのだ。当然体にも精神にも負担がかかる。
するとどうなるか。





簡単な話。耐えきれなくなる。
自分に、魔力に、現実に






その事件以来、ジェムが黒く濁る原因は負の感情を溜め込み過ぎることと認められた。
だがこの真実はあまり世間には広まっておらず。
自分がそんな状態になって始めて現実を知る。

私も転生を繰り返す中でそうなる者を何人も見てきた。
魔獸と変わりない理性がない存在、知性はあるが理性がない存在、そのまま人を殺め続ける存在。

見てることしかできない。見ることしかできない。
私が原因で転生した女性達がそうなっていくことも分かっていた

いつしか私は転生するたび強くなっていた。きっと魔力が蓄積されていくからだろう。
そして、その者達が持つ負の感情が私の力になり始めていた

気づけばもう戻れないところまできていた。だが私は燐に会いたいという意思だけで繰り返していく

そしてやっと、依代を乗っ取り燐を探すため四神の力を借りる計画を立てる。

四神は昔から伝承でしか知らなかったが存在していることが分かった。「願いを叶えてくれる」存在
利用しない手はない




だが依代が私と相性が悪かったのか体を乗っとることはできても姿はそのままだった
まだ幼い体で人間達と戦うことは難しかった

だが側にはいつの間にかサクヤがいた。私が知らない間に強く成長していた。
能力を始めて見てすぐに憶えた。私の周りには優秀な側近達がいる。
ありがたいことだった

だが、


「貴女を滅します」


吸血鬼、守護家、そしてあの時私を殺した陰陽師の子孫が集結し私を邪魔する。


吸血鬼は私と戦おうと攻撃を仕掛けてくる。
今まで憶えた全ての能力を駆使する。するとひどく怯えていた。
いい気味だ

何度かそれを繰り返しているうちに吸血鬼は力尽きたのか息切れをしはじめる。
私はサクヤの空間操作《マニピュレ・スパティウム》で陽刻楼にたどり着く。

サフィラ、黎音、サクヤの協力もあり東西南北にある宝玉を奪うことには成功した。
当時は奪われることなんて考えてなかったのか結界も仕掛けも何もなかった。
象徴される場所に置いていただけ。だから奪うことは容易かった。

あとは最後の神『黄竜』が出てきてくれさえすれば願いを叶えることができる。

はずだったのだ



陰陽師の罠が仕掛けられていたことに気付かずはめられたのだ。

私の動きを封じ込めるものだった。私を中心に五芒星が描かれている
サフィラ、黎音、サクヤは術発動の波動に吹き飛ばされる。
人間の身体を乗っ取っているのに動けない。この感覚、あの時とまったく同じだ
数珠での拘束ではなく札での拘束だというのになんでだ。

「あなたの目的は果たされない」

女性が術が解けないよう念じ込みながら話しかけてくる
能力を発動させたいが身体が言うことを聞かない。

「その少女から出ていきなさい。罪深き蝶よ」
「お前のその術、似ている・・・。あの時私を殺した男の者と!」

女性は私の言葉を聞くと静かに口を開ける

「初代の頃から私たち陰陽師と貴女方には深い因縁があるのは確かなこと。その縁を絶ちきりたいのは皆同じ」

やはりそうか・・・。陰陽師も憎むべき相手だ・・・。
我々を妖だと言って仲間のほとんどを滅され村の人々を惑わし私を殺すよう仕向けたのも陰陽師だった。
どこまで私の邪魔をすれば気が済む・・・!

「お前も祖先と同じように私を殺すのか?」
「他に貴女を止められる術があるならとっくに使っています」

そういうともう一人の女性が刀を持って突進してくる。
そしてそのまま振り下ろす。
動きを封じられていた私は避けることができずにまともに傷を負った
傷みで私は少女の身体から出ようともがく
だが女性は次に心臓に刃を突き刺す

「・・・御免」

そう一言呟き刀を引き抜く。
血が溢れ出る。止まらない

まだ少女の身体では力を発揮できない。傷みで立っているのがやっとだった

「捕らえろ!奴はまだ生きているぞ!」

そんな呼び掛けるような声がうっすらと聞こえる
私の側にやってきて私を封じようと術を唱え始める。

「少々心苦しいですが未来のため、貴女をここで滅します」

そう言いながら式神をいくつも出す。私は力なく笑った

「私はまた、この世に・・・舞い戻って・・・く、るぞ・・・。必ず・・・お前、らを・・・滅ぼしてくれる!」

「滅」と唱えられた瞬間私は少女から抜け出した
少女の身体に式神が到達した頃、もう効果を発揮しなくなっていた
陰陽師の女性はそれが分かると式神を戻し、血溜まりの中倒れている少女を悲しそうに見つめていた


つづく.....
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THEME | GENRE 小説・文学 |
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