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第92話 闇ノ訪レ 
もし、闇が「願いをかなえてやる」と告げてきたらあなたはどうする?

私なら「願いなんてない」と言って追い返すかもしれない。

でも、その時によってはどうしても逃げることができない状況に陥ったりしていたら願ってしまうかもしれない。
これは、そんな状況に陥ってしまった彼女たちの話。




翌日。

学校に登校した緋漓はクラスの皆に「おはよう」と挨拶をする
次第に梔子、刹那が登校。

「おはよう。刹那、またテレビ見たの?」

そう聞かれ刹那は

「うんうん見た見た。お笑いやっててさ、超面白かった」

と無理矢理笑う刹那。
その様子に違和感を感じた緋漓だったが

その時、「・・・おはよ・・・」と弱々しい声が聞こえてきた
蜜柑が虚ろな目をしてその場に立っていた

緋漓はいつも通りに「おはよう」と言いかけたが、よく見ると顔には痣があり、服から隠れ見えてる痣が無数にあることに気づく

ふらふらしていて倒れまいと頑張ってその場に踏ん張っているようにも見える

「蜜柑!あんたその傷」
「・・・あ、せつな・・・。おはよ・・・」
「また虐められたの!?なんで連絡しなかったの」

梔子と緋漓は何も掛ける言葉が見つからない。黙ってみていることしか出来ずにいた

「ごめんね・・・?おばさんに、『誰にも言うな』って・・・言われたから・・・」
「言うこと聞かなくていいのよ!?なんで抵抗しないの!」

珍しく感情的になっている刹那に梔子は驚いていた。
緋漓は、蜜柑が酷い目に合っているとは思っていなかった。
何も知らなかった自分を情けなく感じていた

そんな時、緊急警報が流れ出す。

「・・・こんな朝、早くから?」

梔子がそう口に出す。
魔獸は夕方~夜遅くにかけて現れる確率が高いと教わっている。
こんな朝早くに警報が流れることは今までなかったのだ

「緋漓。先に梔子と行ってて。蜜柑放っておけないからさ」

刹那が蜜柑を抱き締めながらそう言う。よく見ると蜜柑は震えて泣いていた
それを悟った緋漓は「わかった」と一言放ち、梔子を連れて先に行った

「大丈夫よ。ここは安全だから、ね?」

怖がらせないようにあやしている刹那だったが、

「怖いよ・・・。本当は、怖いの・・・。もう、大事なもの失いたくないから・・・」

刹那は蜜柑が言う『大事なもの』が何なのか分かっていた。
大声で泣き出す蜜柑を刹那は必死にあやしていた








その頃の緋漓と梔子は魔獣と戦っていた。
梔子が調合した香りで相手の動きを止め、それを緋漓が鞭で仕留めるというコンビネーションを繰り出していた

いつもの戦闘スタイルで難なく魔獣を片付けた2人。
緋漓が帰ろうと梔子に告げ、学校へ戻ろうとした瞬間。

「りーちゃん・・・!」

梔子が叫び、緋漓を庇う。
新手で沸いてきた魔獣に、梔子は傷を負わされた。
首から血が出る。

緋漓は梔子を支えながら鞭を操り、魔獣を倒した。
消えたのを確認すると梔子の名を何度も叫ぶ





*
*
*


ここは総合病院。
梔子が次第に目を覚ます。
側には緋漓の他に刹那と蜜柑が心配そうに顔を覗き込んでいた。

「よかった。無事で・・・」

緋漓が安堵の表情を見せる。
梔子も無事だったことに安堵し、「よかった」と口にするが声が聞こえない。
それを見た全員驚く。本人は嘘だと自分の口に手を当てていた。

「梔子・・・声が・・・」

梔子は口を必死に動かすが、言葉にはならない。
蜜柑はまた泣き出す

「・・・いやだ。いやだよぉ・・・失いたくないよ・・・」

梔子の声が失われたのを見て怖くなってしまったのだろう。
刹那に抱きついて泣いていた


刹那は邪魔にならないよう蜜柑を連れて病室から出ていった

しばらく声が出なくなってしまった梔子と緋漓の2人きりになった


「ごめんね。私が弱いばっかりに守ることができなくて」


緋漓は大切なものを守ることができず悔しがっていた
守れなかったのは自分が巫女を継ぐ気がないからなのかと考えていた
梔子はそんな親友の彼女に対して「そんなことない」と首を横にゆっくり振る
そのあと、緋漓の手を握り締める。
何かを言いたそうに口を動かす。それに気づいた緋漓は机に置いてある紙とペンを梔子に見せる
それを見た梔子はゆっくり身を起こし、紙とペンを受け取った後ゆっくり書き出す。
それを見せる

『りーちゃんは強い子』

と書かれていた
緋漓は「強くなんてない」と言い俯く。
また梔子がペンを動かす

『無理に自分を責めないで、私の大切な人』

それを見せると緋漓は顔を上げ、梔子を見つめる
次第に涙が溢れる。梔子に抱きつき声をあげて泣いていた


時間は夕方。
梔子はしばらく入院ということで病院に残り、お見舞いにきていた3人はいつものように家へと帰る。
刹那はとぼとぼと小刻みに足を進めている蜜柑の後ろ姿を見守っていた。
緋漓に「また明日」と挨拶をし、家へ足を進める


緋漓も妹が待つ我が家へ帰る。
姉が玄関に着くと妹の雛が「おかえり」と元気一杯に声をかける
優しく「ただいま」と言った



夜。月はどこへ行ったのか。
今日は一層暗い夜。

妹を寝かせた後、なんだか落ち着かなくて中庭を眺めながら黄昏ていた
月がないから不安になるくらい暗い


梔子はああ言ってくれたけど、私は弱いんだ。いつまで経っても巫女を継げやしない。

私はどうして「朱巫家」として生まれてきたんだろうか・・・








「どうしてよ!どうして・・・」

蜜柑が喚いていた。
おばさんに問いただしている

「あたしゃ動物が嫌いなんだよ。獣臭いったらありゃしない」

自分が家事を済ませた後、いつものようにこっそり猫に餌をあげようと庭に行くと力なく倒れていた。
蜜柑はおばさんが殺したとすぐに分かった。
なんで殺したのかを聞くとくだらない理由からで蜜柑は「信じられない!」と大声をあげていた

「あたしに楯突くんじゃないよ!こんなところに猫なんて隠しやがって!」

蜜柑はまた蹴られる、殴られる。暴行はいつもより長く続いた。
「ごめんなさい」と弱々しい声で謝り続けるしかなかった



病室。とっくに消灯時間を過ぎ、部屋は真っ暗になっていた
梔子は緋漓のことを心配して眠れなかった
静かに目を閉じた瞬間、何かの変化を感じ目を見開く。

側に見知らぬ女性が立っていた。慌てて指輪を身につけようと机に手を伸ばすが、手を捕まれる

「病院ではお静かに。がお前らにとっては常識なのだろう?」

そう耳元で言われるが、手を振り払おうと捕まれていないほうの手で仕込んでいた短剣を取りだし攻撃をする
女性は短剣を後ろへ飛んでかわす。

「やれやれ。それだけ元気ならば話は早いな」

梔子は必死に口を動かす。だが声は聞こえてこない。
それを見て女性が「あぁそうか」と言いながらお互いの顔がぶつかってしまいそうなくらい接近してきた

「貴様“も”、声が出ないのか」

と梔子の目を覗き込みながら言い放つ。梔子の頬を指先でなぞる

覗き込むのをやめて笑顔を見せる

「貴様の願い、私が叶えてやろう」

つづく.....
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THEME | GENRE 小説・文学 |
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