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第93話 心ノ闇 
心の闇は誰にでもある。
それはきっと私にもあるし、世界中の誰にだってある。

そんな心の闇を晴らせる時がきたら、あなたは嬉しいと思う?それとも嫌だと思う?


晴らしたかったら晴らせばいい。




「私があなたの願い、叶えてやろう。ただし―――」






『人間やめたかったら』の話だけど」




刹那の部屋。
ここで梔子同様見知らぬ女性が立っていた

「あなた、誰なの?」
「貴様の願いはなんだ?」

刹那は警戒していたがその言葉を聞いて驚く

「叶えたい願いはあるか?」

青色の瞳が夜の中、光輝く。
刹那は俯いたまま今、もっとも叶えたい願いを口にした










蜜柑は自分の部屋に閉じ籠って布団を被っていた。
震え泣いていた。それでも誰かに助けを求めようとはしない
他人を自分の事情で巻き込みたくないと思っているからだ。

「怖いよ・・・。なんで、なんで・・・私が、こんな目に・・・っ」

目を力一杯瞑り、泣きたい声を押し殺す

『助けてほしいか?』

綺麗な女性の声が聞こえてくる。その声に目を見開く。目には涙が溢れていた

「だ、れ・・・?どこから」

言おうとした瞬間、女性の人差し指が蜜柑の唇にそっと当てる
それと同時に蜜柑の発する声はピタリと止まった

「大きな声を出すと嫌いな叔母に気づかれてしまうぞ?」
「なんで知ってるの・・・!?」

女性は後ろへ下がり、蜜柑のベッドに座る
驚いて体がすぐに動かない彼女だったが、ふと女性の足元を見ると微かに透けていた
それで生きている人間ではないと分かる

「刹那に頼まれた。お前を助けてやってほしいと」

突然クラスメイトの名前が出て慌てる蜜柑。
嘘だと思ったのか女性に聞き返すが、後に本当だということを聞かされた

「普通に助けるのもいいが何か物足りない。余興にもならない。だから」

蜜柑の顔を自分に引き寄せるように

「貴様の願い、叶えてやろう」
「・・・願い?あたしの?」

女性は蜜柑の顔を両手で優しく包み込むようにして顔を覗き込む

「そう、貴様の願い私が叶えてやる」

言いきる女性に蜜柑は期待と不安が入り雑じった表情をする
その様子に女性は

「何でも構わない。お前が今、何をしたいか・・・それを私に言えばいい。刹那は迷わず口にしたぞ。よっぽど心配だったのだろう」

願い。あたしの願い・・・?
刹那があたしのためにこの人をここへ導いたのかな・・・

願いを叶えた後は、どうするの?いつも通りの生活に戻るの・・・?それだけ?

あたしは今、何をしたいの?

『叔母から逃げたくないのか?』

おばさん・・・。
逃げたい、逃げたいよ!
こんなところ、はやく出ていきたい・・・

『本当にそれだけ?』

あたしは自由になりたいだけなんだ。他に何も望んでなんていない!

蜜柑は怖がって震え頭を抱え込んでいた
女性は構わず続ける

「叔母から逃げてお前は自由になれるだろう。だがな、それだけでは叔母がしたことを見逃したのと同じこと。永遠にお前を追ってくるだろう」

蜜柑は想像したくないのか目を閉じ縮こまってしまった
それでも泣きたい声を無理矢理押し殺している

「奴はお前から何を奪った?金、命、ましてやお前の大好きだった両親、お前の自由。数えたらキリがない。そんな私利私欲のために生きている奴を一番許せないのはお前だろう?」

「許せないよ!許せるわけない!心の救いだった猫の命まであいつは奪った!あたしから何もかもを奪っていった!お母さんもお父さんもそんなこと許せるはずない!」

『だったら、今度はお前があいつから奪えばいい』

蜜柑はその言葉に反応して縮こまっていた体を起こし顔をあげる。女性は不気味な笑みを浮かべていた。暗い夜の中、赤く光る瞳が見え隠れしている

「あいつの大事なもの。お前の手で奪えばいい。奪い返せばいい」
「でも・・・あたしには、力なんて何も」

『言ったろ?叶えてやると。お前が望めば私はそれを果たすまで』

蜜柑は自分が今まで押し殺していた感情や思っていたこと全てを思い出していた。
暗い闇が部屋全体を一層暗くする

「自分の気持ちに素直になれ、蜜柑」






!?
何この・・・妖気?魔力?
何?強い力が辺りにいくつもあちこちに。
何が起きてるの?

緋漓は立ち上がり、そのまま外へ飛び出す。
白装束を着たまま、街を走る。
走り続けていた緋漓だったが、何かを見つけて立ち止まる

人の集団が同じ方向に歩いていく。その集団はよく見ると全員女性で緋漓は混乱していた

「・・・いったいどうなってるの?」

何が起きているのか分からない中、緋漓はよく知っている人物が集団の中にいることに気づいた
それは梔子、刹那、そして血まみれになった蜜柑の姿だった

3人が同じ方向へ何かに操られているようにふらふらと歩いていく。緋漓は嫌な予感を感じていながらも集団を追いかけていく

追いかけていくうちに道はどんどん寂しくなる。
やがて“立ち入り禁止”の看板が見えてくる
その看板を無視して中へ入っていく女性の集団。
そこはもう誰も立ち入らなくなった闇霧山(あんむざん)への入り口。
なぜこんな危険な場所に集団が集まっているのか不思議に思いながら、見逃すわけにいかない緋漓は危険を承知で足を踏み入れる

集団は立ち止まることなく奥へ奥へ進んでいく。
やがて、最深部と思わしき広い空間に出た。
そこには女性たちが倒れていたり、座っていたり。
あるものは誰かにすがりついている。
その中に梔子、刹那、蜜柑の姿があった。
よく見ると綺麗な女性が3人を優しく包み込んでいた
女性はこちらに気づくと驚いた顔をして

「こんなところまで来るとは。物好きな貴族様だ」

自分のことを貴族だと知っているその女性は梔子の頭を優しく撫でていた
梔子がゆっくり目を開ける。
緋漓に気づいてこちらへやってくる。

「梔子、よかった無事で」

無事だということを喜んだ緋漓だったが梔子は顔色1つ変えずに緋漓にもたれ掛かる

『・・・・りーちゃん、好き・・・』

・・・え?
今、梔子の声が聞こえた・・・?
でもこの子声出なくなったんじゃないの?
なんで聞こえたの?

「それはお前だから聞こえるんだ」

女性が私の心を読んだような、全てを知っているかのような口振り。

「梔子に何をした!それに他の人も!」

女性は蜜柑と刹那の頭をなで始める

「刹那が蜜柑を助けたいと願い、蜜柑は意地悪な叔母に復讐したいと願っていた。梔子はお前のことが心配でたまらなかった。多少『声を取り戻したい』などと言った欲望もあったが」

そう言いながら女性は立ち上がり、緋漓の側まで行く
梔子は変わらず緋漓にもたれている。

「お前はどうなんだ?まだ巫女を継ぎたくないと言っているのだろう?」

図星をつかれ緋漓は驚き震えていた。彼女の目には綺麗な美しい女性が映っている。
不気味な笑みを浮かべながら

「私がその願い、叶えてやろう。今すぐに」


つづく.....
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THEME | GENRE 小説・文学 |
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