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第104話 汚レタ水 
みなさん、こんばんにゃ

104話更新しますっ

今回は前回の続きからです。
そして後半は、“聖なる泉”についてのお話。




あの後、アビスとエコーは姫に案内され今は客室に行くため回廊を歩いている最中

「・・・そういえば、アビス。その腕の傷はどうした?」

突然姫にそのことを聞かれ、2人は驚く

「・・・いつから気づいてた・・・?」
「・・・アビスを見た時から」
「さすがだな・・・」

一瞬見ただけで見抜いていたせいもあってその傷が何なのか気になっていた様子。
第一、アビスを苦しめさせる程の傷を負わせる人物がいること自体が信じられない。

客室に着いた途端、アビスの腕を治療し始める姫。
改めて傷全体を見て感心していた

「よくこんなのに耐えたわね」
「こんなので倒れたらシュヴァルツなんてできやしねぇ・・・」

一通り治療を終え、アビスは自分の腕が正常に動くか確認する。
傷は何事もなかったかのように綺麗になっており腕にも異常は見られなかった

「すまねぇ、助かる」

礼を済ませ、椅子に座り話をする

姫とは1万年ぶりの再会であるため、会えたことにホッとしているアビスとエコー。
しばらく話をしていてあることに気づいたのか蝶姫に問いかける

「ロアとセトは?」
「まだ帰ってきていない。しばらくしたら戻ってくるでしょう」

他の2人とも1万年間、一度もすれ違うこともなく過ごしていたので自分達より先に帰ってきていないのか気になったのだ

他にも燐姫のことを気にしていて珍しく蝶姫一人だけなのが不思議な様子
そう思っていると燐姫が「お姉様ー」と言いながらこっちへやってくる
姉に抱きつき、甘える妹を見てエコーもアビスも微笑んでいた

「相変わらずだな、りんは」
「お帰り、2人とも」

すっかり場が和んでいる中、蝶姫は先ほどの傷について問う

「あの傷は誰から負わされた・・・?」

何の話か一瞬で理解したアビスは包み隠さず答える

「・・・人間の女性にやられた。何だったのかは分からねぇが、あれは只者じゃない」

そう聞いて姫は「そう・・・」と一言放ち、一瞬微かに笑った

その時、客室の扉が開いたので全員が扉の先を見る
それを見た瞬間、燐は警戒しエコーは怯えアビスは驚きを隠せなかった。

その扉の先にいたのはルーミアだったからだ。
アビスはこの城に男性がいることに酷く驚いていた

「な、なななんで人間の男性がここにいるんだよ!」

大声でルーミアを指差しながら蝶姫に説明を求めている

一方のルーミアはただ単に部屋を間違えただけであり、慌てて引き返そうとするが一瞬にして身体中に糸が絡まっていた

「違うんだ!自分の部屋がどこなのか分かんなくなって・・・!」

誤解を解こうと必死に訴えているが、絡まった糸に引っ張られ前へ倒れた
その様子を蝶と燐は無表情で見ているだけだった
その近くでエコーが怯え泣いている
エコーが泣いているのに気づいてアビスが大声を上げる

「エコーを泣かしやがったなコノヤロッ!」

そう言い出すと倒れて身動きがとれないルーミアに追い打ちをかけるかのように、床に拳を叩きつけた。
ルーミアは瞬時に避けたらしく、アビスの拳は顔のすぐ横にあった

「サクヤ」

蝶姫がやっと口にした言葉はメイドの名前。
呼ばれるやいなやサクヤはすぐに姿を現した

「・・・いかがなされました?」
「ちょっとルーミアを追い出しておいて頂戴。私と燐は少し出掛けてくるわ」

用件だけ言うと姫は立ち上がり燐に一緒に行こうと促した後、アビスにルーミアから手を引くよう命じる
アビスは不可解な表情を見せたが命令なら仕方ないと静かに手を引きエコーに寄り添いに行った

サクヤに「後はよろしくね」と言うと姫2人は部屋を出ていった

サクヤは空間操作で未だに身動きできないルーミアを城の外へ追い出した

「それでは部屋にご案内致します」

アビス、エコーは何も言わずにサクヤの後についていった





その頃、本部では

陽刻楼から戻ったシェスリナ、テレリ、ルインティアの怪我をの手当をしている真っ最中。
その中で事の一部始終を目撃したシェスリナは学園長に説明していた

女性2人が扉の封印を解いた後、向こう側へ消えていったこと。一瞬のうちに自分だけを残して倒されてしまったこと。

そしてテレリの情報から彼女たちは“人”ではないことがわかった

「それであいつ、最後は片腕押さえながら消えていったのよね・・・。私、何したのか何にも分かんなくて」

あの時、私止めるのに必死すぎて何したのかもほとんど記憶にない・・・。私あいつに傷負わせられたのかしら・・・?

「とにかく無事でよかったわ。今日はもう休んだほうがいいかもしれないわね」

笑顔でそう言ってくれる学園長。でも私は一秒たりとも休んでられない・・・!
私が能力を開花させなきゃ何も始まらないのに!

その時、またもや緊急警報が鳴り始める。

「闇霧山付近を調査していた職員全員と連絡が取れません!」

その情報だけを聞いて学園長は慌て出す

「どういうことですか、何があったのです」
「分かりません、気づいた時にはもう・・・」





出掛けていった姫2人はある場所に来ていた。
目的地に着いた時、蝶姫は微かに微笑みを浮かべていた。
その様子を見て顔を横から覗き込むようにして「ここ?」と聞いた
それに怪しい笑みを浮かべたまま答える

「ここはかつて人間が“聖なる泉”と呼んでいたものが眠る場所」
500年前、四神が大地から離れた影響で大きな災害が起きた。
それは一瞬にして拡大した

当時、この“聖なる泉”と呼ばれていた泉は汚れてしまったジェムを洗い流す力をもっていた。
唯一の浄化場所だったもの。

だが、災害と神が不在になってしまったことでこの泉はジェムを汚してしまう水と化した。
人を狂わせるようになったこの水を、人気が少ない場所へと移し二度と使うことがないよう封じ込めた
この闇霧山の奥深くなら人間はまず立ち入ることはない。


「・・・水が黒い・・・」

燐がしゃがみ込み水を見てそう呟く。

あれから500年という月日が経ったいま、水はすっかり汚れ黒くなっている。
もう浄化能力は残っていない。

燐に待っているように言って、私は泉へ足を踏み入れる
ゆっくり一歩ずつ。
水深は深く、歩く度に体は水の中へ沈んでいく

一番深い場所。そこに水源はある。
しかし元々ここにあったものではなく、二度と湧き出ることがないよう封印が施されている。
かなり強い力で封印されているようで、大抵の妖怪では解くことは不可能に近い
そもそもこの水を好き好んで手に入れようとする妖怪なぞ、私以外にないだろう

―――好都合だ。
この水、私が有効活用させてもらおう

つづく.....
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