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第128話 紅イ睛 
今後の展開を考えるうえで、もう一度じっくりプロローグからここまで読み返した結果。
ひとつかふたつか展開を付け加えることにしました。
まだまだ回収できてない伏線多いっちゃ多いんですが・・・。その伏線を少しでも回収したいと思います。

いやー、しかし。なんか書いていくうちに最初に設定していたことがなかったことになったりして途中から展開とか変わりすぎてる気がしますわ;
小説ムズカシイ。






黒い女性が突如ここに現れた。
それを見たシェスリナは目を見開き、ある光景が目に浮かんでいた。

あの時、夕焼けに染まる公園で出会った真っ黒な女性。
その人物が今、目の前にいることが信じられなかった

「・・・・なんで・・・・?なんであなたがここに・・・・?」


蝶姫は黒い女性を見て、戸惑っていた。また身に覚えのない記憶が頭の中に流れ込んでくるからだ。
燐姫は警戒し、刀を抜く。

「・・・・お前、何者?」

燐姫の目がギラつく。
その質問に黒い女性は上を見上げて2人の姉妹姫を見つめた

「何者・・・・とな・・・?燐姫よ、もう妾の姿も忘れてしまったか?」

その発言に燐姫は一層顔が険しくなる。

「女狐ぇ゛ええ゛えええ!!!!」

燐は刀を横に薙ぎ払い黒い炎を女性に放つ。
だが、女性は片手を伸ばしてガードする。燐が放った禍々しい黒い炎は女性には届かなかった

「くそ・・・!!」
「言ったであろう。妾を倒すことはできないと」


そういうと今度は後ろに振り返り、シェスリナを見る。
シェスリナはまだ驚きを隠せず、ずっと棒立ち状態だった

「・・・・あの時以来じゃな?シェスリナ。無事戻ってきて何よりじゃ」
「・・・・え?」
「まだまだ聞きたいことはあるじゃろうが、ここは危険な城。一時撤退するとしようかの」

そういうとシェスリナ、テレリ、血を流したまま気絶しているルインティア、クルセィ、バラージュ。そして黒百合の3人をまとめて白い透き通ったローブらしきもので取り囲むと彼女たちは一瞬のうちにその場から消えた。

そして黒い女性は蝶姫と燐姫にもう一度体を向ける。
まだ、蝶姫は戸惑っていた。先ほどまでの怒りに満ちた顔はもうどこにもなかった

「・・・・また来るぞ。今度はお主たちと戦うことになるやもしれぬがな」

その言葉に燐姫は女性の影目がけて杭を投げ飛ばす。だが、杭が床に突き刺さる寸前で女性の姿もその場から消えた。
舌打ちをする燐姫。
そして様子がおかしい姉に語り掛ける

「お姉様、しっかりして。お姉様!!」

その間も蝶姫の目には“誰かの”記憶が映っていた



一向に空が晴れない現実世界。
そろそろ結界が1時間を経過しようとしている。
学園長と秘書は心配して結界の中に入ろうとするが、そのとき別のところから新たな結界が現れ困惑する2人。
何かがくると身構えていた2人の前に現れたのは、黒い女性が突如現れた

黒い女性の手には白い布が握られており、その中に多数の人影があった。
その布の中には怪我をしている結界の中へ入り込んだ6人とさらわれていたシェスリナ、そして行方不明になっていた緋漓、蜜柑、梔子、刹那の4人の姿があった
無事に地上に降り立つと、黒い女性は2人に対し口を開けた

「まずはこやつらを手当てしてやってはくれぬか。特に男(おのこ)共は危険な状態じゃ」

学園長はそれを聞くと急いで神楽に中にいる職員を呼ぶように言いつける。
次々と怪我人を中へ運んでいく職員たち。

ドタバタとしている中、シェスリナはまだ困惑していた。
何が起こったのかも分からないまま、ただただ黒い女性を見つめていた。



*



「お姉様、しっかりして・・・!」

妹は人間たちが消えたあとも様子がおかしい姉を腕に抱いて必死に呼びかける。
それでも、姉は一向にいつものように戻らない。

妹は怖かった。また自分の存在を忘れてしまうんじゃないかと。
そんなことにはさせないと妹は様子がおかしい姉に、燐は自分の舌を噛んでほぼ無理やり血を飲ませる。

血を飲ませると少し落ち着いたのか妹の名前を呼ぶ。

「お姉様、私はずっと一緒にいるから。大丈夫、お姉様の嫌なモノ邪魔する者全部私が潰してあげるから」

そう言って、妹は姉を強く抱きしめた。
そうしているうちに姉は眠くなったのか、また眠ってしまった。

「強引ですね。妹様らしくありませんわ」

二人がいる後ろに、サフィラがいた。
サフィラの言葉を聞いても燐は返事をしない。
ずっと姉を抱きかかえているまま。

「・・・悔しいわ。人間達には逃げられるし、女狐に邪魔されて・・・!」

燐は歯をギリギリと食いしばる。
今にもこの城を壊してしまう勢いの悔しさと憎しみに満ちた表情をしていた。
だが、何かを思いついたのか表情は次第に不敵な笑みへと変わっていく。

「サフィラ」
「はい、なんでしょう」
「私、イイこと思いついちゃったわ。手伝ってくれる?」

燐は振り向き、サフィラを見つめる。
その瞳はもとの紅い瞳をさらに紅く輝かせる。
それを見てサフィラはにっこりと笑った。

つづく......

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第127話 光ト闇 
おはこんにちばんにゃ。
書けたので更新しますよ~

やっとシェスリナと“影”とのやりとり終わったよ・・・
何年かかったんだまったく・・・・

しかしもうすぐ130話いきそうですなこりゃw
150話くらいで終われるといいなぁー

・・・・・終われるよね?(汗





『見てはだめ』

ふと、優しい声がそう言った。それにびっくりして声がしたほうを向く。
目の前には大好きだった母の姿があった
シェスリナは驚いていた

『シェスリナ、お母さん信じてるから』

シェスリナの目にはまるで死んだ母親が折れかけている心の中に舞い降りてきたように感じた。
優しい声、優しい瞳。そしてなにより、いつも誰に対しても優しかった母。
決して悪いことをしたとしても怒らなかった。そして未来を予言してみせる母の姿を見て、シェスリナはそれが憧れだった。それと同時に、大切な人だった。
そんな彼女がわざわざこんな崩れかけている世界にまで来てくれた。

シェスリナは「一体何してるんだ私は」と思った。

そして立ち上がる。前を見据える。
そこにはもう母の姿はなかった。自分と同じ姿の“影”がいるだけ


「・・・・見るな。お前は目の前の私だけを倒すことを考えろ」

その目は真剣だった。

「ここから出て、元の生活に戻りたいのなら私を倒していけ。それだけの話だ」

その言葉に勇気をもらったのかシェスリナはいつも通りに戻っていった

「・・・・ここで倒れちゃったら私を庇って死んじゃったママに申し訳ないわ。それに」

瞳の奥に光が渦巻いている。
その目はさっきまでのシェスリナではない。覚悟を決めた目だった

「・・・・戻りたいわよ・・・・。みんなと笑って過ごしたいわよ・・・・。だから、私はここから出てやる!」


“影”はそれを聞いて笑った。

「いい目だ。さっきまでとは大違いだな。・・・・・かかってこい、シェスリナ!」
「ええ、いってやるわよ・・・・あんたを倒してここを出てやるっ!!」

シェスリナは声を上げながら、シリンダーを装着している右手を相手に向けながら“影”へ一直線に走っていく
そして、シリンダーが光だし“影”目がけてそれを発射させる。

“影”は、それが目の前にくる直前に


静かに目を閉じた










黄金にも似た金色の光が爆発を起こし精神世界全体を照らしていくかのように広がっていく
そのすべてが金色の世界の中で“影”は優しい顔をしていた

【・・・・やっと、認めたんだな。俺のこと・・・・】
「きっと、私はあなたをずっと心のどこかで感じていたはずなのにそれから逃げてた。『光があるから闇がある』。おかしいわよね・・・、どれだけ逃げてもあなたからは逃げることなんてできないのに」
【俺だって、光からは逃げられない。結局、お互い様なのさ】

その言葉を聞いてシェスリナは笑った。ここにきて、はじめて笑ったのだ

【俺は“お前の心の中にある闇の一部”。誰にでも闇は宿ってる。それに樹里はずっと気づいてほしかっただけだ。光だけが・・・・すべてではないってことに】
「・・・・ママが・・・・。そんなことを・・・・」

その時、シェスリナはやっとわかったのだ。
母親があの時いった言葉の意味を。

―――迷わないで。その瞬間が来ても

『迷うな』とは、この時のことを言ってたということに。
そしてシェスリナは決心した。もう、自分の闇を拒絶しないと

【これからは、お前の力となってやる。必要な時はいつでも呼べ】
【俺を受け入れてくれて、ありがとう】

そう言うと、シェスリナそっくりの姿から不定形な黒い炎のような姿になり、シェスリナの身体に吸い込まれていくように消えていった

そして、精神世界に色が戻っていく。全てが色づいて、緑が生い茂る。綺麗な世界へと、本来ある姿へ戻っていく
そしてシェスリナは安堵しながら目を閉じた。“闇”を包み込むように、両手で優しく抱いた




****


テレリの頭に向かって黒い短剣が突き刺さろうとした瞬間。

シェスリナの動きが止まった。

「・・・・シェスリナ・・・さん・・・・?」

テレリは急に動きが止まった彼女を見て戸惑っていた。
突き刺そうとしたその腕はテレリの目の前でピタッと止まったまま。次第に、身体全体が震えだし一歩後ろにさがった
後ずさったと思うと黒い短剣を床に落とし、苦しそうな声をあげながら頭を抱えだす

「なにをしている。シェスリナ、さっさとその吸血鬼を殺せ!」

テレリは声がしたほうへ振りかえる。そこに姫2人が立っていた。
その瞬間、テレリは理解した。今まで人形のような目をしていた理由は姫に操られていたからだと。

姫の声に反応してシェスリナは苦しみながら、また手から闇を集めて黒い短剣を創り出す。
そしておぼつかない足取りでテレリまで近づき、短剣を高く掲げそのまま振り下ろす
その瞬間、テレリは目を瞑った

血が飛び散る。
それを見て、姫はニヤリと笑う


テレリは静かに目を開ける。そして驚く。
その短剣はシェスリナの左手に突き刺さっていたからである。

「・・・・シェスリナさん・・・・」

姫に見えないように左手に剣を突き刺しているシェスリナは息が荒かったが

「・・・・なぁに?てーれりん」

その言葉の意味をテレリはいち早く理解した

「シェスリナさん・・・・!!」

テレリの目には涙が流れていた。
シェスリナの目には光が戻っていた

「遅くなっちゃってごめんね」


次の瞬間、姫の頭から血が流れた。

「お姉様!!」
「・・・・・なぜだ・・・・・・・・シェスリナァァア゛・・・・!!」


シェスリナは姫のほうを見ながら

「わたしの力が欲しかったんでしょうけど、そうはいかないわよ?あんたの思い通りにはさせない、絶対に」

姫は頭を押さえながらシェスリナを睨みつけている
お互いに、見つめ合っていたが突然、土埃からさっきの黒百合幹部達がテレリ目がけて襲い掛かってきた


「ふざけんじゃないわよ!死ねぇええええええ!!」

刹那のその言葉と共に蜜柑と梔子もテレリへと襲い掛かる
テレリは驚きつつも構えたが、その前にシェスリナが庇うように立った

「てれりんは下がってなさい」

そして3人はそのまま襲い掛かっていった

シェスリナは右手から、光の輪を創り出すとそれを宙にいる3人に3方向へ光の線を放つ。
それは、次第に曲がっていき3人の身体を一度に拘束する。
拘束された3人は抵抗するが、そのとき、彼女たちに身につけられていたジェムから黒い霧が外へと出ていく。
それと同時に3人はもがき苦しむ

「私にこの能力の本当の使い方、そしてこの“力”を与えてくれたのは姫。あんたでしょ?」

3人は苦しみながら身動き一つできずに、拘束されたまま静かに地面へ落ちていく

「私にこの“力”を与えたのは間違いだったんじゃな~い?」
「・・・・おのれ・・・・・っ!」


姫は頭を押さえていない手を伸ばし、シェスリナへ攻撃しようと手を差し出す。
と、そのとき


姫の手から放たれた闇の魔法は橙色の結界によって憚れた


「・・・・・え?なに?」
「・・・・あなたは・・・・!」

そこには、いつのまにか黒い女性がシェスリナと姫の間に割って入るように立っていた

「・・・・貴様・・・・」


「やれやれ、お主はいつからそんなに怒りっぽくなったんじゃ?」


「蝶姫」


つづく.....

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第126話 影ノ灯火 
ようやくシェスリナと“影”の対決にも決着がつきそうです。


そして今になって“影”の名前を考えるというありさま\(^o^)/
考えてなかったのバレバレや~






「・・・・ああ゛ああ゛ああ゛あ゛ああ、、ああっあ゛!!!」

シェスリナの冷たい目は男3人を貫く。
クルセィの身体はもうボロボロだった。身体中血まみれで生きているのが不思議なほどである

「・・・・り・・・な・・・・さ、」

ルインティアが必死に呼びかけるがその声は空しくルインティアにも刃が突きつけられる。

吸血鬼はボロボロになっていく仲間たちを見ながら静かに涙を流しているだけ。
誰もシェスリナを止めることができない状況だった


そこに、蝶姫と燐姫が2階から、この状況を見て、笑っていた
とても愉快そうな声で

「フフフ・・・・あははははっ!!」

蝶姫は狂いながら笑っていた。その声は部屋中に響く


***

「嫌・・・、嫌ぁ゛っ!!」

シェスリナは必死に耳を塞ぎその場に蹲って動こうとしない。
すべてを拒絶していた。

もう精神世界には黒い霧が充満していて、色のない世界はみるみる黒い世界へと変わり果てていく
“影”も自分に浸食してくる闇を必死に抑えながらシェスリナに声をかけ続けているが、シェスリナは蹲ったまま動かない。


・・・・くそ・・・。姫の野郎・・・・
俺を取り込もうとしてやがる。このままじゃ、シェスリナが完全に狂ってしまう・・・

樹里・・・、あいつとの約束を俺は何としてでも果たさないといけないんだ。
こんなことで飲み込まれてたまるか・・・・!!



「・・・わた、わたし・・・が・・・みん、なを・・・」

シェスリナは目を見開きながら呟くだけ。
本人は目を瞑っているつもりだが、その目は見開いたまま凍り付いた目をしていた

***

ルインティアの苦痛の声が響く。
シェスリナは凍り付いた目をしながら、ルインティアの両手に刃を掛けていた。
それでも、ルインティアは必死に部長の名前を呼ぶ。

「・・・・り・・・・な、さ・・・・・」

また剣をルインティアの身体に突き立てようとしたとき、テレリが立ち上がる。シェスリナの名を呼びながら、まだ傷が癒えていない体をひきずって・・・

「リナ・・・さん・・・、目を・・・目を覚ましてください・・・・」

その声を聞いて、テレリのほうをじっと見る
その目は「邪魔をするな」と言っているようだ

「私は・・・そんな貴方なんて・・・見たくないです・・・・」

こちらに少しずつ近づいてくるテレリに対して立ち上がり、身体を向ける
そのとき、シェスリナの頭の中に姫の声が響く

『目障りだ。排除しろ』
「・・・・はい」

虚ろな声で返事をしたかと思うと瞬時にテレリの背中に移動し、回し蹴りをくらわした。
その蹴りを受け、テレリの傷口はまた広がってしまい苦痛の声をあげながら吹っ飛ばされてしまった

吹っ飛ばしたテレリに近づいていく。

「・・・・邪魔者・・・・排除・・・・・」

テレリは必死に立ち上がる。刺された傷口からは血が出ていた。
もうテレリは立っているのもやっとだった。それでもこんな人形のようなシェスリナの姿を見たくはない。
その気持ちでテレリは最後の力を振り絞ってでも、立ち向かおうとしている

「・・・・排除・・・・!!」

シェスリナはゆっくり歩いていたかと思うと急速に速度を上げ、テレリに近づいていく。
テレリはどうすることもできずに傷口を押さえながら立つことしかできないでいた。

そして、黒い短剣がテレリの頭目がけて突き刺さろうとする


****

『排除しろ』

姫の言葉が精神世界に響いてくる。
シェスリナはまだ耳を押さえながら「嫌ぁ・・・!」と苦しんでいた。

もうやめて・・・・。見たくない。こんなの・・・・見たくない・・・・
てれりんを・・・ルインくんを、くるぽんを、はぐみんを・・・・殺したくなんて・・・・

嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
見たくない見たくない見たくない見たくない


そんなシェスリナを頭を押さえながら見ていることしかできないでいた“影”
シェスリナの心が折れかけている・・・。このままじゃ・・・・


そしてしばらく考えた“影”は最後の手段に出る


『見てはだめ』



つづく.....

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第125話 緋ノ鳥 
書き留めていたものをそのまま投稿しようと思ったけど、なんか展開に納得できなかったので少し付け加えたり修正したりしてました。
ほんとならすぐに更新するつもりだったんだけどね。。

やっぱり自分に嘘はつけないってことなのね(´・ω・`)

今回はタイトルの通り、朱巫姉妹の対決がメインです。


さあ、ここまで来たらもうすぐラストスパートってところかな
まあまだまだ時間かかるんだけども;






赤い槍と黒い槍が衝突する音。それは広い空間に十分響き渡る。
雛は必死に両手で構えながら、姉に攻撃を繰り出すがそれを片手で構えている姉にあしらわれている
近接だけで勝てないと分かった雛は、懐から呪いが書かれている呪符を取り出し投げつける。
それは姉の顔面近くまで来ると爆発し、次々に爆発連鎖を起こす。

雛は爆発に巻き込まれないように、少し下がって様子を窺う。
まだ爆発後の煙が消えかけていくとき、突如鎖状に変形した鞭のようなものが飛んできて雛の体を拘束する
強い力で締め付けられ動けない

「雛!!」

壁に貼り付けにされている隴渡の叫ぶ声がする。
力いっぱい床に叩きつけられ、雛の体は横たえる
その間に、姉はゆっくり歩いてくる。ゆっくり・・・・ゆっくり・・・・

コツ・・・・、コツ・・・・と一歩ずつ近づいてくるたびにヒールの音が響く。
そしてそれは目の前までくると止まった

「・・・姫様は私に救いの手を差し伸べてくれた。すべて吐き出して楽になればいいと・・・」

穏やかな安心しきった声で姉が言う。
その声に妹は違和感を感じていた

「私は弱い。巫女を引き継ぎたくない。親友を守れない自分が嫌い。蜜柑や刹那の気持ちが分からなかった自分が嫌い」

妹は必死に拘束から逃れようともがく。
もがこうとした途端、鞭から刃が出て雛の体が血まみれになる

「姫様は力をくれた。この力さえあれば、私は自由になれる。自由に・・・・巫女を継がなくて済む・・・!!」

そう言った姉の目は輝き一つない。誰かに操られているような感覚だった
血まみれになった雛の体全体に念力をかけ更に身体の自由を奪う。
そして前に差し出されたその手がゆっくりと指が折れていく
そのたびに体に激痛が走る

「雛!!もうやめてくれっ!!!」
「・・・・ウルサイ」

姉は叫び続ける隴渡にまで手を出し始める。
それを見て妹は、今までにないくらいの怒り
「ああ゛ああ゛ッあ゛あ」と声を枯らしながら姉の拘束を無理やり解こうと力を込める。
炎を纏い、部屋が徐々に暑くなる

それに姉は戸惑い、念力を発動させていた手を引っ込め腕で防御の態勢を取る
姉はすぐさま、槍を振りかざして風を巻き起こし炎を消す。


ボロボロの体なのに雛はまったく痛みを感じてないのか。平然とその場に立っていた
しばらく姉妹は向き合ったまま見つめ合う

「・・・・姉さんは間違ってる」

雛の言葉を聞いた瞬間、その目はギラつく。

「何ですって?」
「誰だって、弱い部分は持ってる。あたしだって持ってるんだ。姉さんみたいに、投げ出したいときだってもちろんあるよ。でもな・・・・」

雛は悲しそうな顔をしながら、強く拳を握りしめる。

「だからって、逃げていいことなんて何もない!どうして・・・相談してくれなかったんだよっ!!姉さんが辛い思いしてること知ってたのに!!」

その言葉に緋漓は目を見開く。
隠していたつもりだった。辛いけど、妹にいうことでもない。だからと言って親に相談もできない。したところで「何を言ってるんだ」と言われるだけ。友達に相談しても迷惑をかけるだけ・・・・

そう思っていたのに。

「・・・・・雛・・・・」

ドクン

その時、緋漓の身体は小刻みに震え始める。胸が苦しくなり、唸りはじめる。
そして視界は暗くなって、目から光が消えていく。
その異変に雛はすぐに気づいた。

「姉さん!!」

何も言わない実の姉は、雛に攻撃をする。
槍を自由自在に変形し、雛を取り囲むように伸びていく。
取り囲み終わった瞬間、槍から刃を出し妹を閉じ込める。

隴渡は思わず雛の名を呼ぶ。
まるで人形のような緋漓は「終わり」と一言呟く

しかし、先ほどと同様に雛は炎を纏い姉からの拘束から脱する。
だが、その炎は先ほどのような激しいものではなく、静かな炎だった。

突然の出来事に姉は仰け反る。
その時、姉の右目にある蝶の紋章が光っているのを確認する。
それを見て、妹は確信した

「・・・・なるほど。あの姫が姉さんを操ってるのか」

そう呟くと呪符を姉へ投げつけ魔法陣を描く。
それは一瞬で完了し、姉を取り囲むようにして描かれ発動する
電撃がほとばしり、姉が声を上げる

「・・・がっ・・・・あ゛あ゛ぁああああああああ゛ああ!!」
「消えろ!滅っ!!」

そう唱えると姉の右目の文様をピンポイントに狙い撃ち、それを魔力で引きはがす

それは見事に消滅した。
消滅した途端、姉は静かに倒れた
隴渡の拘束も解かれ、こちらに走ってくる

「・・・雛。大丈夫か?」
「うん。心配かけたね」

隴渡が駆け寄ってくる。妹は姉を抱きかかえ俯く

「・・・馬鹿野郎・・・。少しでも頼ってよ・・・」

そういいながら泣いていた。
隴渡はそれを見守っている。しばらく沈黙が続いていたが

「「・・・・ああ゛ああ゛ああ゛あ゛ああ!!!」」

と、遠くから悲痛の叫びが聞こえてきて顔を上げる

「・・・・!あいつらは!?」



****

「・・・・いっ・・・ッ・・・」

頭を押さえる蝶姫に、燐姫は心配し呼びかける

「・・・大丈夫よ、さすがに干渉するのには無理があったか」

押さえながら顔を上げた姫の目からは赤い涙が流れていた

「・・・・!お姉様、血がっ」
「大丈夫。無理矢理精神干渉した代償よ」

妹はそれを聞いて姉の正面に移動すると流れている赤い血をペロっと舐める

「・・・大丈夫なのに」
「私が嫌」

優しく微笑みかける姉。それを見て燐は顔が赤くなる。
そして姫は立ち上がる。

「・・・・どこ行くの?」
「あいつらの死に様を見に・・・・ね」

それを聞いて燐は狂気に満ちた笑みをこぼす

つづく....

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第124話 冷タイ瞳 
新年早々鬱展開で始まります(白目)
書き溜めていたやつとずーっと睨めっこしていました。なぜって?内容として問題ないかとか、矛盾ないかとかの粗探しですです
問題ないと判断したんで更新します。


さあ、物語もクライマックスに近づいてきました~
最後はどうなるのやら。。。
そして私は無事にこの物語を最後まで描き終えることができるのだろうか。。。






精神世界では、まだシェスリナと“影”の戦いは続いていた

その間も空に空いた亀裂は必死に塞ごうとしていたが、ついにそれが綻び始める。
姫の闇は遂にシェスリナの心の仲間で侵入してきたのだった

シェスリナも“影”もお互いにボロボロ。
だが、一向に決着はつかなかった
シェスリナはまだ『一度も』“影”に対して攻撃をしていない。
だが、“影”はふらついていた。恐らく、姫の闇に限界まで耐えながらシェスリナと向き合おうとしているからであろう


・・・・まずい・・・・。ここまで闇に飲まれてしまったら、シェスリナが・・・・樹里の願いが・・・・

雪崩れ込んでくる黒い霧は、予想以上に量が多く早くしないとシェスリナの心まで支配されてしまいかねなかった
地面いっぱいに広がる水に、外の光景が映し出される

テレリが、剣に突き刺されて倒れる光景がシェスリナの目に映ってしまう

「・・・・て、・・・・れりん・・・・?う、うそよ・・・。私が・・・・殺すわけ・・・・」

シェスリナの声は震えていた。そして頭を抱えだす
それと同時にこの精神世界が崩壊しかけていく。

「見るな、シェスリナ!お前まで壊れてしまったら、この世界は本当に終わってしまうっ!!」

ドクン

その時“影”の身にも異変が起こる。
姫の闇のせいか、頭がクラクラするのだ。全身が自由に動かせなくなり、視界はどんどん黒くなっていく
黒くなっていく視界に戸惑いながら、“影”は右目を手で抑え込む

・・・・くそっ!蝶め・・・・、俺まで支配する気か・・・・!



***

クルセィは、意を決してシリンダーに水を装填。それを噴射させる。
シェスリナはそれを片手で払った。その隙に全身を雷で纏い、突進していく。
クルセィが纏った雷を受け、怯むシェスリナ。
ルインティアはアイススピアを5本連続で放った後、巨大な氷の塊を作り出す
バラージュは、雷で怯んでいるシェスリナに対して突進し殺さない程度に拳を何度も浴びせ足止めする。
そして、巨大な氷の塊がシェスリナを襲う

辺りに、強い冷気が漂う。
クルセィもシリンダーで氷を装填し、それを噴射させたため今のシェスリナの体は凍って一定時間動けないはずだ

「・・・・はぐさん、強くしてませんよね?」
「うん。さすがにリーダーを思いっきり殴ることはできないよ・・・・」
「とりあえず、これで時間稼ぎにはなるだろ。はやくテレリさんを手当てしてあげないと」

3人は倒れているテレリの元へ行こうと足を進めるが、次の瞬間後ろから氷が割れる音がし崩れた

「・・・・え?」



***

実の姉に導かれるままに広い空間へと移動した雛と隴渡。
姉の言った通り、先ほど戦っていた部屋よりも何倍もの広さがあった

部屋の中に全員が入り終わった瞬間、後ろの扉はバタンッと音を立てて閉まった。
それに驚いて振り向いた2人。
驚いた次の瞬間、隴渡が一瞬で右側に弾け飛び壁に貼り付けにされてしまった

「隴渡!!」

慌てて名前を呼ぶ。
隴都は「大丈夫だ」と言いながら、拘束から逃れようとするがあまりに強い力で体の自由を奪っているため身動きひとつできない。

「・・・・姉さん!隴渡に何をした!!」

妹は、罠だと思った。
言われるがままについていかなければよかった。と思っていた
姉はまだ後ろを向いたまま。

妹の必死の問いかけに姉はゆっくり妹へ体を向ける

「・・・・私と雛の勝負に、水を差されたくないの。邪魔だからどいてもらったわ」

その言葉にさらに腹が立った雛。ギリギリと歯を食いしばる。

「嘘つき!!目だって、その力だって!全部姉さんのもんじゃないっ!あの姫に何吹き込まれたんだよ馬鹿姉ッ!!!」

叫ぶように怒鳴る妹の声に少し怯む。
そして、しずかに右目に手をあてて優しく撫でている。
しばらく撫でていたが、妹を見下ろすように見つめ改めて向き合う

「私は黒百合隊幹部の一人、朱巫緋漓。姫様の命令により貴様ら人間を排除する」

姉が放った言葉に、妹は目を見開く。
もう姉の目に、光などなかった。

妹の目には涙が溢れる。そして、意を決したのか変わり果てた姉を睨め付ける。

「・・・・目ぇ覚まさせてやるよ・・・・ッ、姉さんッ!!」

槍を構え、姉に向かっていく。



***
ルインティアとほかの二人は嫌な予感がし、恐る恐る後ろを振り向く。
そこには、無傷なままのシェスリナが立っていた。

「・・・・は・・・・ははは・・・・。リナさん、そんなに・・・・丈夫な方でしたっけ・・・・?」

3人は、冷や汗を掻いていた。そして、シェスリナの空虚な目に凄まじい悪寒を感じる。まるで蛇に睨まれたように動けない
身体が震えていた。あんなに痛めつけた。あんなに凍らせた。
悲鳴の一つや二つ、傷の一つや二つ、普通の人間ならあったはずだ。
なのに。

「・・・・傷ひとつ・・・・ない・・・・」


シェスリナから黒い波動が溢れ、3人は吹き飛ばされた
そして目に見えないスピードでルインティアに近づき、吹き飛ばれている最中の体を蹴り上げる。
そしてそのまま今度は下へ叩きつけられる

「・・・・がぁッ・・・・!!」

苦痛の声を上げながら、ルインティアは土埃に塗れてしまった

次はクルセィに近づき、彼が装備していたシリンダーを黒い刀で破壊。そしてそのまま彼の体を斬りつける。
大量の血を流し、クルセィは吹き飛ばれる

最後はバラージュが標的となる。黒い刀を変形させ、鎖鎌を創り出し鎌の先端部分をバラージュの方に食い込ませ、力いっぱい地面へ叩きつける。そしてもう一度持ち上げ、それを2度、3度繰り返す。


3人は一瞬のうちに全滅。それは、恐らく5秒にも満たないだろう。
そしてシェスリナは鎖鎌を解除し、今度は手から黒い糸を3方向へ伸ばし先ほど痛めつけたメンバーを引っ張り出す。
苦痛の声を出しながら唸っている3人を、シェスリナは冷たい目で見下ろすだけ。

そしてクルセィの身体を足で押さえつけ。糸で縛り上げ、地面に転がっているその体に、短剣が突き刺さる

「・・・・ああ゛ああ゛ああ゛あ゛ああ!!!」

その悲痛な叫びは部屋全体に響き渡る。
短剣は両ふともも、左手に突き刺されていく。
どうすることもできないメンバー。テレリも、生きてはいるが立ち上がれずただただ見ていることしかできなかった。
心優しい吸血鬼は、泣いていた

(・・・・シェスリナさん・・・・)


つづく.....

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